紙の本
時の流れに迷い込んだら
2004/01/15 23:16
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミケ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時の流れというものを、古の人たちはどうやって認識したのだろう。
時の流れとは、いったい何だろう。
自分が今生きて、食事をしたり、本を読んだり、散歩をしたりする間に
太陽の位置が変わる。明るい昼間から暗い夜へと。
その物理的変化を「時」の流れと決めたのか。
この地球上の、たぶんほとんど全てのものは、この物理的側面から見ると
同じように進んでいる。赤ん坊から老人へ時が流れても、老人から赤ん坊へ
時が流れる人はいないのだ。
ところが実際目には見えないところで、いつもと違う時の流れ方をする
場所がある。それは、たとえば夢の中だったり、絵の中だったり、
想い出の中だったり。
このような場所で、時間は、ゆっくり、時には速く。
ずっと先の方を示したり、または昔に逆戻りしたりする。
この流れは、何と言うのだろう。これもまた「時」ではないのか?
現実の時間は私たちに身体的変化を与え、「見えないもう一つの」時間は
私たちの心に変化を与えるだろう。
もし夢の中の時間と、現実の時間が交差してしまったらどうなるのだろう?
あっちの人とこっちの人はどのように出会うのだろうか?
この本を読んだせいか、昨夜はとても幸せな夢を見た。
いつもいつも、私の心が会いたがってる、あの人。
今はたぶん、もう会うことも叶わぬあの人に会えた。
今までも何度かあの人は私の夢にやってきたけれど、いつも子どもだった。
でも昨夜は初めて大人のあの人がやってきた。
私たちは、これまでの人生をお互い語り合い始めていた。
あの人の話を最後まで聞けぬまま、私はこちらの世界へ戻ってきてしまった。
ああ、なんと幸せな時間だったことか。
あの人が夢に現れたとき、私はいつだって夢の中の時間を、私の永遠と
取り換えたくなるのだ。
この物語の最後に、現実の時間の中でお互いを認め合ったトムとハティを
羨ましく思うのは私だけではないだろう。
どんな人にも、その人だけの時の流れがあることに気づかせてくれる
そんな物語である。
紙の本
ラストには思わず涙
2002/06/27 20:46
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトー - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休み、弟がはしかにかかってしまったためおじさんの家に預けられることになったトム。なかなか寝つけずにいるトムは、真夜中に大時計が13時を告げる鐘の音を聞いて不思議な庭園へと足を踏み入れる。トムはそこで出会った少女ハティと友達になりるが…。
ファンタジーです。とても優しいお話で、読めるんだけどラストにはジーンときてしまいます。読み返すとまた新たな発見があり、この少年に感情移入して読むと、結構複雑でもあります。
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いつかおばあちゃんになった時、ただ昔をなつかしむようなばばぁにだけはならないようにしたい、と思った一冊。
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久々に、イッキに読んだ本です。大時計が13回、トキを告げると行くことができる、庭。そんな不思議な世界が気になって、気になって、思わず、読み進んでしまった。そんな本です。とはいえ、表紙の絵や、挿絵のなんとなく暗い感じがいやでなかなか、手に取らなかったのですが、庭で出会うハティという少女が出てくるとことから、どうしてこの子と会えるのか不思議で、もっと知りたくて最後どうなるんだろう?と、どんどん読んでしまいました。庭の情景が目の前に広がるような感じです。すべてがどこかに繋がっていて、最後はちゃんと納得できて、すっきり読み終えました。
文庫版もあります。
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真夜中に、大時計が13回鳴った時に現れた庭でトムは...。SFの要素も入った少年トムと"少女"ハティの、せつないお話。かわいたおとなにも。
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大人に秘密で真夜中の庭に、はだしで入り込む…きっと子供なら、その世界観に夢中になりそうです。私は大人になってから読んでしまったので、トムになりきることが出来ませんでしたが、自然、人間、描写が細かく書かれ、名作だと思いました。
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弟がはしかにかかり、病気を避けるためおばさんの家に預けられたトム。夜中になるはずのないホールの大時計が13時を告げるとき、トムは過去へ旅立って素晴らしい庭園で、洋館に住む少女ハティと楽しい時を過ごします。大好きな『ふたりは屋根裏部屋で』という日本のお話と似て非なるシチュエーションですが、こういうラストも楽しいかもね、と思わせてくれる本。主人公が男の子か女このかでお話の流れが変わるのかもしれません。
