投稿元:
レビューを見る
≪目次≫
プロローグ 計画道路の「発見」
第1章 古代の道路と交通制度
1.駅伝制とは何かー律令国家の交通制度
2.官道の種類と変遷
第2章 古代道路の探し方
1.文献史料にあたる
2.地理資料から探す
3.考古資料からのアプローチ
第3章 計画道路の形成ー大和
1.計画道路の源流へ
2.計画道路網はいかに形成されたか
第4章 古代の大動脈ー山陽道
1.山陽道の駅家
2.駅家はどのような構造になっていたかー播磨国布勢駅家の復 原
3.播磨国の山陽道駅家
第5章 道路網の再編ー東国
1.東国道路網の再編
2.古代官道はどのように変革されたか
3.日本古代計画道路の歴史
エピローグ これからの古代道路研究
≪内容≫
古代の道路網についての研究書。近年は考古学的発掘からの研究が多いが、著者は、文献史料や地理資料(特に地名)が専門。改新の詔により、道路網の創設が発せられ、律令国家の中で充実していった古代の官道。その多くはまっすぐだったらしい。研究の進む山陽道を中心に、道路の様子や駅家の様子がわかる。
投稿元:
レビューを見る
2000年刊行。新書にしては内容はかなり細かい。研究手法にも目配せが効いているのが、新奇。古代の道路という一種マイナーなテーマだが、文献史学と考古学とを両輪とするテーマで、現代歴史学の学問としてのダイナミズムは感得できる。ただ、いかんせん細かい。なお、現代高速道路の八車線、あるいは四車線もの直線道路が整備されていたのには驚嘆。著者は北海道教育大学釧路校准教授。
投稿元:
レビューを見る
この本の細部までを理解したとは言い難いけれど。
でも、日本に律令国家ができた奈良から平安初期に定められた、東海道、東山道をはじめとする七駅路は。
なんと直線路が多かった。
そして、道幅も都付近は24~42m、地方でも12m前後(前期駅路)と、現在からみても相当広い。
使った人は、逓送使(ある区間を往復して都からの書類を届ける使者)、都から任地へいく、地方から都へ行く人々。
官人たちもいれば、相撲取りや防人、俘囚まで多様。
駅舎はかなり立派だったそうだ。
そうしたことも興味深いが、この本の目玉はやはり、古代走路の探し方。
地形図や、なるべく古い地籍図、都市計画図、航空写真などを使うのだそうだ。
それを入手するのも苦労が多いらしい。
今はGoogleearthもあるだろうと思うけれど、おそらくあたりをつけるくらいしかできまい。
そして、あとはフィールドワークである。
今はデジカメがあるから、これについてはだいぶ便利になっただろうとは思う。
京都で直線道路を見たら、秀吉と思え、というのは「ブラタモリ」で言っていたことだが、本書を読むと、いいやそれ以外もありうるかも、と思わされる。
途中はまさに、「ブラタモリ」チックな展開。
道路の脇に、不自然な空き地があったりするのは、それは古代道路の名残かもしれない、というのだ。
古代道路が維持できなくなって、幅が狭くなり、取り残された中途半端な細い土地が残ったゆえのことらしい。
面白い。
道路の経年変化も興味深かった。
切り通して作った道路が、通行で土が締まったり、雨で削られたりして、さらに一段下がっていったりすることもあるそうだ。
まったくこれまで知らない分野だったので、読むのに苦労したし、十分理解戚ていない気がするけれど、それでも、面白かった。