紙の本
再読しよう
2016/02/24 22:24
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投稿者:師走 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり覚えてはいないけれど・・・
なんかこわかった記憶があります。
三人の関係性とか、初めて読んだときはよく分からなかった気が。
でも今だと色々分かるとか考えてしまうところとか、大分違うんだろうなと思います。
子供の頃読んだ本が気になってきた最近。
紙の本
人の間に生じる憎しみは、解放されるのか?
2001/09/21 14:22
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投稿者:ひこ・田中 - この投稿者のレビュー一覧を見る
親同士が再婚するので、お試し家族としてアリスンとロジャは夏休み、アリスンの母親の別荘にやってくる。深い谷間にある小さな村のお屋敷。家政婦の息子グゥインと三人仲良くなる。
あるとき、部屋の屋根裏にあった皿に描かれた花柄のパターンを描き写していたアリスンは、それがふくろうの隠し絵なのに気づく。さっそく写した紙を切り抜き組み合わせるとふくろうの置物ができる。が、翌朝になるとそれは消えている。しかも皿からはパターンがなくなっている。憑かれたように、何枚も何枚も写しとってふくろうを作り出すアリスン。
実はそれはこの村に延々と続く悲劇を封じ込めるためのものだった。彼女は花のままでいたいのに、人間はいつもふくろうに変えてしまう・・・。
こうして封印は解かれ、悲劇は三人を巻き込んでいく。
まるでホラーのようですが、もちろんそう読んでも充分楽しめますが、ここに描かれているのは、その気はなくても、誤解や無理解や行き違いや嫉妬などで、互いを傷つけあってしまうことがある人間関係そのもの。
ベースとなったのが、性愛を扱ったウェールズ神話なので、子どもの主人公では描けないのではとの批判もあるけれど、この物語が伝えようとしているのは性愛という狭い範囲のことではなく、大人であろうと子どもであろうと起こるズレと憎しみ。
だから、30年前の作品でも新しい。
紙の本
そして悲劇は繰り返される
2002/01/22 00:06
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投稿者:かけだし読書レビュアー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウェールズの神話・伝説であるマピノーギオンを題材に、三人の少年少女の感情のもつれや、階級と人種の問題なども加えた重厚な物語。舞台はウェールズの谷間の屋敷。その屋根裏で見つけたふくろう模様の皿や謎の絵の発見をきっかけに、忌まわしい過去の物語が繰り返される。少なくても基盤となっているマピノーギオンをしっかりと理解していないとキツイ。グウィンのアリスンに対する愛と葛藤など、どちらかといえば大人向けの幻想文学といった印象だった。
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子供のころ読んで以来だったが、先日ウェールズに行ったきっかけで、模様をチェックしたいと思っており、再読。
お皿の模様はウェールズ系の模様ではなかった(のではないか)。
子供の頃は、不思議な感じがして好きだったが、大人になると、多少神話の構図に当てはめる無理感も見える。でも、不思議な不気味感が良いかんじ。
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イギリスのウェールズ地方の伝説を元にしたダークなファンタジーです。親の再婚で兄妹になったロジャーとアリスン。使用人の息子グウィン。夏の別荘で出会った3人が巻きこまれる因縁の愛憎劇とは!?
