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大津事件 ロシア皇太子大津遭難 みんなのレビュー
- 尾佐竹 猛 (著), 三谷 太一郎 (校注)
- 税込価格:1,067円(9pt)
- 出版社:岩波書店
- 発売日:1991/04/01
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文庫
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紙の本
司法権独立に関して深く詳述した稀有な歴史書
2020/04/18 08:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
大津事件といえば教科書で習った程度でした。ですが、本書を読み進めていく中で当時の様相を克明に知る事が出来ました。確かに教科書では無理な範疇です。この事件をここ迄詳述している他書は少ないと言えるかもしれません。児島惟謙や伊藤博文など著名人が多数関わっており、口外禁止な内容も含まれていたであろう点から本書を手に入れて読了出来た事に感謝したいです。
今でこそ司法権の独立とは何憚る勿れですが、貫徹するには筆舌尽くせぬものがあったと想像されます。また、児島氏において西郷内相が憤慨した『当初は違ったのに、途中から司法独立の立場をとった』という箇所や陸奥宗光らの津田三蔵を誰かに頼んで暗殺せしめるといった上奏など、生々しい記述もありますが、総じて思わず熱中して読み進めてしまう魅力が本書にはあります。
本書のクライマックスは、津田三蔵を死刑にするか否かです。外国皇太子を斬りつけた罪に対する罪状は如何に処するか、それに照合する法律は・・、といった充分な考慮を必要とする難題です。
読了後、色々と考えさせられました。当時例を見ない司法判断を行わなければならない中で後世から後ろ指を指されない様に吟味に吟味を重ねなければならない懊悩、一方で行政機関からの多大な圧迫、更には対ロシアからの恐懼・・。起きた歴史、過ぎた歴史、いずれも変える事は出来ません。濃密で貴重な一書です。
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