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『キプロスの蜂』 アントニー・ウイン
車の中で死んだミセズ・パードウェル。蜂に刺されたことが原因だが・・・。現場近くで警官が拾った小箱の中の蜂。ミセズ・パードウェルの部屋に落ちていた詩集を買った伝票から男と他の女性の存在を推理したヘイリー博士。ミセズ・パードウェルと関係を持っていたコンウォール医師。
『堕天使の冒険』 パーシヴァル・ワイルド
クラブでイカサマを暴いたトニイ。事前にトニイから相談を受けていたビル。イカサマ用に印のついたトランプ。エンゼル・パックと呼ばれる高級トランプ。クラブのエンゼル・パックには全て印がついていた。エンゼル・パックの品不足が始まってからツキが落ちたヴェンナーと直前に大勝ちして姿を消したケンドリックの秘密。
『茶の葉』
仲違いをしたケルスタンとウィラント。原因はケルスタンの娘ルースとの婚約をウィラントが破棄した事。サウナで毎週顔を合わせる2人。二人きりのサウナからウィラントが出てきた直後発見されたケルスタンの遺体。ケルスタンの持ち込んだ水筒のお茶。心臓付近で見つかったお茶の葉の謎。
『偶然の審判』 アントニー・バークリー
クラブでサー・ウィリアムに届いた試供品のチョコレート。妻とのかけに負けてチョコレートを欲しがったベリズフォード。帰宅後食べたチョコレートに含まれていた毒によって死んだベリズフォード夫人。ロジャー・シェリンガムの推理。
『密室の行者』 ロナルド・ノックス
怪しげな宗教に取り付かれインド人4人を家に招き入れた富豪のジャービソン。密室状態の体育館を改造した部屋で餓死していたジャービソン。部屋の中に置かれた食料には全く手がつけられていない状態。高所を恐れていたジャービソン。
『イギリス製濾過機』
ローマにやってきたホークス。イタリアの教授リボッタを訪問し話を聞くホークス。実際の研究は助手のラヴァレロが行っていた。優秀な研究者のラヴァレロ。教授自慢のイギリス製の濾過器に仕掛けられた毒。密室状態の部屋で入れられた毒の謎。
『ボーダー・ライン事件』
警官が見つけた遺体。対立するギャングに殺されたと思われるジョニイ。彼と情婦の恋に気がついていたドノヴァン。ドノヴァンのアリバイを主張する情婦のジョセフィン。ジョニイが実際に殺害された場所に隠された秘密。
『二壜のソース』
リンリーと共同生活を始めたスメザース。彼が訪問販売するナムヌモを2つ購入したスティーガーにかかった妻殺しの容疑。消えたナンシー・エルス。ナンシーの失踪後に急に菜食主義者になり意味もなく木を切り倒し始めたスティーガーの謎。
『夜鷺荘』 アガサ・クリスティ
お金がないために結婚をためらっていたアリクスとディック。遺産が入ったアリクスに求婚し結婚してしまったジェラルド。曜日違いでやってきた庭師との会話から夫に不信を抱いたアリクス。アクリスが見つけた新聞に書かれた妻を殺す夫の記事。電話を使ったディックへのSOS。
『完全犯罪』
完全犯罪についてトレヴァー教授と語り合う弁護士のヘア。教授が解決した完全犯罪未遂の事件についての間違いを指摘したヘアの運命。
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この巻はシリーズの中でも特に傑作揃い。アントニイ・バークリー「偶然の審判」は『毒入りチョコレート事件』の原型となった作品だがこっちのほうが切れ味がいいし、ロード・ダンセイニ「二壜のソース」は本書の中でも頭ひとつ抜けている。真相をはっきり書かないで、それでいて《あの言葉》を最後に残すやり方などが、いい意味で嫌らしい。《二壜のソースをいっぺんに買ったのか、それとも一壜ずつ別の日に買っていったのか》という探偵の質問は秀逸だと思った。それ以外でも「密室の行者」「ボーダー・ライン事件」「夜鶯荘」「完全犯罪」などの作品はよい出来だった。
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「密室の行者」「偶然の審判」など傑作が目白押し。とくに「密室の〜」は今まで読んだ密室ものの中でもベストでは?
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ウイン「キプロスの蜂」
ワイルド「堕天使の冒険」
ジェプスン&ユーステス「茶の葉」
バークリー「偶然の審判」
ノックス「密室の行者」
ロバーツ「イギリス製濾過器」
アリンガム「ボーダー・ライン事件」
ダンセイニ「二壜のソース」★★★★
クリスティ「夜鴬荘」
レドマン「完全犯罪」
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面白かった~!
