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とても面白い。おすすめ。
この金さんはどういう立場で立ち回っているのか?が面白い一冊だった。事件の筋自体は、全体の1/3も読めば見通せるところ、読者は、事件の顛末だけに執心していられない。金さんは次にどんな手を打つのか、そもそもこの金さんはどの立場の何者なのか―。冒頭、駕道楽に興じる金さんの姿から、はて、この御仁はお奉行か?それとも無頼の若者か?などと思っている間に、次なる魅力的な人物、上州山男、豪快ばかりが売りではなく頭も切れる人徳者が登場し、心奪われるうちに物語がどんどん動いていく。
「遠山の金さん」という、読者のよく知る設定を安直に用いず、それ自体も謎にする造りがうまい作品。
この金さんは切れ者で、それでいて人情あるスカッとした振る舞いが魅力的で、ああ、尊い(語彙力)と思わせる一冊でした。
そういや、駕籠かきの二人はどこへ行ったのかな笑
私の手にした昭和63年7月20日東京文藝社刊のペーパーバックの表紙は松方弘樹のイラストだけれど、本文中の金さんとはちょっと印象が違いますね笑
絶版本のようですが、図書館で見つけて読むことができました。