紙の本
デューイを知る最高の一冊
2016/03/10 08:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、今では古典の分野に入ってしまうかもしれませんが、19世紀のアメリカが生んだ哲学者であり、進歩的な教育学者であるジョン・デューイの教育についての考え方を知る最高の一冊です。この書を読まずして、ジョン・デューイを語ることはできません。ぜひ、手にとって読んでみてください。
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前読んだ本は、やはり、スピーチであったがゆえにめちゃ分かりやすかったのだな、ということがよく分かった本(笑)。
いろんな角度から、教育とは何か?民主主義の発達に資する教育とは?ということを論じているのだけれども、語弊覚悟で一番簡潔に言うと、この上巻が言いたいのは、以下のことだと思う。
*教育は、周りの環境によって行う。=環境をうまく形作ってあげる(空間的・時間的に)ことが教育。
*つまり教育は、「経験」を通じたものである必要があり(内的統制)、そうでないものはただの感覚刺激に過ぎなくなる可能性がある。子どもたちが具体的に関心を持つ事柄を配置していくことが重要。(外的統制ではダメ。)
*また、民主主義の発達にとって、上記は、よりよい社会のために、幅広く、また、過去を学ぶことについても、現在に何かを役立てるために行うのでなければ意味がない。(ただ事実を知るだけのことは、それは学識があるとは言わず、それをきちんと調べて使えるようになっていることが重要なのである。)→教材や教育の課程はそれらを実現するようなものであるべき。
(やや副次的)*成長は無制限のものであって、大人が決める基準「まで」教育をすればよいというようなものではない。
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追記 20201208
デューイ学会より、『民主主義と教育の再創造』が刊行されます。全体の理解によいと思います。例の全体図は、311ページに載っています。
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b548619.html
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もう100年も前の著作ですが、体系的である点が今日に活かせる点です。これを批判的に学んで、自分の教育哲学をつくっていってください。
体系的ではありますが、下巻も同時に購入して、各自の興味のあるところ、読みやすいところ(章、あるいは節)から読んでいくことをおすすめします。
『教育原論』第7章にデューイ論として私が執筆していますが、これを入り口にするとわかりやすいかと思います。とくに、『教育原論』120ページの全体の構成図がよいガイドになると思います。ブクログのレビューも参考にしてください。
https://booklog.jp/item/1/4623081842
『民主主義と教育』の体系については、第24章「教育の哲学」に書かれていますが、それまでの内容を〈反省リフレクション〉して、ある意味メタ認知的に書いてあるので、この章だけ読み始めてもわかりにくいです。むしろ、リフレクションに興味のある人は第11章第12章、子ども理会に興味のある人は第4章、持続社会の教育に興味のある人は第1章、というように、それぞれ深めつつ、時々「全体の構成図」を地図にして今どこにいるのかつかめば「迷子」にならなくてすむと思います。第1章は、持続的社会論の先駆けとも読めます。
各章の終わりには、デューイ本人による要約がついています。
なお、各章のテーマを詳述したものとして、デューイの様々な著作があります。第11章リフレクションに興味があれば、『思考の方法 How We Think』へというように。『民主主義と教育』は、デューイ教育哲学全体のショーウィンドでもあるのです(副題が、教育哲学入門です)。
下巻の第23章職業論は全体の要であり、デューイが具体的に何を目ざしているのか(あっけないほどに)わかる章です。はじめにここを読むとわかりやすいかもしれません。就活までに学ぶとよいと思います。
デューイ教育哲学は、そのほかの教育思想や教育学を学ぶとき、同じ/ちがいでほかのものの理解にとても役立ちます。「全体の構成図」は、教育学全体を見る上での地図になるのです。
岩波文庫版は訳が古いといえば古いですが正確です。英語原文はネットですぐ読めるので、英語と照らして読むのがよいでしょう。20200421