紙の本
がんばれ!軍平くん
2001/07/15 20:06
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は、薄くなりかけた髪に分厚い眼鏡と、みすぼらしくも野暮ったい田沢軍平くん。ただこの田沢くん、見かけによらず女性にとってももてるんです。この田沢くんが女性に持ちこまれた事件を解決するというかたちの連作短編集。
主人公の設定を見てもわかるようにユーモア・ミステリなんだけど、そこは連城三紀彦、ユーモアのなかにもしっとりとした落ち着きがあって、全編とてもいい感じです。ユーモアと落ち着き、まるで違うもののようですが、うまく同居するもんなんですねえ。
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著者唯一のユーモア・ミステリーらしいです。
田沢軍平が軽やかに難事件を解決する連作小説。
軽い感じで読めるけど、内容のトリックなんかは濃いです。
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夜は自己嫌悪に忙しいあたりが自分と重なるからか、軍平のキャラが好きになれず。各話の推理はおもしろかったので、それなりには楽しめたのですが。
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もっさり、愚直な珍探偵。ルックスも性格も鈍臭い上に、ワケあって定職にもつかず日々ぼーっと過ごす「軍平クン」のもとには、どうしたわけか続々と美女から難事件が持ち込まれてくる。
鈍臭い軍平クンのこと、当然その推理力も「カミソリのように」というわけにはいかない。あくまでも愚直に、ひたすら奥歯にはさまったモヤシの筋を取り除くかのように、あるいは牛が食物を反芻するかのようにモゴモゴとゴニョゴニョと事件のナゾを解いてゆく。その細々とした事柄をスルーできないじれったい性格が、彼のもっさりとした印象のゆえんであると同時に、また誠実さの証しでもある。
トリックはどれも凝っているが、ひとの先入観のウラを突いてくるという点でどれも共通している。そして、そういうトリックに「あっ」と「気づく」ことができるのは、なにより軍平クンの愚直さあってこそ。ミステリであると同時に、たいがいのひとがスルーしがちなそういう軍平クンの魅力をよりによって美女たちが見抜いてくれるという点で、この小説はまたなかなか甘やかなファンタジーでもある。
※「北村薫が選ぶミステリー通になるための文庫本100冊」からの一冊。
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容疑者のファッションモデルを救えー運命の八分休符
誘拐されたのは誰の子だー邪悪な羊
わたしを観てー観客はただ一人
蒸発したあの人はどこにー紙の鳥は青ざめて
ホステスと光るナイフー濡れた衣装
以上5編収録
ある本のあとがきで鮎川哲也氏が本格ミステリーの名著としてあげていたもののうちの一つ。
1本目から「うぉっ・・・」って感じでした。
主人公である冴えない男の軍平クンときらびやかなファッションモデルさんのちょっとキュンとくるお話に幻惑されてか推理を怠ってしまいどんでん返しをくらい、次はちょっと挽回、その次「えーそれはちょっと深読みが過ぎるのでは」と思い、次にまたどんでん返しをくらい最後はもうよくわからんまま読み終わった。
名著と上げられるだけはある読み応えでした。
軍平クンのキャラがいいです。
恋に取り囲まれているはずの美女たちがフラリとするのはなんとなくわかります。ほっこり癒し系というのか。
おすすめです。
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作者にはきわめて珍しいシリーズ探偵もの。裏にはユーモアミステリと書いてあるが、「陽だまり課事件簿」などと比べればむしろかなり普通。「邪悪な羊」を筆頭に、超絶技巧による構図の反転が楽しめる。