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ゆきおんな みんなのレビュー
- まつたに みよこ (ぶん), あさくら せつ (え)
- 税込価格:1,980円(18pt)
- 出版社:ポプラ社
- 発売日:1969/04/01
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絵本
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紙の本
悲哀にみちた別れのことばは・・・・。
2002/03/22 15:52
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投稿者:望月新三郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潟に仕事で出かけたとき、橋の上で猛吹雪にみまわれた。川の下から吹き上げてくる風、そして前方をさえぎるように吹きつける雪に、しばし動けなくなった。短靴は、ぐっしょりと雪にうずもれ、傘などさせるものではない。もし、これが険しい山道だったらどうなるのだろうか。このときの想いを浮かべながら、私は、ゆきおんなに、おきかえて考えることがある。
——ゆきは、まいはじめ、みるみる はげしい ふぶきと なったそうな。
まえも みえん、うしろも みえん。 そのなかを はうように、もさくは みの きちをよび、 みのきちは ちちおやを よびながら、 山ごやへたどりついた。ー
と、もさく、みのきちの親子が吹雪に逢って、山小屋にたどりつく様子が実にリアルに描かれている。朝倉摂の絵もこの吹雪の荒れ狂うような様子、親子の姿、山小屋を訪れた雪女の姿をよくとらえて描いている。
——「いま みたことを、けっして人に いってはいけませんに。もしいったときは、おまえのいのちはない。・・・」ーと、みのきちに、白い息を吹きかけたこと。自分の見たことに、他言無用の口止めの言葉は、恐ろしく、またあやしい。雪女が子どもをあやしながらうたう唄がある。
「ののさま どちら いばらのかげでねんねをだいて はなつんで ござれ はなつんで ござれ」
とても可愛い哀調をおびた童うたである。私は松谷みよ子がこのうたをうたうのを聞いた。「十五夜」「お正月」などのうたといならんで彼女の好きなうたのひとつである。
さて、また、お話にうつって、みのきちが雪女と結婚して、やはり吹雪の夜、もさくが死んだ山小屋のことを話してしまった。そのとき、ゆきおんなは、自分だったことを告白——「おまえの言う通り、ゆきおんなですに・・・」
このときの雪女のことばは、悲しい。人間の女になりきっていた雪女の別れなければならない運命に、切なさがにじみ出ている。朝倉摂の絵も、白く悲しい。この絵が表紙にもなっている。おわりの文章も詩的である。
——よめさんの こえは ふるえ くろい目は うるんでおった。と その姿は いつか消えて ただ粉雪がまっておったそうな。 それも消えたと。——
このお話は、よく語られているが、雪女が己の正体を告白した場面ー「・・・おまえのいうとおり ゆきおんなですに・・・」のことろを悲哀をおびながらも泣きの語りにしないように・・・と語りのあり方に百家争鳴となる。あなたならどう読んで、どう語るかな。
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