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ロバート・ブロックのクトゥルー神話総決算
2002/06/25 00:07
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投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
『サイコ』の原作者として知られ、クトゥルー神話に属する作品も
多いロバート・ブロックの、いわばクトゥルー神話ものの総決算に
してH.P.ラヴクラフトへのオマージュとでもいうべき長篇作品であ
る。
主人公が、骨董屋でラヴクラフトの『ピックマンのモデル』に登場
した画家ピックマンによる絵を発見してしまうところから始まり、
「ラヴクラフトは小説で真実を語っていたのだ!」というコンセプ
トのもと、ラヴクラフトの様々な作品を暗示し仄めかしつつ、クトゥ
ルー復活を企む陰謀を描く。
作品自体が驚異の内輪受けという気もしないでもない。ラヴクラフ
トの作品をすべて読んだ人にこそおすすめしたい、読んだ人にこそ
面白さがわかる作品である。
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流石はロバート・ブロック。最後の最後にやってくれました。
やはり、今回はケイさんよりもナイ君の巻だろうね。ロバートさんも好きなこった。
ちなみに、友人は例の衝撃のラストを目の辺りにして潰れてましたなあ。ふははははは……私も二日ぐらい潰れたが。
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ブロック自身のラヴクラフトへの愛が詰まった一冊。
小説としては、少々強引な展開がありはするもののラヴクラフトファンなら必ずニヤリとしてしまう。
クトゥルフ神話好きさんは是非一度読んでおくのをオススメします!損はしませんから!
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お互いの作品内で殺しあうほど仲がいいラブやんの盟友、ロバート・ブロックによるクトゥルフ神話の集大成。
3部構成でそれぞれ
・骨董屋から「ピックマンの絵」を買ったことがきっかけで次々人が死ぬ
・邪神教団の暗躍と、人類側の対抗組織の戦い
・邪神が消滅した近未来
といった感じ。
各章に小ネタが散りばめられてるので、それっぽい単語を見るだけで喜べちゃうクトゥルフ脳患者も大満足の出来。文体が読みやすいのでクトゥルフ初見の人でも楽しめるんじゃないかと・・多分。
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題名でわかる通りクトゥルー神話。
ロバート・ブロックというとその中心人物ということになるでしょうか。
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現行のクトゥルフ神話体系はオーガスト・ダーレスによって作られたものであるというのが一般的な考えです。
例えば、旧神が旧支配者を封印しれていたり、旧支配者たちに四大元素の属性が付与されたり。そういった昨今のクトゥルフ神話の設定の多くはダーレスによって作られています。
なので、現在巷に溢れているクトゥルフ神話の多くはラブグラフトを起源してダーレスによって拡大されたものであると言えます。
それに対し本著はラブクラフトの著作をベースに作られています。
ラブクラフトの様々な物語の断片を集約し、それらの内に蒙昧に仄めかされた設定を駆使し、最終的に一つにまとめあげています。
なので本著を一言で形容するならば、クトゥルフの集大成というよりはラブクラフトの集大成というのが正しいでしょう。
世に溢れるダーレス的クトゥルフ神話とは趣きの異なる、ラブクラフト然としたクトゥルフでした。
結末的にはクトゥルフエンド。ハッピーエンドとかバッドエンドじゃなくて、クトゥルフエンド。こういうとこもラブクラフトっぽいです。
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ある程度クトゥルーに馴染んでから読んだ方がより深く戦慄できて楽しめるだろう。少なくとも元ネタの小説は読んでおくことをおすすめする。
HPLへの愛が一杯の一冊だが、3.11後に読み返した時に受けた衝撃はそれまでとは桁が違った。SAN値チェックでファンブルを出したような感触を味わった。
金環日食・金星の太陽面通過と、星辰が正しい位置に着きつつある・・・(この一文はジョークです)
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これほど評価がはっきりしてる作品は珍しい。一部は傑作だけど、二・三部はつまらんすぎる。一部は主人公の恐怖が伝わってくる怪奇譚やクトゥルフ入門としても秀逸だが、二・三部は全く感情移入できず状況の説明が続く旅行ガイドみたいに退屈だった。
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タイトル通りのH.P.ラブクラフト物。二次創作だからと期待しなかったが、面白い。
ラブクラフト狂の登場人物の周りで起こる様々な事件は、実は海底に眠るクトゥルーの復活と関与していたという、ラブクラフトの世界どっぷりなのだけど、兎にも角にも、ラブクラフト作品にまつわる薀蓄が散りばめられているので、少しでも作品を読んでいる人は、そこでがっちり掴まれてしまう事まちがいなし。
その薀蓄も、深すぎずなので、多少鼻につくところはあれ、ハリウッド映画のごとくの展開で、気にならずに読み切ることが出来る。
ただし、本家ラブクラフトやクライヴ・バーカーのように、不思議な情景を描かせるようなところはなく、理解しやすいもののちょっと物足りなかったかな。異形も出てこないし。
あとがきによると、ラブクラフトとの文通から作家を目指した作者だそうで、様々な作品を楽しみながら解釈しているところが感じさせられ、さらにオリジナルストーリーも力強くて非常に面白かった。
でもまあ、これを読む人はまず創元の「ラブクラフト全集1」「同2」の2冊は先に読んでおく必要がある。
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ロバート・ブロックによる世界滅亡ストーリーで、ラヴクラフトの小説は創作ではなく、実際に起きたこと、会ったことを書き記し、人類に警告するためのものであった…というもの。ラヴクラフト原作の小説全てを底本とし、様々なオマージュが散りばめられている。従って、原典を読んでいないと面白さが半減してしまうだろう。
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再読。
なんともラブクラフト愛に溢れた作品。
さすがブロックというべきのエンターテイメント作品!
