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みんなのレビュー40件

みんなの評価3.8

評価内訳

40 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

奇妙な人物たちのミステリアスな話

2009/12/01 08:51

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:風紋 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 奇妙な人物の話ばかり15編集めた短編集である。
 奇妙とはいえ、こんな人物なら誰しも一度くらい出くわしたことがありそうだ。あなただって、奇妙な人物と思われているかもしれない。ということで、総タイトルは「あなたに似た人」。
 たとえば、『味』。

 男は、金持ちの友人マイク・スコウフィールド一家の晩餐に招かれた。株式仲買人のマイクは自宅に貯蔵するワインを鼻にかけている。同席した美食家プラットは、マイクの虚栄心に乗じて賭に誘いこんだ。マイクが自慢するワインの産地をあてたらマイクの娘をいただく、負けたら2軒の別荘を提供しよう、と。
 珍しいワインだから、あたりっこない、とマイク。
 万が一もある、と彼の妻と娘はやきもきする。
 マイクの倨傲、その家族の抵抗と欲。
 そして、一見紳士的なプラットのしたたかぶり。
 プラットはひと口ごとに正確に産地を特定していく。
 食卓だけを舞台にサスペンスがじょじょに高まっていく。

 賭けに憑かれた人々の狂気めいた執念、賭けがもたらす緊張が、賭になじみのない読者にも伝わってくる。読者を軽く戦慄させる小さなどんでん返しがあって、最後にドカンと大きなどんでん返しが読者を待ち受けている。
 省略のきいた文章だ。その先を知るのは怖い、こわいけれども知りたい、知らなくても想像できる・・・・そんな場面はあっさりと読者の想像に委ねてしまうのだ。

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紙の本

あなたにもある「狂気」

2010/03/26 17:53

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:佐吉 - この投稿者のレビュー一覧を見る

ダールは、『チョコレート工場の秘密』などの児童文学作品でつとに有名だが、同時に、しばしば「奇妙な味」と評される、独特のブラック・ユーモアに満ちた短編小説でも知られる鬼才である。『あなたに似た人』は、1953年に発表されたダールの初期の短編集であり、巷間ではこの作品をもって、彼の代表作、最高傑作とする声も高い。

ダールの作品世界については、作家都築道夫の言が的確である。本書の訳者あとがきで田村が引用しているので、ここに孫引きしておこう。

『ダールは大ざっぱに言って、ふたつのテーマしかあつかわない。賭博に打ちこむ人間たちの心の恐しさ。それと人間の想像力の恐しさ、つまり、実際にはなんの現象もないところでも、人間があつまるとその想像力から、こんな恐しいことも起るのですよ、という恐しさ。このふたつのテーマである』

都築はまた、本書に収録された『南から来た男』を「前(者)のテーマの傑作であり、本書随一の傑作」と評する。ちなみにこの作品は、鶴見俊輔、安野光雅、森毅、井上ひさし、池内紀編「新・ちくま文学の森」にも採られており(第9巻『たたかいの記憶』、1995)、またミステリ・マガジン2007年3月号(早川書房)では、作家・評論家・翻訳家らへのアンケート調査によるミステリ小説オールタイム・ベストの短編部門1位に選ばれている。

収録されている短編は全部で15編。殺人の絡む話も二、三あるが、おおむねどの作品においても、さほど大きな事件は起こらない。表面上は何も起こらない話さえ少なくない。プロット自体はかならずしも奇を衒ったものではない。

しかし読み進めていくうちに、いつの間にか狂気のスイッチが音もなく入れられている。気づいたときには、読者はすでにジェットコースターのシートに括りつけられ、コースターはゆっくりと坂をのぼりはじめている。徐々に緊張が増してゆき、ダールの深遠な黒い世界が目の前に迫ってくる。けれどもはや、引き返すことはおろか、そこから目を逸らすことさえできない。

なんでもない日常の一場面が、人間の想像力というフィルターを通した途端、異様で奇怪な光景へと変貌する。それは、ときにおぞましく、ときに禍々しく、ときに愚かしく、ときにユーモラスである。ダールは、人間の内奥に潜む狂気を、読者にまざまざと見せつける。

しかもその様は、まるでポケットからコインでも取り出すかのようにさりげない。そしてそのことが何にも増して怖い。なぜなら、それによって否応なく、自分のポケットにも同じものが入っているのではないかと思わされるからだ。そう、それぞれの物語の主人公はみな、「あなたに似た人」なのである。

