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「講座美学」シリーズの第3巻で、学問としての美学における主要な方法についての論文が収録されています。
本巻の「はじめに」には、「二十世紀後半によく使われていて将来も稔り多い成果を生むと思われる方法を選ぶことにした」とあり、現象学、解釈学、芸術記号論、分析美学、実験美学、形而上学的方法、社会学的方法、比較美学、構造主義、制作学がとりあげられています。また、編者の今道友信が提唱する「カロノロジア」についても一章がわりあてられています。
ただし、執筆者によってそれぞれの章における方法のとりあつかいに大きなちがいがあります。金田晉が執筆を担当している「現象学」の章では、執筆者がすでにこの主題について論じたことがあるためか、ハルトマンやインガルデンといった現象学の立場に立つ美学者についての解説はなされておらず、もっぱらフッサール自身の美学的議論の検討がなされています。また藤田一美が執筆を担当している「形而上学的方法」の章は、アリストテレスの美にかんする思想についての論考となっており、編者の今道が「序論」においてスーリオ、ベルリンガー、パレイゾンらの仕事について触れるなど、現代的な観点から補足的な解説をおこなっています。