紙の本
大正期の民家
2015/09/01 15:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:take - この投稿者のレビュー一覧を見る
考現学で有名な今和次郎の著書。私は民俗学の知識はないのですが、単純に大正期の庶民の家の構造や生活を垣間見るという点で非常に面白かったです。スケッチも数多く収録されており分かり易いですが、文庫故にスケッチの細かな部分は少し見難い場合もあります。
投稿元:
レビューを見る
今和次郎は「考現学」を始めた人。これは大正時代、民家(古民家)研究の先駆けとなった本です。
巻末の藤森照信の解説には、(今和次郎の陥った「ニヒル」の解釈に関して)生活学会からの批判もあるようです。
投稿元:
レビューを見る
考現学の創始者である今和次郎の著書。
考現学を始める前はこんなことをしていたんですね。
日本の民家を「立地による分類」「構造による分類」「間取りによる分類」を通して考察した内容が素敵なスケッチと共に載ってます。民家という言葉も今さんが誇りを払って使い始めた言葉だそうです。
この一冊で民家について大体わかるようになるから優れた入門書だと思います。民家の見かたを教えてもらえます。
思わず明日からでも民家巡りがしたくなるような高揚感を感じた。
この本は、民家の教科書として使わせてもらうことにしよう。
解説は藤森さん。今さんの著書の解説は大体この人。
P.343 解説
この後いくた現われる民家関係のホントの一番の違いは、民家という存在をひとつの小宇宙というか全体として記述したことだろう。
国土の中での集落の地理、各集落の中の微小な地理と屋敷の関係、そして家屋、間取り、構造、台所、神棚、こうした地理から物品に至る正確な記述に始まりそこで行われている労働や日常生活とのかかわりに踏み込む。さらに、村の人々の表情や心もちまで筆は進む。
地理、家屋、生活、人間、それらの関係を明快に解きほぐしながら、それらが一緒になって生まれてくる全体性を描く。
投稿元:
レビューを見る
『柳田国男を今和次郎』という本を読んで、紹介されていたが、残念ながら絶版。古本で購入。
日本全国の、大正時代の民家のスケッチ、簡単な解説がまとめてある。
実にスケッチが上手なのと、田舎の民家に対する愛情深い文章がつづられている。この本をよまずに、古民家とかいっていた自分が恥ずかしい。
実際には、どんどんなくなってしまう民家、どう保存し活かしていったらいいのだろう。
(1)白川郷の合掌造りのように、まとめてきて、観光地にする。白川郷は、まだ、生活のにおいもあるので、本物感がある。高山までいっちゃうと、よっと商業地、観光商業に徹しすぎて鼻につく感じもするな。
(2)京都の町家のように、民間事業者の力で、商売に使ってもらう。全部は保存できないが、いきいきとした本物の生産活動、商業活動が見える。
(3)これは、兵庫県の丹波の県営公園でやったが、公園にどんどん古民家を移築するというのもあると思う。古民家の建坪率の制限ははずして、古民家の集落とか、古民家の街道とかテーマパークのようにつくったらどうだろう。
公園のいたずれにつくりこまずに、自然のままで、そこに古民家が散在するような形が考えられないか。明石海峡国営公園の神戸側もあんまり知恵がないようだから、舟引さんにいってみようかな?
あと、木造住宅の復活も考えたい。関東大震災で同潤会がRCのアパートを提言し実現したように、東日本大震災では新しい木造住宅を提言したいな。
投稿元:
レビューを見る
民家採集とは暮らしの採集であり、暮らしが変ることをこの時点で強力に予測していたとは思うけれど、その行き先(の少なくとも通過点として)の高齢化と後継ぎなし状況は予見されていたのだろうか・
投稿元:
レビューを見る
とても面白かった。
自分で実際に訪れ、話をきいたことがいくつか紹介されていて、嬉しかった。(いろりの座り方、新潟のガンギなど)絵や間取りを見ながら、実際に旅行に連れて行ってもらっているような感覚がもてた。
一方で、この本に書かれているような民家が相当数なくなってしまっていることもわかった。「武蔵野の家」「葛飾の家」などの東京近郊にかつてあった民家は、すべて新しく作り替えられてしまっている。このような民家は、地方都市にいくつか(重伝建などとして)残されている地区でしか見ることはできない。残念である。この時代に日本各地を旅したら、それはそれは面白かっただろうに。地方に残る古いまちなみを見るとともに、海外のまちなみも訪れることにする。
投稿元:
レビューを見る
大正期に書かれた民家の本。当時は普通だった藁葺などの民家を全国で調査しており、スケッチもあり、今から考えると貴重な調査の記録。スケッチからは厳しい中にも自然とともにあった生活に思いを馳せる。こんな家々に修理して住んでみたいと思う。
投稿元:
レビューを見る
初版が大正11年。なるほど、観察とはこの様にするものなのかと参考になる本です。
今から約1世紀前の全国各地の生活や家の間取り、住まい方など、現地のヒアリングとスケッチをかなり実施されている内容です。
もう一つのなるほど。
なぜこの本が1980年代に版を重ねてまで読まれたのか。
巻末には、時代の流れ、そこにニーズがあったことを明快に解説されています。
投稿元:
レビューを見る
執筆当時の流行りだったのか、西欧語を直訳したような文体で書かれていて少し読み難い(とりわけ『日本の民家』の章)。文が稚拙と作者自身も言っていたのを、謙遜だとばかり思っていたが、言っては悪いが本当に稚拙…
(とりわけ『日本の民家』の章)。ただ、現地調査は可也骨を折ったのではないかと思われる。自分で描写した家屋やその周りの風景、間取り図などに味があって面白い。
『採集』の章は北から南に向かって地域ごとの家屋の配置や仕組みなどを紹介していて、猟師町の家ほど粗末なのがわかる。
ところどころ疑問符が附くところがある。例えば、
p.94
「古くから我国の文化は水田場の国に栄えたのであるから、日本海岸の国々こそ都びたあかるい国であったし、また今も栄えている国なのである。村や町に古い文化のあとが滲みついている態がそれらの地方には見られる。」
上梓は1970年だそうだが、当時は日本海側の方が賑やかだったのだろうか。こちらの認識と少し異なる。
こういうのも含めて全体に少し穿ったような見方が多いきらいがある。