いくつかの作品については、それによく似た構えで、なおかつもっと仕掛けに凝った他の作家の作品を、過去に読んだことがあるような気がする。しかし、おそらくそれは、ダールの作品に触発されたのちの時代の多くの作家たちによって、彼の作品が模倣されたということの証左にほかならないだろう。発表からすでに半世紀が経っているが、一つひとつの短編が放つ異彩は、今もまったく色褪せていない。

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紙の本

あなたにも、「ある」一面。

2008/01/26 23:09

4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:バリューラー - この投稿者のレビュー一覧を見る

あなたにもある隠れた一面は、日常では、光が強すぎて、見ることは出来ない。

ばかげた賭けとあなたも判断するだろう。もちろん主人公もそうだった。
しかし、問いかけられた言葉が、自分の中で自己増していく。そのさまを見事に表現している短編集である。

問いかけられた言葉は一種の触媒に過ぎない。過ちを犯してしまうのは、自分自身にある普段は意識してない一面である。
自分の中に、そういう一面があると気づくことさえも、はばかられるが、気づこうとしないでいると、ある種の触媒に触れた時、ワクチンがない状態の体に入り込んだウイルスのように、自己増殖してしまう。
 
 そんな馬鹿げた話はない、いや待てよ、うまくいけば、大儲けだ。そうだ、うまくいかなくてもたいしたことはない。いや、確実に当てることが出来るのだから、勝ったも同然だ。と自己問答を繰り返して、なんと、自ら賭けることにしてしまう。彼を賭けさせようと相手があの手、この手を尽くしたのではない。問いかけをしただけで、自己問答のループにはいり、そして行動へと駆り立てる。

巻頭の「味」という短編が傑作と言うことらしいが、私は「南から来た男」をお勧めする。親身になってくれる人がいたのだが、その代償が衝撃的な結末となってい

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紙の本

ひとまず読んでみましょう、奇っ怪な気持ちが残ります

2002/03/01 00:22

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:キイスミアキ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 どの作品も、ラストに訪れる驚きや感覚が新鮮で独特。作品だけではなく、『あなたに似た人』というタイトルからして、既に奇妙な味わいがあるのだから、ダールのセンスは凄い。児童文学での愛情を感じさせるダールではなく、基本的に大人向けの本作には、シニカルでペーソスに溢れるダールを見ることができる。
 
 以下に11作だけの紹介を。
 
 『味』
 希少なワインを味わい、その産地を当てるという賭けが行われる晩餐。普段ならば賭けに負けたホストが、代金として勝者にワインを贈るだけなのだが、なにがきっかけとなったのかすらわからないうちに、ホストの18歳の娘がかけられてしまう。
 結末の味わいは、あっけにとられ、はじめてに近いものだった。
 
 『おとなしい兇器』
 夫の帰りを待っている妻、彼女は身ごもり、幸せだった。彼女は、いつもより遅く帰ってきた夫の様子がおかしいことに気がつく。そして彼女に、夫を待ちながら想像していた、日常的で幸せなひとときが失われる瞬間が訪れたとき……。
 もっともミステリーらしい作品。
 
 『南から来た男』
 小柄な男は、青年をのせて賭けをする。それは、高級な車と青年の小指を賭けるという奇妙なものだった。
 青年が雰囲気にのまれていくと同時に、読者までもが、この賭けに対して身につまされる思いを抱くことになる。ダールの最高傑作とされている作品。
 
 『兵隊』
 何も見えない夜を進む、身体の感覚に異常をきたしている男。痛みがあるかないかもわからず、幻惑される夜に彼が見つけたものは……。
 
 『わがいとしき妻よ、わが鳩よ』
 若い夫婦を自宅に招き、ブジッジを愉しもうとしていた夫妻。妻が客人の部屋に盗聴器を備え付けることを主張し、最初は反対していた技術者の夫も最後には愉しみながら機械をセットしてしまう。
 
 『海の中へ』
 荒れた海に浮かぶ客船の船上では、船がどれだけ進むのか、その距離によって賭けを行っていた。短い距離に大金をかけていた男は、嘘のように静かになった海によって賭けに負けてしまったことを悟り、行動に移るのだが……。
 
 『韋駄天のフォックスリィ』
 汽車でオフィスに通うことを36年の間続けている男。規則正しい彼の日常に入り込んできたのは、寄宿学校で生活していた少年時代に、酷い暴力をふるわれた先輩だと思われた。
 
