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紙の本

自治の思想が自由を切り拓く、の信念のもとに孫六さんが週一回、郷里の知己への便りのように

2000/07/10 20:49

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投稿者:井出彰 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 信州の県紙「信濃毎日新聞」夕刊一面に、「今日の視角」という名のコラムがある。井出孫六氏は22年にわたり、毎週一回、このコラムを書き継いできた。本書『歴史に学ぶ——21世紀への架橋』は、1989年から10年間に書かれた井出氏の「今日の視角」を編集・収録した一書である。

 89年から99年にいたる年月は、日本そして世界が激動にさらされ続けた10年であった。そして本書の掉尾を飾るのは、「『昭和』の遺した宿題」である。この10年は、「昭和」の終焉によって幕を開けたといっても過言ではない。そのとき井出氏は改めて、「昭和」を戦争の視角からあぶり出す。「ほんとうは『昭和』は、その20年で終わるべきだったのではないか」。こう記す井出氏の視角からは、日本が加害したアジア各国に果たすべき、道義的責任というこの時代の「宿題」が問われているのであった。そして10年を経た九九年、井出氏は石橋湛山の「大日本主義の幻想」を引き、改憲の不毛を解く。歴史を見据えて時代を読む井出氏の姿勢は、「今日の視角」その10年を貫いている。

 20世紀最後の10年、この世紀末的状況はまた、天安門事件の沈鬱と、ベルリンの壁崩壊に象徴される東欧変革の喊声によっても幕を開けた。しかしそれは、日本の政治的混迷の始まりであったともいえよう。井出氏の「今日の視角」は、政治の迷走を、歴史に培われたコモン・センスに拠って追い、論じる。決して事象に足を取られ流されることなく、むしろ事象に固執し史観に裏打ちされない政治の虚勢を突く。93年に書かれた三回にわたる「政治の混迷の中で」は、自衛隊のカンボジア派兵、冷戦構造崩壊後の対米追従を憲法に脈打つ倫理性から問題化し、政・官・財の癒着を記者クラブ制度の桎梏から問うている。談合は日米関係ばかりか国内政治に蔓延し、憲法の主語たる「日本国民」が置き去りにされる構図を、井出氏は衝く。

 自治の思想が自由を切り拓く。そうした発想は、明治期の自由民権運動以来、井出氏が一貫して問い続けるテーマともいえよう。93年に書かれた「二つの住民投票」は、新潟県巻町で問われた原発誘致の是非と、沖縄で問われた米軍基地、この二つの住民投票に触れたものだ。そして同年書かれた「自治の力」に、井出氏はこう記す。「冷戦の崩壊と連動して、この国にもさまざまな機能不全が起こっているのだが、自らのなかに自治の力をどう甦らせ育てていくかを、次の世紀を通じての最も大きな課題のひとつとして見据えてみる必要がある」。日本の行方を、自らの力で切り拓き選び取っていく自治の思想が、井出氏の「今日の視角」には脈打っている。

 折りに触れ、コラムに込められた信州の山河や人々への思い。あとがきに記される如く、「日頃疎遠になっている郷里の知己への便り」のように、井出氏は歴史と人間への視角を毎週一通紙面に載せ、郷里の信州へと送り続けている。 (bk1ブックナビゲーター:井出彰/『図書新聞』代表 2000.7.11)

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