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紙の本
プラハの夜をさまよう影
2024/03/17 20:50
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴーレムといえばカバラ秘術か何かで作り上げられた土人形が夜な夜な人々を襲うようなイメージでしたが、マイリンクが作者だということに気づいて読んでみました。
怪奇小説であり幻想小説なんだろうが、マイリンクらしい幻想的な世界観を楽しめた。
主人公のペルナートは、プラハゲットーで古道具屋の向かいの建物の一室に住んでいた。
細工師としてカメオを彫ったり金細工をするペルナートのもとへ一冊の本が持ち込まれる。
その本を持ち込んだ男は『イップール』という羊皮紙でできた本に取り付けられた飾り文字の金の薄い板の縁が破損していたのでそれを修理してほしかったようだが、ペルナートはその本の内容に魅入られ頁をめくると文章から次々に幻想的なシーンが溢れ出してきた。
多彩な色彩の衣装を着けた女奴隷たちが、孔雀のようにきらびやかな女たちが、女王のような女たち、そして螺鈿の玉座に座るヘルマフロディートとピエロが通り過ぎていく。
本を宝石箱にしまって外に出てみると、近所に住む大学生のカルーゼクが寒さに凍えながら立っていた。
カルーゼクから古道具屋の主人ヴァッサートゥルムの息子で眼科医だったドクター・ヴァッソリの破滅の話を聞かされます。
ドクター・ヴァッソリが破滅したのは本人の詐欺のような商売方法が原因だったが、それを暴いて自殺に追い込んだのは自分だとカルーゼクは語る。
何がそこまでカルーゼクを駆り立てるのか、カルーゼクは息子の次に父親も破滅させようと熱に浮かされたかのように計画を立て、ドクター・ヴァッソリを追い込む手助けをしたドクター・サヴィオリが今度はヴァッサートゥルムに狙われることになる。
サヴィオリがペルナートの隣人であり、その恋人がペルナートがかつて恋をした女性だったこともあって、ペルナートもまたカルーゼクの計画に関わることになった。
プラハの夜をさまようゴーレムの幻影はいかにもプラハらしいが、精神病が産んだ幻影、肺病にとりつかれた男が吐き出す血、赤毛の淫売娘、タロットカード、メノラー型の燭台と蝋燭の炎が映し出す部屋が渦巻くように現れては消えていく。
カルーゼクの復讐劇は成功するがペルナートは殺人犯として牢獄へつながれることになった。
精神の牢獄と肉体の牢獄、そしてゴーレムの姿が印象的だ。
容疑が晴れて外に出ることができたペルナートを待っていたのは、廃墟となったゲットーだった。
最後の最後までマイリンクらしい世界でした。
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