 『毒』
 男の腹の上には、猛毒を持った蛇がいる。白いシーツに隠され、その姿は確認できないのだが、男はベッドの上から這い出ることも出来ない。男の友人は医師を呼び、なんとか救い出そうと努力するのだが……。
 
 『お願い』
 かさぶたをはがしたくなってしまった少年。彼には、地面の黒いところを踏んで歩いてはいけいないという究極的なルールがあって……。
 
 『音響捕獲機』
 人の耳では聴くことの出来ない周波数の音を保存し、聴くことが出来る音声に変換して再生する装置を開発した男。庭先で装置を実験していた彼は、隣人が花をハサミで摘んだとき、非人間的な叫び声が響いていることが気がつく。
 SF的な風味が強い作品。
 
 『偉大なる自動文学製造機』
 小説家となることを夢見る天才的な技術者は、自動的に小説を創作してしまう自動文学製造機を開発してしまう。この装置を操縦するだけで、一流の作家が書く以上の作品が短時間で出来上がってしまう。やがて、高名な作家たちにも影響が……。

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ジョジョなどの元ネタが

2001/09/29 00:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Tuka - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「南から来た男」は、『ジョジョの奇妙な冒険』の第3部にある対ダービー(兄)戦の元ネタであると思われる。ダービーの「グッド!」という口癖もこの作品から拝借されていて思わずニヤリ。ジョジョ好きは押えておくべき作品だろう。

 「偉大なる自動文章製造機」は、東野圭吾『超・殺人事件』に収録の「超読書機械殺人事件」の元ネタだろうか。前者は粗製濫造大量生産の出版界を皮肉り、後者は本末転倒な読書をする読者を皮肉る。本好きなら両方とも押さえておきたい。

 他、「味」、「韋駄天のフォクスリィ」、「皮膚」、「告別」の4編もラストのひねり具合が良い。

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彼の児童文学より魅力は劣るものの

2001/08/20 06:35

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 あの「南から来た男」はダールの作品であったか!と再読してびっくり。「味」「おとなしい兇器」なども、まさにミステリの王道と言うべき作品ではないか。しかもあの不条理感はポール・オースターさえ喚起させるほどだ。

 私もそうだったように、ダールの児童文学に魅せられた子供が成長して彼のミステリを読むようになることを思うと感慨深いが、やはり、ダール自身が読者への気兼ねなく、思う存分空想世界に遊んでいるような児童文学の方が、大人向けミステリより真に魅力的に思えることもまた事実である。

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隣の残酷性

2001/03/29 23:40

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松内ききょう - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ふと道ばたで、見知らぬ誰かに囁かれた教訓。意地悪で、奇妙で、恐ろしい。「南から来た男」のこの素晴らしさはどうだろう。無邪気なまでの残酷さが、夢のなかまで追いかけてくる。ふと友人と信じていた人の底知れぬ悪意を感じたとき、あるいは感じる前に、読みたい。50年をえて今も新しいにおいのする短編集がここにある。

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毒が強すぎて

2002/01/27 20:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:APRICOT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 短編の名手と言えば必ず名の挙がる、ロアルド・ダールの短編集。収録作品は以下の通り。
 「味」、「おとなしい兇器」、「南から来た男」、「兵隊」、「わがいとしき妻よ、わが鳩よ」、「海の中へ」、「韋駄天のフォックスリイ」、「皮膚」、「毒」、「お願い」、「首」、「音響捕獲機」、「告別」、「偉大なる自動文章製造機」、「クロウドの犬」

 正直言って、個人的にはあまり好きではない。何と言うか、毒が強すぎて、気持ちが悪くなってくるのだ。だがそれでも、ダールがたぐいまれなる着想と筆力の持ち主である事は、文句なしに認める。
 ギャンブル・ネタが多いが、その中でも「南から来た男」は誰もが口をそろえて認める代表作。あまりの緊迫感に、読んでいて胃がキリキリと痛くなった。
 「おとなしい兇器」は、推理クイズにもよく出てくる、非常に有名なトリックの原典。今では手垢がついた感のあるトリックだが、これを最初に思い付いた事は賛嘆に値する。

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2005/06/13 16:17

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2005/04/25 09:55

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2005/05/23 00:29

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2006/06/08 22:49

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2006/08/28 23:53

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2007/01/27 16:26

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2006/12/14 12:30

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