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この本は建築学科にいる万人に読んで欲しいとは思わない本。とくに勉強はじめたばっかの建築関係の人が建築の本として読むのは少し難しいかも・・・。都市の盛り場に集う人がどのように都市という舞台の上で演出されて、そしてまた都市を演出していくのか。そのいわば都市(ハード)とそこに集う人々(ソフト)
との相互の劇作術の変遷のありようを渋谷、新宿、浅草、銀座を舞台に鮮やかに上演している。単なる都市史や社会史を超えた傑作と言える。この本は社会学の本として出版されている本だが、著者の遍歴のせいか、かなり都市史的な視点・考察に優れた本である。なぜなら、今までの都市史研究的な個別的事象分析に加え、それを全体的・統一的な視点へと昇華させていく社会学的なアプローチをとっているからだ。逆に言えばまた、今までの社会学の様に抽象的な見解を述べるだけに終わらず、しっかりと個別的事象を都市史研究として耐えうるレベルまで分析するということを一冊の本の中でしっかりと両立しているのである。社会学という枠と都市史という枠を横断したという意味でも非常に画期的である試みと解釈した。都市史系の専攻に進む人は読むといいのかも。(たぶん加筆・修正します。ムズカシイ)