どれもよかったけれど、やはり「二壜のソース」(ロード・ダンセイニ)は頭一つ飛びぬけている。
この語り口の妙。最後の一行の意味深さ。そうですそうです、本当の恐怖とは、容赦なく優雅でなければなりませんよね! <奇妙な味>の醍醐味が冴え渡る一品であった。
そのほかで印象に残ったのは、「堕天使の冒険」「密室の行者」「偶然の審判」「ボーダー・ライン事件」。
「密室の業者」(ロナルド・A・ノックス)には、その大胆なトリックにびっくり。このネタは、現代でもかなりインパクトあります。
「偶然の審判」(アントニィ・バークリー)は、長編作品である『毒入りチョコレート事件』よりも、この元である短編の方が綺麗にまとまっており、切れ味もよくて好き。『毒入り~』は面白さが全然違う作品であるとも言えるが。
「ボーダー・ライン事件」(マージェリー・アリンガム)は、私の好きなタイプのトリックだったので。密かに『黒後家蜘蛛の会』の某短編を連想した。
この第3巻は全体として質が高い短編ばかりが収録されており、非常に贅沢な巻だった。ちょっとクラシックなミステリーが読みたいという人(がいれば)、ぜひともおすすめたくなるアンソロジーである。
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【出版社/著者からの内容紹介】
短編は推理小説の粋である。その中から珠玉の傑作を年代順に集成したアンソロジー。第3巻には、ウイン「キプロスの蜂」、ワイルド「堕天使の冒険」、ジェプスン&ユーステス「茶の葉」、バークリー「偶然の審判」、ノックス「密室の行者」、ロバーツ「イギリス製濾過器」、アリンガム「ボーダー・ライン事件」ダンセイニ「二壜のソース」、クリスティ「夜鴬荘」、レドマン「完全犯罪」の10編。江戸川乱歩の解説、巻末には中島河太郎の短編推理小説史を付した。
ウイン「キプロスの蜂」
ワイルド「堕天使の冒険」
ジェプスン&ユーステス「茶の葉」
バークリー「偶然の審判」
ノックス「密室の行者」
ロバーツ「イギリス製濾過器」
アリンガム「ボーダー・ライン事件」
ダンセイニ「二壜のソース」
クリスティ「夜鴬荘」
レドマン「完全犯罪」
昔のミステリと油断していたら、まんまとやられました。
どれも驚きのトリック。
予想通りと言うのもありましたが、それでもドキドキしつつ読みました。
「二壜のソース」、最後の一行にこんな衝撃をうけるのもそうそうないと思います。
「密室の行者」は大味のすごいトリック。
こうして知らなかった作品に出会うとたびに読みたい本が増えるばかりで困ります。
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第三巻は、シリーズ屈指のラインナップだが、中でも名高いのはやはりダンセイニの「二瓶のソース」だろう。このラストは強烈だ。その他にも「堕天使の冒険」「茶の葉」「偶然の審判」「密室の行者」「ボーダーライン事件」など傑作ぞろい。何度でも読み返せる一冊だ。
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短編ミステリーアンソロジーの第三巻。本巻には1920年代後半の話が収録されている。
「キプロスの蜂」 アントニー・ウイン
医師探偵のヘイリー博士がキプロス蜂を使った毒殺事件に挑む話。1920年代に既にアナフィラキシーショックを組み込んだトリックが存在したことに驚きである。
「堕天使の冒険」 パーシヴァル・ワイルド
イカサマのために印を付けられたトランプを巡る話。探偵役のビルとその相棒で探偵役にチャレンジするもうまくいかないトニイのかけ合いも楽しいが、話が進むと共に過去編に入っていく展開が秀逸。クラブのトランプに細工しようとしたら既に全トランプが細工済みだったなら、そりゃ驚くよ。
「茶の葉」 E・ジェプスン&R・ユーステス
浴室で緑茶を飲んでいた男が心臓を刺されて殺されたが、凶器が見つからない話。トリックは現在でも非常に有名なものだが、元ネタが本作であることは始めて知った。江戸川乱歩にも「古典的名編」と呼ばれている。人が死ぬ事件が起こったにも関わらず、誰も悲しまない完全なハッピーエンドで終わる話はかなり珍しいと思う。
「偶然の審判」 アントニイ・バークリー
準男爵のサー・ウィリアム宛に送られた毒入りのチョコレートが偶然他人の手に渡り、事件を引き起こす話。バークリーは長編「毒入りチョコレート事件」で有名だが、本短編はそちらのプロトタイプ版で、事件の内容はほとんど同じなのだがトリックや犯人は全く違うのが面白い。同じ題材でも長編と短編では料理法が異なるという好例でもある。
