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紙の本

現代怪物伝

2008/08/23 15:57

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

明治末から昭和にかけて投資と土地開発で一大事業グループを築いた人物をモデルにした、ある種の悪漢小説である。そもそも作者梶山季之が売れっ子ルポライターから小説一本に転じた理由として「ジャーナリズムで書けないことを小説に仮託して書く」という言葉があって、この作品がその一つであったのは確かと思う。モデルとなっている人物の伝記というわけではなく、出身地からして変えてあるので、フィクションであることははっきりできる。ただ主なエピソードは事実と同じ構造にしてあり、限りなく伝記に近いフィクションということになるだろう。そして公的な伝記として書かれ得ないところ、事実自体に不可思議さが含まれるところに、大胆な真相を書き加える。それが作者の想像による補完なのか、独自の取材で識った真実なのか、関係者には周知の事実なのかは分からない。
このモデルの人物からして実際に怪説飛び交う傑物であり、特に女関係が激しく、腹違いの子供たちの間での相続争いがメディアを賑わす大きな話題にもなったぐらいだから、その事情を深く探れば相当にエグイ話になる。なっている。事業がうまくいかなかったのではなく、本書によると計画倒産である。事故ではなく保険金詐欺である。払えなかったのではなく、踏み倒しである。無茶苦茶に書かれるのだ。後には代議士にもなって、金と権力でゴリ押しに押し通す。
由来、人間には、社会の規則や道徳、それらによって自分を守る秩序というものが築かれると考える者と、それらは単に自分の行く手を遮る障害物としか看過しない者の2種類がいるだろう。それらルールの間隙を縫ってうまくゴールできればシメタものというわけだ。この銀次郎は後者であり、それに何ら恥じることなどないのだ。
じゃあ本書は巨悪を暴き、正義の告発をする書なのかというと、やはり色合いが違うように思う。例えば彼は本書でいえば「ピストル銀之助」の渾名を奉られるのだが、これは株買い占めの敵対者の手先に、ピストルで撃たれても平然としていたというエピソードで広く知られたものだ。しかし本書では、その手先を始めから抱き込んで一芝居を打ったということになる。もしそうなのだとしたら、人物像としてはこちらの方が上手ではないか。どんなに悪を訴え、虚構を暴いても、その実績の大きさ、多くの現代人が恩恵を受けていることは否定できない。 言い方を変えれば、明治以降の資本主義社会勃興期に、システムの可能性を限界ぎりぎりまで試したわけで、あるいは現代の法制度では違法となっていたり、もはや騙される者もいない領域かもしれないが、当時においては最先端ランナーだった。そのジレンマを知りつつ、とにかく書くのが使命と作者は心得たのだろう。この妖怪じみた怪力、それはこの一人に限らない、高度経済成長への礎を築いた多くの人々への畏れの現れなのだろう。

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