紙の本
いまこそ読まれるべき
2001/07/23 15:53
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投稿者:TGW - この投稿者のレビュー一覧を見る
評価云々の問題ではありません。ハンセン病訴訟に一通りの決着がついても、新たなニュースに目を転じる前にまずこの作品を読んでみてはいかがでしょうか。この作品のメインテーマは直接的にはハンセン病問題ではないのですが、作品を通じて、実際の隔離政策というものがいかなるものだったかを知るてだてとなります。個人的には内容に少し時代差を感じる面があり、どこか不十分な感じを抱きましたが、この人の作品に通じる社会問題への目はいまの作家に少なくなってきたのではないでしょうか。
紙の本
映画のような作品で語られる愛
2002/03/27 13:31
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投稿者:どら - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画を見ているようだ。場面場面で流行歌が流れたり、道玄坂に霧雨が降ったり、戦後の東京近郊の風景が映像を見るように頭の中に入ってくる。そして歌や雨や風にのせて登場人物の微妙な心理が伝わってくる。
ミツは容姿もいいわけでなく凡庸な娘だが、その彼女の、人の苦しみを自分の苦しみとして感じ、行動していく姿をとおして「愛」が語られているのだ。ミツのことをなんとも思わず一度犯して棄てた吉岡は、彼女のことをもう思い出すこともないといいながら、最終的には、彼の人生にしっかりと痕跡を残していることを知る。
私はこの本で語られる「愛」に感動した。もし今自分の不運な人生をつらく思っているひとがいたら、一度読んでほしいと思う。ほんの少し救われるかもしれない。
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遠藤作品のヒロインのレギュラーとも言える「ミツ」もの。心に残り続ける関わることがないだろうと思っていた人との一瞬の接点。もの悲しさと平凡の日常を追って行く展開がたまらんです。映画化されてます。
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幼児のごとく−単純に素直に幸福を悦び、悲しみに泣き、愛の行為ができる人−の意味がよくわかった。久々に感動した。
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何か苦しかった。読後、最後に出てきた、「それなのにこの寂しさは何だろう」というような言葉が頭をぐるぐるしてました。
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恥ずかしながらこの年で初の遠藤作品。「聖女」で「理想の人」であったミツですが、彼女自身は幸せだったのか、と考えてしまいます。もちろん自分で選んだ道だから後悔はないでしょうが、でも一人の女性としての幸せも、できることなら手に入れたかったんじゃないかと思います。たった数回しか会っていない吉岡を愛し続けたのに報われることも無く・・・。そう思ってしまうのは「エゴイズムのない愛情」を理解できていないからでしょうか。立派な人と言われなくてもいいから、ただ一人に選ばれたいと願ってしまうのは弱さなんですかね。
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こいつは泣けます。
こんな純粋な人がいるのかと思います。
あと、昔の東京の様子ががわかっておもしろい。渋谷、下北沢など、今とは全然ちがう。
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時代を感じます。昔の学生ってこうかなって。今も本質的には変わらないんだろうけど、変わるかなと思うのは女性の男性に対して一筋な気持ちかな。
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善ってなんなのか。自分はミツのようになりたいのか。すごく人間の善について考えさせられた。自分はミツの部分も高岡の部分も両方持っていると思うので。これから就職して高岡の部分が増えていくのかな。少なくとも人の悲しみに敏感な人間でいたいものだ。
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ごく普通に生きる吉岡の心にミツがわずかに残した確かな記憶の物語。
久しぶりに小説を読んで泣きました。
幸せとは、優しさとは何かを考えさせられます。
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遠藤周作の本の中では軽小説に分類されてしまうのだけれど、書いてあることは、他の小説と同様本当の愛情とは何なのか、この一点に尽きると思います。
「沈黙」では、「棄教する事すら許す、自らを裏切る事すら許す」という作者自身が考えるキリストの深い慈愛について書いているけれど、この本の中のヒロイン・ミツがキリストの代わりに慈悲深さというものを訴えている。
キリスト教に無縁な私にとっても読みやすく、わかりやすい作品だった。
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わたしが棄てた女ではない、
ワタシが「・」棄てた「・」女
ヒトとの出会いを一期一会と思うのはこの作品が何らかの傷跡を残すから。
善良で無垢な魂が他の何事かに抑圧されて、表に現さないとしても
それを見出して救い出す存在はヒト。
目を背けるのもやはりヒト。
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僕らの人生をたった一度でも横切るものは、その人の心に「痕跡」を残す。
この作品の森田ミツもまた、「痕跡」を残していった。
多くの登場人物たちの心に、そして僕ら読者の心にも。
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高校の授業で扱った本。そのときの授業は大嫌いだったが、この本は別。なんか切なくなる。純粋っていいことなのか。
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世の中は暴力とか理不尽とか そんなものにうめつくされてるわけではない。
信じられる糸も ある。