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人は自分が思っているほど自分のことをよくわかっていない、というのが主テーマ。これを様々な実験事実から突き詰めていく。
これに関してはもっともだと思います。自分が一日何を考えているか、自分でコントロールしているとは思えない。ふらふらっとどこからか思考が湧き上がって来て、あれこれ考えている。朝起きて、自分がまず何を考えるかなんて予測不可能。仕事などで論理的な事を考えるときは集中して論理的な思考をしているが、それ以外はあっちこっち、思考がふらふらしている。これは決して自分でコントロールしているわけではない。自分は自分が思っているほど自分のことをよくわかっていない。
特に印象に残っている点は、MITのロボット工学者、ブルックスが主張している、昆虫並みの運動制御と、ヒトのような高等な認知- 行動系のふるまいは、実は連続的であり、同じ単純なメカニズムの階層的な集積で構築されうるということ。それを実際に模型で表現しているということ。
人間って高級なイメージがありますが、実はそんなもんなのかもしれませんね。ヒトが何故神や死後の世界を考えるかというと、死や未知の世界が怖いからで、それは本能的な恐怖に基づいている。昆虫との違いは単にその複雑度の圧倒的な違いだけなのかもしれないですね。哲学・宗教などで人間の探求がされてきましたが、こうした生理学的な研究が一番人間の本質に迫っていくように思います。
朝会社でまず何を考えるかというと、目の前の課題をどう乗り切るかということ。これも結局、このままだと不快なことになるからその回避策を考えているのでしょう。思考の背後には快・不快が潜んでいるのだと思います。
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所謂、サブリミナル効果と言われる広告効果の研究についてのみならず、社会心理、神経心理、そして生物学的、その他広い観点から深く考察されていた。
今はまだ完全に理解できたとは言えないため、又いずれ読み返して理解を深めたい。
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[ 内容 ]
人は自分で考えているほど、自分の心の動きをわかっていない。
人はしばしば自覚がないままに意志決定をし、自分のとった行動の本当の理由には気づかないでいるのだ。
人間科学の研究が進むにつれ、「認知過程の潜在性・自働性」というドグマはますます明確になり、人間の意志決定の自由と責任に関する社会の約束ごとさえくつがえしかねない。
潜在的精神を探求する認知・行動・神経科学の進展からうかびあがった新しい人間観とは。
[ 目次 ]
序 私の中の見知らぬ私―講義に先立って
第1講 自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学
第2講 悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論
第3講 もうひとりの私―分割脳と「自己」
第4講 否認する患者たち―脳損傷の症例から
第5講 忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶
第6講 見えないのに見えている―いき下知覚と前注意過程
第7講 操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム
第8講 無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学
第9講 私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
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<目次>
0.私の中の見知らぬ私―講義に先立って
1.自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学
2.悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論
3.もうひとりの私―分割脳と「自己」
4.否認する患者たち―脳損傷の症例から
5.忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶
6.見えないのに見えている―域下知覚と前注意過程
7.操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム
8.無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学
9.私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって
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大学で心理学部に入ってすぐ読み、心理学に興味を持たせてくれた一冊。
実験・生理心理学の入門には最適。読み終わった後は、抽象的な人間のこころとは何なのかが少し理解できるようになるはず。
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いやぁ完全に面白すぎる(笑)最近、興味のあったこと全てにつながる。広報、デザイン、哲学、演出、速読、記憶、質問力、人生観…いやぁ一読する価値ありの根底から覆される視点を持てるそんな本。
自由とは何か。無意識とは何か。人間の可能性と意識の限界と無意識の可能性を説明した潜在意識に関する本。
様々な実験内容も書かれてあったので読みやすく面白かったなぁ。
