紙の本
お話と絵が幸せに結ばれた絵本。「真善美」がそなわった絵本。
2001/03/31 18:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまんきみこさんの代表作といえば、30数年前に私が小学校低学年だったころの国語の教科書にも掲載されていた『車のいろは空のいろ』というファンタジーということになるかと思う。まついさんというタクシーの運転手さんの物語である。
だが、それよりも私が好きなのは、この『ぽんぽん山の月』と『きつねのおきゃくさま』という、どこか昔ばなしのような雰囲気をもった2冊の絵本である。
『きつねのおきゃくさま』は、丸々と太らしてから食ってやろうと養っていたひよこやあひるたちに「おにいちゃん」と慕われたがため、彼らを守るためにおおかみと戦って死んでしまうきつねの話である。その悲しさは、大人の思い込みほどに、小さな人たちには伝わりにくいかもしれない。
その意味では、この『ぽんぽん山の月』も、深い味わいができるようになるには、幼児には早すぎるのかもしれないという気がする。
用語はわかりやすいし、短いお話である。普通の絵本は見開き15画面というのが一般的なのであるが、この本は11画面しかない。それなのに、子どもの体験では追い切れないかもしれないと考えてしまうのは、逆に言えば、これだけ深く味わいが、これだけわかりやすい言葉だけを使って短い文章で出せるものなのか、という詠嘆に他ならない。
4匹の子うさぎが、おいしいものをさがしに出かけたおかあちゃんの帰りを待っていると、月がのぼってくる。月は、おかあちゃんがおだんごを作っているような影を映している。
その様子を、町までだんごを買いにいったやまんばが見ている。彼女は、1ぴきのうさぎが猟師に撃たれたのを見てきた。それがこの子たちのおかあちゃんなのでは、と思う。
おなかをすかせた子どもたちのため、やまんばはだんごの包みをそっと草の上に置く。
その様子を秋風の子がじっと見ている。風の子は、はずかしがりやのやまんばが、苦労してやっとだんごを買ったところを見ていた。風の子がやまんばのあとを追うと、子うさぎたちが、おいしくだんごを食べている声がやまんばの耳に届く。子どもたちは、おかあちゃんがだんごの包みを月からおろしてくれたのだと思っているようである。
その風の子とやまんばと子うさぎたちの様子をじっと見ていたのは…。
渡辺洋二さんは、私が好きな日本の絵本の画家の五指に入る人である。『やいトカゲ』とか『ふとんかいすいよく』とか、ちょっと切ないような不思議な雰囲気がある絵本のお話の、その雰囲気をうまく両手にすくって色や形にしてしまう。
この絵本も、各画面が印象的な絵であるが、だんごの包みを下げて子うさぎたちの心ぼそそうな様子をのぞいているやまんばの、ちょっと前かがみの姿勢が何とも言えない。優しさというものは、そんなところにまで漂っているのだなという気がする。
文と絵が幸せに結ばれた絵本だなと思う。
紙の本
ポンポン山の月
2024/01/27 17:50
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投稿者:まんまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
親の私がみたら切なくなってしまいました。絵がとても素敵でお話の切ないけど優しい夜に合っていました。こんな素敵なやまんば初めてみました。
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うおっといい話でした><
あまんきみこさんってよく見かけるな~と思ったら
「ちいちゃんのかげおくり」のひとでした
かげおくり、今でも快晴だとやったりします。笑
ちょーーいい話でした。
やまんばやさしい^^
あきそうだけど、タグ気が向いたらつけてみよ~
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こうさぎたちのお母さんは、猟師に打たれて死んでしまいました。
それを知らないこうさぎたちは、月を見てびっくり。
お母さんが月でおもちをついているように見えたのです。
それを見ていたやまんばは、だんごのつつみを草の上にそっと置きました。
秋風の子は、風に乗せてこうさぎたちの声を届けます。
「ああ、おいしい。」
「おかあちゃんが、月から おろしたんだ。」
ホッとするやまんばと、風の子と、こうさぎたちを見ていたものがありました。
それは一体誰だったのでしょう…
可愛らしい、短いお話。
けれど、胸がギューッとしめつけられるような優しさが伝わってきます。
読み聞かせは低学年に。
でも、誰もが心にあったかいものが残る絵本です。
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やさしいやさしい世界。
