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アントワーヌが命を絶つまでの記録。甥のジャン・ポールのための遺書。未来に良き世界をつなげることが、安楽した死を保証する。今の世はどうだろうか、、、
本シリーズの隠れたテーマとして、緩慢な死(3人に共通)、安楽死(父)、自死(アントワーヌ)といった死をめぐるタブーに切り込んだことが特筆できる。
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ついに読了。高校1年の夏に読んで以来の再読。黄色い本ねンねンを売り払い白水uブックスで買いなおしてからも実に長いこと寝せてしまった。16歳時に果たしてどれだけ理解できていたのかはわからないがとにかく感動したという記憶だけが胸の奥深くに刻まれていた。今回は先に巻末の解説を読んでから読み始めるということを繰り返し理解は深まったように思う。正直開戦前後1914年の3巻はかなり斜め読みになってしまった。最も感動したのは最終巻アントワーヌの独白、日記の部分。病や死というものが身近に感じられる年になったからなのかもしれない。
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戦争でも災害でも事故でも、死者数はデータである。その時代にいなかった者たちにはデータである。その一つ一つに悲しみと怒りがあることを想像する。チボー家の二人の息子はどちらも戦争の犠牲者である。ラストで長男は自分の病状や世界情勢を克明に記録し、幼い甥のジャン・ポールに希望を託す。私はこんなに強い病苦の中での彼の強い意志に圧倒された。物語は彼の自死を匂わせて終わる。ダニエルも母が生きてるうちは生きるよという。ジャックの政治運動の時期がこの話のピークだったのかな。こんな終わり方とは想像していなかった。