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いろいろ興味深い話ばっかりだったけど、一番気になったのは、「人口が増えすぎると、人口抑制する要因が自然に増えていく。同性愛、子殺し、・・・」
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無意識、深層心理といったものは必ず存在します。催眠術だって絶対存在します。フロイト先生よろしく我々は潜在的に何かを認知し、閾下で感じる。ああ、人間のこころとはそのほとんどは理解できない。
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面白い。
人の行動が潜在的な、本人にとって無意識の認知過程に大きな影響を受けていることを、心理学史上の様々な実験を紹介しながら解き明かしていく。
密閉したビルの中でネズミを飼うと、ある程度まで増えた後、性的不能な個体や子殺し、同性愛などが多発し、場合によっては個体数が減少することもある。
言うまでもなく、大都市に住む人間も似た徴候を示すわけだが、個々の人間にインタビューすれば、例えば「私は自由意思で同性を愛してるだけだ」となる。
環境から受ける潜在的な影響には無自覚だからだという。自由に選んでるつもりで、実は大きな流れの中で踊らされてるだけ。
なんだか寒気がする話だ。
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自分の事を決めるのは自分だし、認知の過程も自覚できると思っていたが、本書を読むうちに自信がなくなってきた。
元々は、「自分で自分の気持ちをより適確に把握したい」との思いで読み始めたのだが、結局それは無理じゃないかという結論に至ってしまいそうである。(そして、ラストの第9講でハッとさせられる。)
これを読んで面白かったか?と聞かれたらもちろんYesだが、役に立つか?と聞かれてもはっきりした答えは言えなさそうだ。
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今や心理学にも文化系・工科系・社会学系・医学系と幅広くに行きわっている。
言葉の意味するところや表現とか集うとか伝達するとか意思疎通するとか・・・
意識無意識にかかわらずに、意志の決定はあらゆる方面につながっている。
哲学や神学や物理学が垣根を越えてお互いの分野に通じて行かないと理解不能になってきた現在、心理学もあらゆることと関係を持てるようになって、社会一般に需要が増えて発展している。
しかしご多分に漏れず、学問の宿命とも言える詳細な部分に呑めり込んでいるのも事実である。
私がここ数年席を置いている知的障害や身体障害における環境問題でも、コミュニケーションをとるための言語・意識・表情の問題とか個性・自律・共生・の問題とか信頼・喜び・恐怖・安心・変化などを理解するために、心理学や社会学を必要としていると思う。
距離的に近すぎる専門書よりも、少し距離を置いた分野や立場に立って深く咀嚼する方が余裕を持って理解と納得を得られることが多い。
枝葉の現象面の処理に追われている内に根幹を見失うことにならないためにも、全体観を意識していることが大事だろう。
このことは人間が生きる上で、どんな場合に遭遇しても忘れてはならないことだろう。
できれば硬い漢字を減らして、日曜用語で書いて欲しいと思う。
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実験の話が中心で途中で飽きそうになりますが、最後まで読むと意外に収獲が多かったと。無意識のうちに...なんて表現も何気なく使っているけど、その境界は曖昧で、そもそも神経反応を指しているだけという考え方も出来るのだということが新しかった。
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『自分のことは一番自分が知っている』っていう言葉を耳にするが、本当にそうなのか?
この本では、記憶や目にしたものを中心に認知的観点でかかれている。
もちろん、社会心理などいろんな分野からかかれてはいるが、認知より。かっこがきが授業の突っ込みのようで面白い。
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「個人の心の中に互いに矛盾するようなふたつ「認知」があるとき、認知的不協和と呼ばれる不快な緊張状態が起こる。そこで当然、それを解消または低減しようとする動機づけが生じる。しかし多くの場合、外的な要因による「認知」のほうは変えようがないので、結果として内的な「認知」のほうが変わる。つまり態度の変容が起こる(具体的には、たとえばものや作業に対する好嫌の感情が変化する)。」
たとえば、私達は、「嫌な体験にも学びがある」などと言って、嫌な体験すらも正当化しようとします。しかも、この正当化は、意識的だけではなく、無意識的にも行われることがあります。このように私達は、認知的不協和を解消するために無意識的に自分自身の感情を捻じ曲げるということです。嫌なことをあたかも好きであるように思う込もうとすることすらもあるわけです。
2012年6月8日紀伊国屋書店 流山いおおたかの森店で購入
2008年12月10日 第1刷、2009年2月25日第4刷発行
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ずいぶんとこの本には衝撃を受けさせられた。
今手元に本が無いので詳細を書くことはできないけれど。
「人間は何度も見せられたものを自然に選択してしまう」という事実は、何気なく見ているTVCMをとたんに得体の知れないものに見せてしまう。
人間の意志、意識というものは脳の一つのシステムに過ぎず、その枠を逃れることはできないと思い知らされた。
近代社会の基盤となる自由意志の概念をも揺るがしかねない最新の心理学論をわかりやすく読ませてくれる一冊。