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こどものころに読んだけど、そして20歳くらいのときにも読んだけど、今ン十歳になって読んで、はじめてちゃんと味わうことができたと思う。
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弟のはしかの伝染予防のため、
親類の住むアパートに仮住まいすることになったトム。
昔邸宅だったというそのアパートのホールには
古い大きな時計があり、
トムはある晩その時計が
13回目の鐘を鳴らすのを聞いてしまいます。
恐いけれどでも足を踏み入れたい
真夜中の庭での不思議な体験。
―――――いわゆるタイムトリップものですが、
特にラストが好きです。
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小中学生の頃、とにかくハマったフィリパ=ピアス。
真夜中に古時計が十三の鐘を打つ時、その庭園はあらわれる……
怖くて美しくて、優しい話です。
若さが永遠出ないことを感じる今
もう一度読みたいです。
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子供の頃に読み、長い間内容は忘れてしまえども、記憶から
一向になくならない事に不思議を覚え、再読。
とても児童文学の範疇を超えている。
‘時’の不思議。
幾層にも同時に流れているはずの、時間の神秘。
その狭間を飛び越えてで出会ったある少年と少女の物語。
美しい景観の描写が細やかで美しく、何より、そう
子供の頃にはいともたやすく飛び越えて行き来していた
時の垣根のことを久しぶりにドキドキと思いだした。
ラストシーンに涙出来るのは、子供ではなくなってしまった
今だからこそかもしれない。
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TOMOさんのブログで知った作品。
「裏庭」ってやっぱり独特の秘密めいた雰囲気があるよね。
一緒に遊んでいた、初めの頃はトムより小さい女の子だったのに、ハティの「時間」の方がトムより早かった。
ハティは徐々に成長していた。
最後の結末、ハティが実は3階のバーソロミュー夫人(おばーちゃん)だったなんて!
トムがいつも庭園で遊ぶときは、夜中だしパジャマ姿っていうのがまたいいよなぁ。
最後の最後、トムとバーソロミュー夫人が(いやハティね)抱きしめあってる抱擁の場面はぐっときたなぁ。
おばーちゃんと少年じゃなく、小さい少女と少年のままの姿で。
この庭、作者のフィリパさんの庭がモデルなんだ!
あとがきに、塀で囲まれた庭園は、幼年時代の保護されている安全を意味し、そこから庭園の高い塀にのぼって、トムが庭園の向こう側をハティに
説明してやる。
あとになると、ハティの方が大人になり、庭園をはなれてしまう。
川にそってイーリーの町までハティはくだる。
川というのは人生の象徴で、絶えず流れ、変化していく。
っていうあとがきにここま表現されてたんだぁ、すごい!
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ラストで格別な爽快感を与えられた。さすが名作。でも昔の本だからか、途中はだるい。読むのに挫折した子も何人かいた。残念。最後まで読めば絶対好印象なんだけどな。
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タイムファンタジー最高。
とりあえず、宮部みゆきの短編が『トム~』のからくりと似たものを使って書かれているのだな。といっても共通点は「強い思いをもった者が、過去に同じような思いをもった者を呼び覚ます」という点くらいだと思うけど。
さすがに児童文学の楽しさというか美しさというか後味のよさというか。
誰かも言ってたけど、タイムファンタジーってどこかにどうしようもない切なさを抱えてるからいいのであって。
なんだかんだ真直ぐなものを求めてしまうけど、好きなんだものいいじゃない。
からくりも緻密に作られてるし、描写もきれいだし、切なさも美しさも率直な登場人物たちも、すべて愛すべき対象だ。
特に最後がやっぱりいい。バーソロミュー夫人をハティの頃と同じように抱きしめるトム。普遍的な魂を見たトムとかって表現されてたけど、なんか言葉が足りないくらいだ。
あの最後の文章だけで、なんか「あーやっと会えたんだなぁ」って切なくなる。
トムはもちろん会いたかっただろうし、ハティがまた会えたんだっていうのがもうもうもう。
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小学生の頃、ピアス好きの父から年季の入った箱付きのハードカバーを譲り受けた。以来、すっかりピアスにはまって今でも好きな作品。”児童”と呼ばれる時期に出会っていると幸せな一冊。