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悪魔のハンマー 上 みんなのレビュー
- ラリー・ニーヴン (著), ジェリー・パーネル (著), 岡部 宏之 (訳)
- 税込価格:1,100円(10pt)
- 出版社:早川書房
- 発行年月:1980.7
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文庫
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紙の本
原発で沸かした熱いシャワー
2011/03/19 22:28
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:消息子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んでから30年もたっていておぼろな記憶で書くのをお許し頂きたい。自然災害もののパニックSFの、もう古典ともいっていい作品であろう。彗星が地球に衝突することが判明し、そして実際そうなり、破滅的状況を生き抜く努力が描かれる。後のパニックものの映画にも影響を与えたのではないかしらん。
今回、言及したいのはそのなかでもとりわけ印象的な場面。絶望的な状況の中、生存に苦闘する主人公の前に現れたのが、災害を生き延びた原子力発電所と、そこで文明の火を絶やさないようにがんばり続ける技術者たちなのである。この本を読んだ当時、すでに反原発の考えに触れていた私は、この理性と技術への手放しの礼賛に違和感を思えたことも事実である。
しかし、いま、福島第1原発の災害の現場で事態の収束のために働いている技術者、消防士、自衛隊員を思うと、この『悪魔のハンマー』で出てくる原発技術者たちの崇高ともいっていい姿を思い出す。そして、疲れ切った主人公が、原発で熱いシャワーを浴びるという極めて感官的な描写は、まさにわれわれが、非正規労働者の犠牲と、核汚染の危険と抱き合わせに享受してきた快適さを象徴しているのである。この熱いシャワー、ニーヴン/パーネルは全幅の肯定を与えるのだが、理念とは別のところにある快適さであり、抗しがたい。
福島原発の事態が収束したら、われわれはエネルギー問題を議論しなければならないだろう。そのとき盲目的な核への恐怖からでもなく、目の前の感官的な快適さからでもなく、賢明な判断ができるのだろうか。
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