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紙の本

「極楽いぶかしくば、宇治のみ山をうやまえ」光と水の寺の神秘

2000/07/30 06:15

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投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 宇治は京都の地つづきとも考えられるけれど、京とは違う神秘的なかおりが漂っているように思え、気になってならない土地なのである。

 「平等院物語」の冒頭を読むと、
 「極楽いぶかしくば、宇治のみ山をうやまえ」
 という平安時代の童歌(わらべうた)が挙げられているが、そのいみを私は全く単純に解釈していたので、本書を読んで著者の奥深い考えにはじめてびっくりしたのであった。
 他にも読むほどに、さまざまの発見や再認識があった。あの宇治川の流れの速さを見たとき、穏やかな山々の姿との対比に一瞬驚いたことがあった。しかしそれだけではなく宇治は名水の地でもあり、「阿弥陀水」と「法華水」という湧き水が昔、平等院にはあって、水の宇治というネーミングがふさわしいようだ。太閤秀吉は毎朝宇治川の水を伏見城まで届けさせたというエピソードも面白い。

 著者はある雪の朝、平等院にある鳳凰堂で壁間にある「雲中供養菩薩」をとり外す作業を手伝いながら、ふと堂内のあまりの明るさに驚く。

 一種の天啓かも知れない。堂内にさしこむ自然光のあまりの豊穣さに感動したのだ。平等とは水と光のことだと著者は語るが、新鮮な感じである。

 たまたま私は上野の博物館で平等院の秘宝を拝観してきたばかりなので、五二躯の「雲中供養菩薩」たちが平等の光のなかで、美しい表情をさまざまに見せていたのかと思うと想像しただけで胸が躍ってくる。

 重厚な歴史を背景に、修理につぐ修理という苦難を経なからこの寺を守った人々のこともこの本には書かれている。この寺の創建者である藤原頼通も登場するが、温和な人柄であったことはよく知っていたが、さらに彼が美に対してみごとな感覚の主であることをこの書によって知った。

 文献では鳳凰堂の池の対岸正面に小御所という建物があるが、頼通の美意識の良さや作庭の才から考えると、景観を破壊する位置に小御所の建物があったとは考えられないと著者は述べている。果して頼通在世中には小御所はなく、のちに娘の四条宮の建立であることがわかった。

 とにかく、宇治は茶どころなどという評価で終るところではない。平等院にまつわるかくれ話は際限もなく多いらしい。しかしこの著者の一番訴えたいのは、美術的にこの上なくみごとな平等院が死を考えるための建物であるということである。

 「平等院が『光の寺』と呼ばれるのは、随所にしつらえられた自然光の細工が、訪れる人の心の琴線にゆさぶりを与え、人は死すべき身を思い出すのです」と著者は述べている。 (bk1ナビゲーター:近藤富枝/作家 2000.07.29)

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