「密室の行者」 ロナルド・A・ノックス
ミステリーの十戒で有名なノックスの密室短編。食料がたっぷりある密室で餓死するという、異様としか言い様のない状況下でのトリックに迫る話。状況もさることながら、トリックも大胆極まりない。犯行においてかなり残酷な事が行われているのだが、全体的に淡々と話が進むためか不快感をあまり感じない不思議な作風だった。変なインド人には気をつけよう。
「イギリス製濾過器」 C・E・ベチョファー・ロバーツ
ローマで老いぼれた教授が、自慢のイギリス製濾過器で濾した水を飲んで死ぬ話。イギリスから来た客人にイギリス製の製品を見せても、あまり感動してくれないと思うのだが。それから、古代ローマにはグラスで酒を飛ばすコッタボスという遊戯があった事はしっかり覚えた。
「ボーダー・ライン事件」 マージェリー・アリンガム
街頭で男が射殺されたが、倒れている位置的に容疑者の犯行が否定されてしまう話。ボーダーライン事件という題名が全てを物語っている。明快でよろしい。
「二壜のソース」 ロード・ダンセイニ
少女が行方不明となり、恋人の男が疑われるが死体の隠し場所が分からない話。最後の一行で戦慄させるタイプの作品としては全ミステリーの中でも最高峰の傑作で、正直このシリーズ全五巻の中でも一番怖かった。中島河太郎が絶賛するのも納得である。
「夜鶯荘」 アガサ・クリスティ
素性の分からぬ男と結婚した女性が、男が連続殺人鬼ではない���と疑い始める話。妻の心情がリアルに描かれているために緊迫感のある雰囲気から、最後の鮮やかな逆転劇に至るまでの流れが見事。
「完全犯罪」 ベン・レイ・レドマン
世界でもトップクラスの偉大な探偵ハリスン・トレヴァーが、完全犯罪を論じているうちに些細なきっかけから完全犯罪を実行に移す話。最後には意図せぬ形で完全犯罪を完成させてしまっており、何とも言えない迫力が感じられる。作中に出てくる日本人タナカが口にする諺「フジサンニ、ノボッタラ、サゾ、トークマデ、ミエルデショウ」は日本人の自分でも聞いたことがないので、恐らくタナカオリジナルの諺だろう。
三巻収録の作品は、トリックの意外性や不気味さなどで際立った作品が多く、シリーズの中で一番気に入っている。特に「茶の葉」から「完全犯罪」に至るまでの八作品の流れは、今まで読んできたどの短編アンソロジーより豪華だと言える。一番気に入っているのは「密室の行者」、次いで「二壜のソース」、「茶の葉」、「完全犯罪」。
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有名と言われている「茶の葉」を読んだのだが、それ以上に強烈だったのが「二壜のソース」!最後の1行のフレーズが強烈だった。
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・アントニイ・バークリー(フランシス・アイルズ) 「偶然の審判」は「毒入りチョコレート事件」の原型
・パーシヴァル・ワイルド 「堕天使の冒険」…トランプ詐欺を描いたもの
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『阿津川辰海 読書日記』攻略の副産物。
地元の図書館には置いてなかったけれど、足を延ばした先に発見。旧版だけど。
どれも一昔どころか、もう一息で100年前の作品ばかりかつ短編なので、現代ミステリと比べるとトリックやプロットが淡白である感は否めない。
でもやっぱりそこに宿る力は侮れない。
”茶の葉”なんかは驚くべきことに先日読んだ『アンデッドガール・マーダファルス1』のトリックに受け継がれていたし、”二壜のソース”のうすら漂う予感から結末へのゾワゾワ感、”完全犯罪”のいつの間にかひっくり返されてる感なんかは時による色褪せを感じさせず、今読んでも全然楽しめる。
そしてやっぱり”偶然の審判”。
『毒入りチョコレート事件』を読んでいるだけに大いに感慨深いものがあった。
”別解”に対する自分のあやふやな感じ(あれ、この解ってあった気がするけど。。。でもそもそも毒入りチョコレートなかった説は新鮮に感じたので、そこか!?やばい、ついこの間読んだばかりなのに憶えていない。。。あ、結末がか。)はさておき、『毒入り~』とほとんど同じ骨格を成す物語故に、ここからよくもまぁ6つの多重解決を含ませる物語に膨らませたなぁと。
ただ単に膨らませるだけでなく、多重解決にするために隙を作りつつのことであろうに。
と、改めて良くできた作品だったなぁと回想。