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紙の本
混沌と萌芽の大作家の処女作。
2010/03/27 17:29
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
後にレムがその価値を否定したとされる長篇で、ツングース隕石の正体が金星からの宇宙船であることが判明し、その来訪の目的を探るための金星へ向かう宇宙船の建造と発射が計画・実行されるまでの第一部、金星探索の模様を描いた第二部で構成されている。第一部はヴェルヌ以来のさまざまな知見を駆使し、決った視点人物を持たない一種の「知識小説」であり、第二部は山男のパイロットの一人称による冒険小説のスタイルをとったファースト・コンタクトものといった趣。全体に当時の共産主義的理想にもとづく進歩主義的なヒューマニズムの謳歌がポジティヴに語られるなかを展開する「金星の謎」の正体は、その後のレムを想起させるディスコミュニケーションを感じさせるもので、なかなか興味深い作品だった。正直、緻密な科学考証や人物関係の記述、さまざまなエピソードはそれぞれにテーマもスタイルも異なっていて(しかもしばしば未消化に終る)、一本の長編小説としては全体的な有機性に乏しく、作品として散漫な印象を受けるのだが、それもある意味でレムという作家の多面性をいかにもしみじみと感じさせるものであり、とくにチャンドラセカールほか実在の科学者を何人も登場させ、しかも重要な登場人物として描いているところなどは、なかなか他のSF作家と異なるところで面白い。最近もまったく衰えないレムの人気を考えるとじゅうぶん復刊されてよい本であると思う。ほとんど内容と関係ないじゃんと思われるタイトル(邦題)の謎が読了後「成程!」と手を打つオマケつき。
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