大きなものに包まれて見守られているという安心感。
ひとりじゃないんだなぁと思わせてくれる。
目線がどんどん変わって大きくなっていく所がとても素敵。
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小学校2年生の国語教科書掲載推奨図書。
私も推奨します(笑)
どこかで誰かが、いつも見守っていてくれるんだな~。
と、ほっとするような心温まるような、じんわり幸せな気分にさせてくれるお話です。
私が大好きなとってもいい絵本。教室に是非とも置きたい一冊です。
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4匹の子うさぎたちは、山の上でなかなか帰ってこないお母さんうさぎを待っています。
そんな時、山の上にまんまるお月さまが表れて、その中にお母さんうさきが・・・
『あれ、おかあちゃんだ』『何してるのかな』『早く降りておいでよ』と言う子うさぎたち。
でもお母さんうさぎは、えさを探しにでかけ猟師に撃たれてしまってたのです。
その様子をみていた恥ずかしがり屋のやまんばは、やっと買ってきた団子のつつみをそっと置いて帰ります。
そんなやまんばを見つめる風の子は、そっと子うさぎたちの「ありがとう」の声を運びます。
そして、みんなを見守る十五夜のお月さま。
悲しいお話なんだけど、優しさがいっぱいあって、温かい気持ちになれる絵本です。
優しいやまんばもいるんですね。
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こうさぎを見守るやまんば、やまんばを見守るかぜのこ、それらを見守る十五夜の月。
月の光のように、優しく静かに心に沁みる絵本。
(読んだ時期:5歳1ヵ月)
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お母さんは死んでしまったのだけれども、うさぎの子供たちの無邪気な会話やそれを見守る他の登場人物の視線が温かい.
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2012.6.24.sun
【経路】
図書館。
【感想】
優しい夜のお話。
ヤマンバがシャイで優しいっていう設定は初めてみたから新鮮!
ただ、このあとのうさぎのこどもたちのことを考えると、根本的な解決じゃないからヤマンバの優しさが本当の優しさだったのかが不安になる。。
【内容メモ】
・ぽんぽん山
・うさぎのこども
・おかあさんどこー?
・シャイなヤマンバ
・お団子置いて
・シャイで、お団子やっと買えたのを見守っていた風の子
・それを見守っていたお月様
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ぽんぽん山の山奥に住む、はずかしがりやのやまんばと、子ウサギたちの悲しいけれど心優しいお話。
お月さまに向かって呼びかける、子ウサギたちの言葉に何度涙したでしょうか。
月のきれいな夜には、手にとって読みたくなる一冊です。
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4分。子うさぎを見つめるやまんばの目も、やまんばを見つめる秋風の子の目も、それらを見つめるお月さまの目も、みんなみんなやさしくて温かい。
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母親をまつ子ウサギたちのいじらしさ、
はずかしがりやのやまんばと、
あきかぜのこの、
優しさ
そしてすべてを包み込む、
お月様の柔らかで優しい光。
悲しいけれど、一筋の光のあるお話。
いつでも誰かがそっと見守っていてくれている
そんな気持ちになる絵本です。
(エナミ)
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おかあちゃんを待つ子うさぎ達と、やまんばと、風の子、それを見守るぽんぽん山の月のお話。
いきなり、切ないです。
帰ってこない母を待つ子うさぎ。
この設定だけで泣けてくるんだけど。
せっかく買ったお団子をあげちゃうやまんば。
子うさぎの声を伝える風の子。
それを優しく見守る月。
美しくて暖かな気持ちになる終わりに、やっと少しホッとした。
生きていくって時にはすごく厳しいけど、助けてくれたり優しくしてくれる存在もいるんだよ、って感じですかね。
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少し大人っぽい、話だけど、こういうお話を子供にとどけたいなあ、と思うようなお話。誰かのあたたかいまなざし、こういうのは絵本やお話だからこそさりげなく伝えられそう。