【宮崎大学】P.N.:まびのぎお
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たしか児童文学評論家の赤木かん子さんが紹介していたような記憶があって、古本屋で買ってみた。児童文学というにしては読みづらく、ケルトの伝奇を下敷きにした幻想ホラー小説という趣。親同士が再婚し、ウェールズの谷に所有する別荘にやってきた義理の兄妹と、賄い婦の息子。立場を超えて友情で結ばれていたはずの3人の関係は、土地に隠されていた太古の悲劇があきらかになるにつれて、疑いと不信によって歪んでいく。
読みながら何度もはっとさせられるのは、3人の若者たちをしだいに引き裂いてゆく身分制、というか、いっそ植民地主義と読んでもよいものの残酷さである。賄い婦の息子であるグウィンが受け継いでいる、ウェールズの土着の知は、よそものの支配階級のひとびとの目には、愚鈍さや小狡さとしか映らない。谷の正統な支配者であるヒューのことを「ただの小作人じゃないか」という友人に対して、「ここでほかの何になれるというんだ?」と問い返すグウィンの言葉には、すでに深い絶望がにじんでいる。3人の友人たちを引き裂くのは、太古の呪いなどではなく、現在の社会の深い亀裂なのだ。しかし幕切れは圧倒的にうつくしく幻想的で、悲劇の先にまだ何かが残るのではと思わせる余韻に満ちている。
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別荘の屋根裏から出てきた模様のついた皿。
その日から、何かにとりつかれたように模様を描き写すアリソン。
安定していたかに思えた義理の兄ロジャーと、地元の少年グウィンとの三人の関係も揺らぎ始める。この皿は秘密を封印している。
夏の別荘での子供たちのやりとり。明るい日差しの場面から物語ははじまるのに、どこからだろう、少年たちの会話に棘が含まれてくるのは。知らぬうちに、何かが彼らをとりこんでいく、蝕んでいく。
その苛立ちは、谷間の瘴気なのか。
抜け出したい、若者の抵抗なのか。
人物の設定もなにも明かされぬまま、会話からすべてを取り出していかなくちゃならないから、読書慣れしている中学生じゃないと読めないかも。だけど、その分パズルのピースが見つかるような静かな興奮と謎ゆえの魅力を感じられる。そういう「わからなさ」を積極的に楽しめるならOK。代名詞の迷宮へようこそ。
でも、まず気になったのは「皿の模様」。
どこをどうとったら「ふくろう」になるんだよ~~~!!!
って、家族、職場の人あちこちとっつかまえて、図案をこねくりまわしただよ。
「だれにだってわかったでしょうよ」・・・・そうか!
わかる人にしかわからないようになってるわけか!
ということで解決。
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これは、児童文学として出版されているけれど、内容はかなり大人寄り。
アリスンとロジャは両親の再婚で義理の兄妹になった。
新婚旅行というか、家族旅行のため、ウェールズにある谷間の領地で過ごしている。
そして、グウィン。
かれは、その屋敷の料理人ナンシイの息子で、雑用などを手伝っている。
アリスンとロジャはイングランド人、グウィンはウェールズ人。
社会的立場も人種も文化も違うが、年の近い彼らは仲の良い友達だった。
ように見えた。最初は。
アリスンの部屋の天井裏から音がするというので、グウィンが確認すると、そこにあったのは大量の皿。
花模様に見えるのその皿の模様をアリスンはふくろうの模様だという。
紙でなぞって写し取った模様を切って並べると、ほら、ふくろうが出来上がる。
そこから不可解な出来事が彼らの周囲に起きはじめる。
ファンタジーかと思いきや、ホラー?ミステリ?
時間を超えてくり返される、許されない恋愛、三角関係。
民族に伝わる歴史、時間、思い。
ケルトの文化が色濃く残る地で、虐げられた者の怒りや無念が繰り返される。
アリソンはグウィンを好きになるが、しょせん住む世界が違うのだと、自分の気持ちを封印する。
ロジャは、グウィンの頭の良さを認められない。
階級社会であるイギリスの、越えられない壁。
場面転換が思った以上の振れ幅で、彼らの気持ちが急激に変わってしまうように感じるけれど、慣れると実に繊細に掬い上げていることがわかる。
それだけに重い。
彼らが背負っているものが。
だけど、最後は明るい未来が感じられる。
だって花だったから。
花びらと花は、ふりつづけたのだから。
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荻原規子さんのエッセーにこの本のことが書いてあったので読んでみた。誰にも借りられたことのないような様子で図書館の棚にあった。児童書だけど何だか恐ろしい話になっていく。ウェールズ人のグウィンとイギリス人の義理の兄妹のロジャとアリスンの三人の思いが主題なのだけど、それは過去にまでさかのぼる。ちょっとホラー的だなぁ。
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YAって会話文章が多くて中身薄いよね~なんて
言われること多いけど
この本の内容は会話多め文章だけど、なかなか難しいかも
会話の中から、登場人物の関係を探っていくんですよね
カタカナ名前が苦手な自分はそこから(^^;(^^;
表紙からして、ミステリーな感じ
民族的な差別もちょっとあって辛口でした
まぁ、ファンタジーでは無いなぁ
今の自分には、ハッピーな本がよいな
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何かを倒すとか、誰かを救うとか、はでなことが起きるわけではなく、陰鬱で不安な空気が漂ってる。
イギリスの階級など、バックグラウンドに詳しいと、ものすごく怖いお話らしい。詳しい方は是非。
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児童文学とは言い難い作品。過去の恩讐が現在の人間に影響
を与え、事件が繰り返されるという話。やや言葉が足りず、
読者を置き去りにしてしまい、結果としてわかりにくく
なっている所はあるが、そこを乗り越えて読めば人間が
しっかり描かれているのに気付くだろう。ファンタジーでは
ない、のかもしれない。実際ファンタジーの要素はなくても
この物語は成り立たせることは出来ただろう。
全体として、ガーナーという作家は言葉を惜しむ傾向があり
ゆえに難解になりがちという欠点はあるが、モチーフの選択
や各場面の描写などは素晴らしい作家という印象だろうか。
訳者が全部違うので一概には言えないのかもしれないが。
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これ児童書と言っていいのかわからないぐらい怖くてゾクゾクしながら読んだ.伝説,風土,身分階級など複雑な背景の上にたった,ほとんどホラー.現実の三角関係に過去の亡霊が立ち現れ侵食していくような狂気.ウェールズ地方の谷あいのジメジメした風景が広がって恐ろしさ100倍増し.
