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一介の足軽から身を起こした秀吉は、位人臣を極めて
天下人の地位を我が物とした。この史上稀にみる成功
の秘密は、恐ろしいばかりに経済の仕組みに熟知し、
これを実行する才覚に恵まれていたからに他ならない。
近世社会の産婆役を果たした、秀吉の軌跡をたどり、
その現代性を考える。
知らない人がいないくらい有名な豊臣秀吉であるが、
太閤記で事績はわかっても、その政権の実態はわから
ない。本書は、特に秀吉を経済の観点から論じている。
豊臣政権時の農民は収穫高の3分の2を税として、納
め、自分の取り分は3分の1であったという。
(このような苛政がいかにして江戸期の4公6民に行
きつくのであろうか)
また、武家に対しては、土地は天下のものであり、一
時的に預けられているという概念を確立したのだと言
う。(中世においては、武士が所有権をもち土地の売
買が行われていたというが弊害が大きかった。)
豊臣政権は3代で滅んだため、政権基盤が弱かったと
思われがちであるが、秀吉生存中は強力な独裁政権で
あった事がわかり面白い。
本書は、ネット書店では現在扱われていない。町の老
舗の本屋さんで購入。これぞリアル書店の醍醐味です。