紙の本
愛憎半ばする姉妹
2020/07/30 00:10
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
歌手として華々しく活躍するサチと、ごく普通の主婦・とき江の運命が交錯していきます。成功と転落を繰り返す妹と、罪を犯しながら穏やかな老後を迎える姉のコントラストが切ないです。
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異母姉妹の葛藤を描いた名作。
美しく賢い姉の前に突然現れた
平凡な顔立ちで無思慮な妹。
だが妹は歌の才能でスターだった。
そんな妹への嫉妬の感情が実に生々しい。
この作者は姉妹もいないのによくもここまで姉妹の
葛藤をかけたなと思う。
女が持つ嫉妬と愚かさを余すことなく書いた名作。
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妹の才能に対する妬みと憎しみの描写が生々しい。
自分が憎しみを抱いていると実感する場面がまた恐ろしい。
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普段は表に見せない人間の黒いドロドロとしたものを見た気がした。きれいな面、決してきれいとは言えない面、人に見せる顔と人には見せない顔、両方あって人間だと感じた一冊。
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1985年の作品。
江利チエミの異父姉を主人公としたモデル小説。
付き人、女中として江利チエミの傍にいて信頼を得ながら、億単位の横領をした主人公の嫉妬心・心の葛藤が淡々と描かれている。
江利チエミも夫である高倉健とのこともほとんど知らなかったが、とても面白ろかった。
(図書館)
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戦後すぐ『テネシーワルツ』を歌ったスターの女と、主人公の女がひょんなことから異父姉妹とわかり、家族を捨ててスターの女の生活にのめりこんでいく女の話。
ずっと本心の嫉妬を隠しつつ、自分の見栄のためにスターサチのお金を盗んで知り合いに投資し、裏切り続ける
戦後の空気感を直接は知らないが、林真理子だって知らないと思うけど、なんかきっとこうだったんだろうな、ってリアルに感じるのが林真理子のすごいとこ。
あと相変わらず女の本音がこわい
「私が殺したいのはサチの身体などでは決してなく、サチの心なのです。あの女が苦しみもだえ今までどれほど自分が分不相応な幸福を味わっていたかを思い知ればそれでいいのです」
こえー!
そして、最後にたどりついた結論がすごい
サチが晩年風呂場で孤独死をしたというニュースをきいて
「私はあれほど急ぐことはなかったのです。
私が必死にならなくても、人はゆっくりとだんだん不幸になっていくものなのです。私が何一つ手を貸さなくてもよかったのです。サチがあのまま生きていったとしても、五十を迎えた頃には、さまざまなことを知っていたに違いないのです。あの子だけが生きているのが楽しくて仕方がないと、どうして思ったりしたのでしょうか。人が生まれてから死ぬまでの間には、生きることが苦にならないような時期がちゃんと用意されているのです。それは後から続く何十年という歳月の穴埋めです。私がサチと出会ったのは、サチが神からもらったその輝くような時間の最中だったにすぎません。私はそれが終わる時期を、ほんの少し早めただけだったのです」
こえー