紙の本
旅の途中で……
2001/03/27 03:06
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
22世紀、恒星間宇宙より太陽系に侵入してきた謎の物体は、直径20キロ、全長50キロの円筒形の物体であった。《ラーマ》と命名されたこの物体は、人類が初めて目にした異星文明の手による工作物である。いかなる活動の形跡をも見せず沈黙を守るラーマに調査隊が派遣され、やがて彼らはラーマの内部へと侵入する。
調査隊はラーマの謎を解きはしない。そのことはこの小説の本筋ではない。彼らは短い滞在期間のうちに、ラーマが秘めているであろう数々の驚異のほんの一部を、ごくごく表面的に、断片的にかいま見るだけである。宇宙の謎が明らかになったりはしない。生身の異星人も出てこない。大変地味な(そう、まるでノンフィクションも
ののように地味な)探査記録と言ってよい。
だがその地味な探査記録が、なんとSense of Wonderを感じさせることか。傑作の多いクラーク作品の中でも、いっそうの輝きを放つ傑作である。
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宇宙の深淵から飛来した謎の物体。
調査隊が乗り込むが、その結果は…。
2001年シリーズのような難解な解説はなく、謎の物体に対する探検に主をおいている。
宇宙は謎に満ちている。
我々の思いもよらぬ事がおきる可能性を常に秘めている。
と、宇宙への想いをかき立たせる一冊だと思います。
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これは探検小説なのだ。ホントに探検するだけで話が終っちゃうけど、その緻密な描写がグイグイとラーマへ引き込んでくれます。
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http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004864.html
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ヒューゴー賞、ネビュラ賞受賞ということだけど、
私は★3で。
えーっと、良さは頭では理解できている、と、思う。
だけど私的にはもう少し小説的面白さが欲しかったかなあと。
一つの物語というよりは、
記録の集積のような感じで盛り上がりに欠ける。
安易に宇宙人とコンタクトするようなドラマよりは、
未知の物体だけとの邂逅や結局解き明かしきれなかった高度な科学など
ずっとあり得そうな設定が好感を持つし
そこが私がクラークを好きな理由の一つなんだけど、
それは逆を言えば
物理的法則に留まらずあくまで現実に起こりえる可能性に則していて欲しいということで
若干ストーリー展開にご都合主義が感じられたんだよねえ。
未来の社会の設定はそれでいいの? 的な感じは
わりといつものことだから見逃すけれど。
あと前半にある「ラーマはもう充分に警告を出してした。今こそ立ち去る時だった」という文句が
読み終えた今となってはどうも空脅しにしか思えない。
本当に理系の人にはいいかもです。
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SFチックな用語が出てくるのは個人的にかなり好みだ。正体不明の人工物に対して調査可能な地球の宇宙船が一隻しかなく、その船の船長の思いや乗組員たちの行動、次々と発見される新事実への対処などは読んでいて大変興味深い。
が、ストーリーとしては結局最後までなぞのままになってしまうのが残念だ。
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人類にとって進歩しすぎたものは、未知となり、恐怖を掻き立てる、というのが彼の小説の一貫したテーマのように感じられます。
幼年期の終り、そしてこの作品でもその恐怖が描かれています。でも、その未知に立ち向かう人がいて、彼らはいつも好奇心や勇気があり憧れてしまいます。
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読了した古典。すいません、読んでませんでした(^_^;
宇宙のランデヴー/アーサー・C・クラーク、南山宏訳(ハヤカワ文庫SF)
時は22世紀、人類は太陽系内の諸惑星・衛星に移住を進めています。その中に忽然と現れた、明らかに異星の科学文明によって築かれたと思われるスペース・コロニー状の巨大物体「ラーマ」。その目的も目標地もわからない謎の物体を探るべく、急遽派遣されたエンデヴァー号の乗組員の手に汗握る冒険行を綴った長編ハードSFです。
作者のクラークは「2001年宇宙の旅」「幼年期の終わり」等のSF史上に残る大傑作を残す巨匠であり、そのクラークの代表作であると推す人も多い作品です。しかもヒューゴー賞・ネビュラ賞のダブル・クラウンということで鴨も心して臨んだんですが、良い意味で軽いタッチのさくさくと読める作品でした。何故軽いかというと、余計な叙述が一切省かれているからなんです。ハードSFとして成立しうる必要条件を最もクリアなレベルで表現している、といったらいいのでしょうか。たぶん、SFを読んだことのない人が「SF」と聞いて思い浮かべるイメージを、そのまま具現化した作品だと思います。
まさに
センス・オブ・ワンダーの王道。
逆に言えば
ホントにそれだけ。
ではありますヽ( ´ー`)ノ血の通った人間ドラマとか求めちゃいけません。クラークが描きたいのはファースト・コンタクトの驚異であって、個人の心の動きではないわけですから。それがクラークのクラークたる所以でもあります。
