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紙の本

恐怖政治の狂気を描く

2019/03/26 01:16

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る

画家エヴァリスト・ガムラン。ある意味で純粋であった彼が革命の理想に心酔し、恐怖政治の当事者となっていく。善意からであったはずの彼の政治への奉仕は次第に狂気に染まってしまう。それを異様な迫力で描いた。無辜の人を断頭台に送り続けた挙句、最後にはロベスピエールやサンジュストらとともに断頭台に消える。その中でも彼は革命を否定せず逆に肯定さえする。
 小説としてみるとその他の登場人物、作者の分身とも思えるブロトや彼の母親、ロングマール神父など印象的な人物が多い。エヴァリストの恋人エロディは彼を狂気のさなかに甘い逸楽に導くが、最後にはエヴァリストから別の男性に愛の対象を変えてしまう。それが恋人への「裏切り」にはちがいないが、その生きるための卑怯さも含めて作者は否定せず肯定しているように見える。
 アナトール・フランスは世間で言われるように書生じみているどころか逆にしたたかな作家であり、ゆるぎない筆致で、精緻に構築されたこの小説は間違いなく傑作だ。

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2011/06/19 17:11

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2011/08/01 22:21

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2013/03/30 21:38

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2020/06/13 22:52

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