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アリ・スミスの『冬』にこの物語がでてくる。
ウェールズに伝わる神話をなぞりながらも、それぞれの世代が悲しく、イギリスの階級社会を見せつけられた。
繰り返される、3人の男女の絡み合う愛の物語は
こ、これも児童文学なのかと外国の文学の大人っぽさに驚く。
アリスンは母の好きな夏の間を過ごすウェールズの屋敷に、再婚したばかりの義理の父とその連れ子ロジャといる。
屋敷の料理人の息子グウィンもロジャもすっかり打ち解けて友だちだった。
しかしある日、アリスンの部屋の天井裏で何かが引っ掻くような音がし、天井裏をグウィンが開けてみると、そこには美しい模様の皿が何枚もあった。
なぜかアリスンにはそれがふくろうの模様だとわかる。そしてその模様をトレースして、紙のふくろうをいつくつも作り出すことになる。
しかしその話を聞いて、料理人のナンシーは様相が変わってしまう…。
ここから子どもたちも大人も、ウェールズの神話にのみこまれていってしまう…。
グウィンの聡明さがとっても眩しくて、
アリスンのあまりにも上流階級的過ぎるそのピュアな優しさが憎らしい。
ケルト人とサクソン人
ウェールズとイングランド
イギリスの歴史と文学を感じました。
『冬』に登場した穴の開いた石は、グロヌーの岩という、とても象徴的な存在として登場しました。
ロジャが『冬』
のアートと重るところがあり、それもまた面白かった。
それにしてもちょっと検索してみると、このお皿の模様からふくろうを作ってる方何人かいらっしゃって、おもしろい。
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先日読んだ,荻原規子さんの本で紹介されていたファンタジー作品。児童書らしいのだが妙に難解である。
そしてかなり不親切で,登場人物の明快な説明がされないので,状況で理解するしかない。
ウェールズの神話を題材にしているようだが,とにかく何がいいたいのかよく分からなかった。北ウェールズにある古い屋敷(別荘?)に遊びに来ている資産家の家族は,母と父が連れ子同士で再婚したものらしい。母の娘がアリスンで父の息子がロジャ。屋敷の住み込みのお手伝いの女の息子がグウィンでアリスンとロジャと同年代。屋敷はアリスンが父から相続したものらしい。話はアリスンが自室の天井裏から謎の音が聞こえると訴えるところから始まる。男の子が天井裏に登ってみるとよくわからない絵皿があり,アリスンがその皿を見て,絵を紙に写し取り,切り貼りしてフクロウに組み立てる。しかし組み上がったそばからフクロウはいなくなってしまい。アリスンは次々にフクロウを製作する。そして気がつくと
絵皿の絵が消えているという不思議。そんな話を聞いて何故かグウィンの母が激怒する。グウィンの母は長いこと屋敷の近くに住んでいて過去の何かを隠しているらしい。そしてもうひとり謎なのが屋敷の下男? ヒュー・ハーフベイコン。この男もなにか知っていて隠している。
話の背景として,ウェールズの神話と,人種差別的なものがあるようで,その辺を知らないとよく理解できないのかも。