紙の本
わかりやすい日本の通史
2016/12/12 23:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:冒頓単于 - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦前戦中に活躍した歴史学者・平泉澄が晩年に書いた日本の通史。子供向けに書かれたものなので、平易な文章である。また、平泉の思想や歴史観も大きく反映されている。
上巻では神代から平安文化の成熟期までが書かれている。著者が案外神話を盲信していないところに驚いた。また、文化について記述しているところで、和歌などの文学作品を引用して、先人の心に直接触れられるようになっているのは、良いと感じた。
紙の本
私たち日本人はどのような歴史を歩んできたのかを学べる一冊です!
2019/01/29 11:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、著者である平泉氏が生涯をかけて執筆された日本史の書です。私たち日本人はどのような歴史を歩んできたのかを若い世代の人々にもっと深く考えてもらいたいと著者はこの書を書かれたということです。上中下の3巻から構成されており、同上巻は、日本国家の成り立ちを明らかにする目的で、神々の支配する神話の時代から大和時代、奈良時代を扱っています。非常に読み易く、通常の歴史書とは一味違た歴史観が得られます。
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天皇家を中心とした日本の歴史を通史として学べる良書。下手な歴史の教科書読むよりよっぽど勉強になるしためになる。
足利幕府は天皇家に弓引いた逆臣であり取り上げる価値もない!とバッサリ省略しているところが皇国史観の歴史家として潔い。
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たいして日本史もわかっていない僕だが、これは読みやすいし、日本史が以前よりも身近に感じられる。もっと知識がしっかりしていればより多くを拾えるのだろうけども、そのへんは多くの書籍からちょっとずつ、石で塗り固めるように積み上げていくしかない。
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近所の本屋でおすすめ本としてコーナーができていたのだが、他の本屋に行ってもなかなかない。大きなお店にもない。日本の歴史において、天皇の地位を重視した論調だからだろうか。
上巻は古事記の時代から平安時代中期まで。主に天皇についてと、文学について書かれている。万葉集の歌がたくさん載っていたり、なかなか教科書からは学べないことばかり。
内容が偏っているので、これだけで勉強はできないが、こういった本を参考図書として中学や高校の時に読んでいれば、もっと奥深く歴史を把握することができただろうと思った。
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著者が若い読者に向けて書いた『少年日本史』(時事通信社)の、タイトルを改めた本です。上巻では、日本神話から説き起こし、延喜・天暦の治世までを扱っています。
私自身は、いわゆる愛国主義教育に必ずしも賛成ではないのですが、子どもたちが日本の神話に触れる機会が少ないことは残念に思います。もちろん批判に対して開かれていることを前提にするならば、歴史教育で神話を取り上げることをタブー視する必要はないと考えます。
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「序」の、終戦直後に会った山奥の児童が「君が代」「日本」を知らず「アメリカ」は聞いたことある、と答えた逸話が衝撃でした。日本の民族と文明の危機だったのですね。そこからここまで「日本」の歴史・文化が連綿と受け継がれてきたのは、作者を始めとした先人の不動の努力の賜物でしょう。
日本の歴史として神武天皇から始まっていること、とても読みやすく書かれていること、小学校高学年でも読める子は読めると思うし、中学生ならぴったりでしょう。大人も読んでいて楽しいです。
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古事記や日本書紀の年代設定に成り立ちが漢の国から渡ってきた人達の「しん緯の学」が使われているという説が興味深い。古代中国や朝鮮との関わりがあるので相互の歴史書の対応関係を見ていくなどさながら探偵小説のようだ。
国家建設・神武天皇から神代,聖徳太子,記紀と風土記,奈良時代,平安時代とたどる。歴史が連綿と続いている。それも一つの国家として。希有なことであり,それだけでも価値がある。金持ちや権力者にはなることができるけど,歴史や権威を持つことは簡単にできないという表現があるが,まさにそうであると思う。現代に日本人として生きていることの意味を考えさせられる。
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小学生の頃から平泉澄先生の「少年日本史」を何十回も読んできた。
この物語日本史は「少年日本史」を読みやすいように3部に分け、なおかつタイトルに「物語」をつけて、社会科学としての歴史学から一歩引いてますよ、と予防線を張って出版されたものだ。
あえて旧仮名遣いで「少年日本史」を書いた平泉澄先生なら物語日本史出版した人達を叱るであろう。
たしか中野信子さんだったか、テレビの討論番組で、「日本人は、特に日本のワカモノは、世界の人達からは、『有り難いほど馬鹿だ』と思われている」と発言していた。
たしかにその通りだ。
いや、平泉澄先生に言わせると、世界に冠たる大日本帝国にあっても日本人など西欧人は成り上がりのサル程度にしか認識していなかった。戦後の若者に限った話ではない、と。戦後ますますバカモノ化した若者が増えたになったのは間違いないように思うが。
欧米人は武士、侍には一目置いていたが、維新後の欧米文化を吸収することに目が眩んで武士の精神を忘れ始めた日本人をものまねサルと侮るようになった、それについて危機感を持ったのが平泉澄先生であった、戦後の焼け野原で誇りを失いまさにGHQの犬に成り下がろうとする日本に。だからこそクーデター計画まで立てたのであろう。
本書は社会科学、歴史学とは言い難く、まさに神話のごとく物語日本史である。
高名なる学者の優れた研究によると日本人は周辺のどの民族をかけあわせても日本人独特の遺伝子にはならない云々、という記述、まったく科学ではなく、生命科学や考古学の見地からすると全く出鱈目である。が、日本人の精神を大切にしましょう誇りを失わないように世界な胸を張りましょうと子供たちを勇気づけるにはそれで良いのだ。
誇りを失い地に足がついていない現代の若者を見れば納得いくはずだ。
しかし、気をつけなければならない。少なくとも科学としての歴史を学ぼうとする人達は、皇国史観、平泉澄先生の個人的私的歴史観を宗教教義のように信じてはいけない。
「少年日本史」は子供向けに書かれた本ではあるが、批判能力客観的視点が不十分なな子子供達から山口二矢が生まれる可能性がある。
この本は正しい指導者のもとに子どもたちが読むべき本である。あるいは十分な見識を持った者が、平泉澄先生が描いた世界の中のあるべき日本を理解するために、現代日本を批判的に見るために読むべき本である。