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NHK大河ドラマ「武田信玄」信玄の死の謎に挑む。
新田次郎氏激賞の幻の名著
先日の古本市で購入。タイトルからして怪しい予感がしまし
たが帯にある「新田次郎氏激賞」の文字につられて購入しま
した。内容はいたって真面目で、武田信玄終焉の地を考察し
たものです。
信玄終焉の地については、駒場、平谷・浪合、根羽、津具、
田口などの説があるそうです。(通説では駒場説が有力か)
著者は、根羽に立派な宝塔があることから、駒場ではなく根
羽で死んだのではないかと疑問に思い調査したとの事。
御宿監物書状の検証、各地の伝承の分析、遺構の検討、甲陽軍鑑の分析などにより、根羽説を有力としています。
若干解りにくい部分もありますが、丁寧な分析で、根羽かも
しれないと思わされます。
駒場説の有力な史料である御宿監物の書状については、前半と 後半の記述に不自然な点があることを指摘しています。また、駒場は厳密な地名ではなく、甲州人からみたときに知られていた場所ではないかとしており面白いです。(根羽というより駒場と言った方が通じやすい)
根羽に立派な宝塔があるのは、武田家家臣に信玄は根羽で死んだという意識の共有があった為ではないかと推測しています。 (ゆえに、武田家臣団が根羽に宝塔を建てたとしている)
また、甲陽軍鑑にある信玄の遺言を分析し、野田城攻城後の養生中に遺言を残し、次第に意識が混濁し陣没したと推測しています。今となっては、結論の出せる話ではありませんが、興味深い内容でした。