この作品の主役とも言える「ラーマ」の謎は、実は最後まで解けません。謎のままです。それを「面白い!」と思えるか否かが、ある意味SF者としての試金石になるのではないかとヽ( ´ー`)ノ不可知の存在を楽しめるという点が、SF者の必要不可欠なポイントなんですよねヽ( ´ー`)ノしかも、謎を残しまくった最後の一行がまたカッコいいんだなぁ。久々に歴史に残るフレーズに出会いましたよ。
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未知との遭遇がテーマ。
個性的な登場人物が活躍する、スリリングな物語でした。
スタニスワフ・レムを読んだ後なので余計に読みやすさ抜群(笑)
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80023.151
壮大なスケールの本格SFを久しぶりに楽しんだ。情景描写が精密で想像をかきたてる。
※1990再読
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アーサー・C・クラークにしては、スペオペしてる作品。太陽系が狭い。
不屈な水星人なんか、キャプテン・フューチャーにでてきてもいいくらいのキャラ設定。
細かい部分は上記含め、読んでいて楽しい。
一方で、全体としては読後よく分からない感が残る。
最後までラーマ人の意図が見えない、そして腑に落ちないのがその理由。太陽系によったのは補給が目的って言われてもな、うーん。
それに、宇宙船?内で好き勝手されて(色々採られて、壊されて)、怒った様子もないのは、さすがに無頓着過ぎはしないか、ラーマ人
ファースト・コンタクトは、こっちが力みすぎて、勝手に肩透かしにあうかも、ってメッセージなのだろうか。
この作品が書かれたことによって、SF読者達が今後100年読書対象に困ることはないだろう。
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さすがクラークとしか言いようのない語り口。はじめのアイデアだけが荒唐無稽で、あとは全て理詰めで組み立ていくSFの王道。しかも高校物理程度の知識で十分理解できる。
高い崖の上から飛び降りても無事で帰れる場面は発想の転換!
ただ、また読みたいとは思わないのが残念。
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こりゃぁ、良かった。続編が有るんだが、読んでみたいという欲望にかられる。あまり信じないにせよ、SFの世界では有名はヒューゴー賞とネビュラ賞を授賞した作品と言うことで期待したが、その期待通りだった。
出だしは、「神の鉄槌」。全く一緒の背景から始まる。しかし、展開はまったく異なる。むしろリングワールドのノリ。彗星だと思っていたのは人工の飛行船だったって話。途中であらかた結末は読めたものの、それでもなお、この飛行船の中での物語は熱中させるに足る内容だ。
ラストも意味不明でしり切れとんぼではなく(これは連続して先に「神の鉄槌」「グランド・バンクスの幻影」という2作品を読んだ直後だからかな?)、けっこうすっきりと終わっている。グランド・・の方がキレの良い終わり方であることは認めるものの、こっちも満足。続編を読みたくなるね。
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SF界の巨匠アーサー・C・クラーク珠玉の一作は、ヒューゴー賞とネビュラ賞のダブルクラウン。
舞台は西暦2130年。宇宙に進出した人類は、謎の物体が宇宙の彼方から太陽系へ迫りつつあるのを発見する。
当初、小惑星と思われていたそれは、探査の結果、高度に発達した文明による円筒系の建造物らしきものであることが判明する。
艦長ノートン率いる調査隊は、宇宙船エンデヴァー号を、ラーマと名付けられた建造物にランデヴーし、調査を開始する…
すげぇワクワクしながら読んでいた。
クラークの作品には、冒険心というか、知的好奇心をくすぐられる感覚で、常にワクワクさせられる。
というのも、作中で示される建造物内部の構造や、調査隊や学者による推察が極めてリアルなのだ。だから、頭のなかの空想に酔いしれることができる。
さて、以前読んだ『2001年宇宙の旅』や『幼年期の終り』と同様に、本書は、人類と地球外生命体とのコンタクトをひとつのテーマにしている。
クラークは、地球外生命体を人類より卓越した存在に描くことで、彼らが何のために人類の前に姿をあらわしたのか、その目的の究明に焦点をあてている。
そして、その目的には、人類には推し量れない領域があることを示唆することで、宇宙の深淵さを確実なものとし、茫漠な宇宙空間に対する読者の知的好奇心を見事に高揚せしめている。
また、本書におけるコンタクトの対象は、異星人ではなく建造物であり、その目的も遂に明らかになるわけではないが、これもまた知的好奇心を高める要因のひとつだ。
加えて、作中最後の一文。
これには鳥肌がたったなぁ。否応なしにその言葉の真意を探ってしまう…
どうやら続編がある模様。
読みたいけど、真相を曖昧なまま伏せておきたい気もする。
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ラーマ平原に降り立ち、世界を一周する円筒海や、雲に霞む”ニューヨーク”を見上げる自分を想像せずにはいられない。リングワールドと双璧をなす圧倒的なスケール感に心を揺さぶられた読者も多いのではないか。傑作SF