ラブクラフト作品を知っていれば知ってるほど楽しめる。
このような作品を読むと古今東西のクトゥルーに関する物語を読み尽くしたくなるね。
導入から好きな作品に絡めて始まるのでご満悦。
ヒロイン恋愛体質すぎ。
そんでこの大団円、満足です。
巻末の解説もブロックとラブクラフトとの仲の良さがわかってほのぼの。
クトゥルーファンなら本編も解説も必読です。
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「ピックマンのモデル」に登場する画家ピックマンの署名が入った食屍鬼の絵を骨董屋で手に入れたキースが改めて骨董屋に事情を聞きに行くと、店主は頭を食いちぎられて死んでいた。ラヴクラフトの小説は創作ではなかったのか?!ロバートブロックがラヴクラフトへ敬愛を込めて書いたホラー長編。防御不能の恐怖が襲いかかる!企みもなければ悪意すらない。真実を偶々見た者、知った者をただ追いかけてくる不条理なまでの恐怖。この偉大なるラストはどのパターンでもドキドキする。そして大いなるクトゥルーがこの世界に躍り出る
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クトゥルー神話をテーマにした作品って色々な作家さんが扱える遊び要素も入っていて、その恐ろしい世界を楽しめる独特の世界。そのかわり、玉石混交というかほとんど面白くない。同人誌的な活動が楽しいのかもしれません。その掃き溜め的作品群についに鶴を発見。
タイトルはしょーもないけれど、永井豪の漫画版「デビルマン」を思わせるスケールに展開する連作からなる構成。本家ラブクラフトにはないスピード感で恐怖も加速。さすが職人ロバート・ブロック!最高!久々に怖い夢を見てしまったぞ!
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蒐集家のキースが骨董屋で惹かれた絵を購入したことを契機に、ラヴクラフトの作品を彷彿とさせる事件が周囲で続発する。ラヴクラフトが自作に真実を紛れ込ませて人々に伝えようとしていたと理解したキースは、邪神復活を阻止するために南太平洋に向かう――。(第1部)
モデルのケイは、別れた夫の遺産を相続することになる。前夫の家に入ると、そこには銀行員を名乗るパワーズという男がいた。パワーズに夕食に誘われるが、出し抜けにラヴクラフトの話題を出されて不審に思い、食事もそこそこに席を立つ。翌日、ある宗教団体からモデルの仕事が来る。現場で出迎えたのはナイ神父という黒尽くめの男だった――。(第2部)
ジャーナリストのマークは、テロ活動を行っているとされている宗教団体について調べていた。しかし彼の養父は頑なにその存在を否定し、調査を止めることを強要してくる。その夜、恋人と寝ていたマークは強い地震に襲われるが、直後、犬のような面相をした怪物が地底から現れる――。(第3部)
クトゥルフ神話を一度完結させたと言ってもいい、クトゥルフ神話小説の集大成にして総決算。そしてクトゥルフ神話の、現代との親和性の高さを明示した点で、金字塔的な作品でもある。敬愛していたラヴクラフトのパスティーシュを散りばめさせ、そして彼が生前に書くことのなかった結末をフィニッシュにすることで、本書はラヴクラフトに対する鎮魂曲(レクイエム)ともなった。ブロックが作曲し、強壮なる使者が指揮棒を振り、神話生物たちが奏でる壮大な交響楽(シンフォニー)。ぜひ一度は堪能してほしい。
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愛を感じる二次創作で読みやすい、原題はStrangeEons▲蒐集家のキースが骨董屋で買った悍ましい絵にはサインがあった、R・アプトン・ピックマンと!あのラヴクラフトの小説に登場する作品なのか▼【訳注】は無いですが都度説明があるので親切設計、ニヤリが連続するスペシャルな作品です。現実がゆがみ誘われていく第一章、絡めとられゆく第二章、宿命のごとく第三章とクトゥルー沼に陥ちていきます。案内人はナイ神父「はいよるこんとん」ないざない。期待を裏切らない、ある意味、期待通りのエンディングに震えましょう(1979年)