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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の地図がどのようにして発展してきたかを解説。日本の世界観もわかる。簡単な古地図から精細になっていく過程も理解できる。
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『地図の歴史 世界篇』に比べるとやや劣った内容か。しかし、日本の地図がいかにつくりあげられてきたかがわかる。特に興味深いのは、古代の日本地図は律令制の土地把握のために作られている点、そして中世のそれは仏教的世界観が表れているという点である。前者が地図の実用性を重視しているのに対して、後者は地図の役割を果たしているとは言えず、なぜこのような変遷を遂げたかが気になる。おそらくは中世に一般の人々にまで仏教が広がったことと関わっているのだろうが、考えさせられた一冊。
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はじめに
図版目録
第1章 古代および中世の地図
第2章 近世初頭の世界図の発達
第3章 鎖国下の江戸時代の地図
第4章 蘭学と世界図
第5章 伊能忠敬の実測日本図の完成
第6章 北辺地方の探検と地図の発達
第7章 ヨーロッパの地図にあらわれた日本図の変遷
第8章 明治以降における近代地図の発達
むすび
索引
(目次より)
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私が非常勤で受け持っている地理学の講義ではよく地図の歴史の話をする。元ネタは久武・長谷川『地図の文化』だが,以前住んでいた近所の古書店で入手した『ブラウンとホーヘンベルフのヨーロッパ都市地図』を持っていたので,都市図の話も盛り込んでいた。その際に参考にしていたのが矢守一彦『都市図の歴史――世界編』だった。それは講談社のハードカバーだったが,織田武雄『地図の歴史』の存在は知っていた。こうして改めて注文して入手すると,日本編と世界編とが分冊されて講談社現代新書になっていたのは知らなかった。
第一章 古代および中世の地図
第二章 近世初頭の世界図の発達
第三章 鎖国下の江戸時代の地図
第四章 蘭学と世界図
第五章 伊能忠敬の実測日本図の完成
第六章 北辺地方の探検と地図の発達
第七章 ヨーロッパの地図にあらわれた日本図の変遷
第八章 明治以降における近代地図の発達
目次から分かるように,先日読んだ『地図から読む江戸時代』とは違い,対象範囲は広い。むしろ,日本で作成された世界地図,ないしはヨーロッパで作成された世界地図における日本の描写,というところが中心ともいえる。ただ,もちろん日本図の基本的な史実についても記載されている。地図史の研究は最近盛んのようだが,本書は長らくその基本文献であったのだろう。ある対象の歴史書の王道たる書き方である。
本書で勉強になったのは第六章。ヨーロッパの地図の発達にとって探検が大きな役割を果たしているのは常識だが,日本地図においても同様であったこと。そして,北海道を含む地域については,日本だけの問題ではなく,特にロシアと関わる国際問題であったこと,その過程でカラフトの全容が日本人の手によって明らかにされたことなど,知らないことが多かった。