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《家族も学校も何もない世界で、私は明らかに木や草に殺されているのです》
イジメの発端や図式そのものではなく、主人公である少女の心の機微に着目した作品
子供の残酷な無邪気と早熟な少女の強かさと脆さを描いた表題作他、子守歌に恐怖する子供を描いた「こぎつねこん」収録
平穏な学校生活を望む少女が、ある日突然クラスメートのイジメのターゲットにされて一度は自殺を決意するものの、母と姉の分かりにくい愛情表現に自分の重要性を認識して「生きるしかない」ことに絶望し、やがて姉が何気なく発した言葉に世界が逆転する
少女の冷静な自己愛に満ちた視点が、衝撃的なラストに向けて一気に収束します
特に真新しい題材でも結論でもないですが、それを「衝撃的」と唸らせるのが作者の腕なんですね
均質化されたクラスメートと、特別な「私」の対決
ストーリーを一貫しているテーマは(ラストで明らかになりますが)、後者の前者に対する「完膚ない軽蔑(による殺人)」です
少女がその打開策を編み出す以前に、その下地がしっかり描かれているので、無理のない展開に読めるし、余計にゾクゾクしました
他の山田作品も是非手に取ってみたいですね^^
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女 女性 女の人 女子 いやな小学生時代をいじめられていないのにもかかわらず思い出した人は多いだろう
「人に好かれるのは嫌い 嫌われるのはもっと嫌い」
愛されるナルシストという島田雅彦の解説がわかりやすい
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2010 4/26読了。ブックオフで購入(古書)。
新潮文庫版を買いたい気もしたがブックオフで安かったのでつい。
裏表紙に書かれたあらすじから想定するよりもずっと読みやすかった。
山田詠美を読むのは高校生の頃依頼だけど・・・6~7年ぶりだけど、また読み始めようか。
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この本に救われたうえ、本当の友人ができたという想い出の一冊。山田詠美に感謝。貸してくれた友人に感謝。想い出補正も手伝って星五つ。
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どんな文献や論文よりもいじめがよく描けてるとの教授からの紹介で読んでみた作品。身なりが汚い子じゃなくて、容姿がかわいい、服装がお洒落そんなとこもいじめの要因になる。かっこいい先生にひいきされているただそれだけでいじめの標的になる。誰もが自分がはぶられるのは避けたく集団になって一人をいじめる。いじめの真理ここにあるような気がした。これが結果で自殺につながる子は多いと思う。一人でも味方が、自分を普通に見てくれる人がいるだけで救われること。
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主人公の少女はクセのあるタイプ。
初めは面倒臭い子だなと思ったが読み進めて行くうちに共感できるところもあり好きになれた。
特に少女が家族を想う描写は好き。
子供特有の教室の嫌~な空気がなかなかリアルで、「子供の世界に合わない、年齢で住む世界を決められてしまうのはひどい差別」という表現は妙にしっくりきた。
子供のいじめの空気に迎合する先生も、呆れるほどデリカシーのない先生も確かにいたなぁ。
山田さんの作品は初めて読んだが、他のも読んでみたいと思うほど面白かった。
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山田詠美好きですね。
少女が主人公のやつは、特有の背伸びした感じとかすごくうまいと思う。
たぶんこれ、国語の問題で読んだことがあると思う。
『気取ってるよ 東京の言葉使ってるよ』ってとこが印象に残ってるんだよなぁ。
田舎こわっ!って感じた。
先立つ不幸をお許しください。
杏は、人生には似合わない子です。
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通っていた塾の錆びれた本棚に置いてあったのをなんとなくよんだらなんかもう突き落とされる感覚で…なんとなくさびしいようなむごいような印象を持ったのを覚えてる
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妙に大人びて悟りきった口調で語られるいじめの記録。
小学5年生の杏は、度重なる転校で、どうすれば転校生が受け入れられるかをすでに知っていた。そして、上手くたちまわって新しい学校での生活も軌道に乗ってきた頃、女子に人気のある体育教師吉沢先生の、自分に対するあからさまな好意が、女子の嫉妬を招き、いじめが始まった。
それは教室にはびこる宗教だった。宗教にのまれた子供は、何をしでかすか分からないから怖い。追い詰められた杏は、やがてそのいじめに死をもって復讐することを考えつく。
いじめの被害者杏を通して、子供ゆえの残酷な世界を成敗するかのようなストーリー。そういえば小さい頃、いじめられた時にこんなふうにしていい返せたら…と空想していた気がする。表題作の他「こぎつねこん」を収録。
☆平林たい子賞
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ネットでオススメされていたこの本。
開いてみるとびっくり。
小学生が読めるほど字が大きくて少ない。
30分くらいでさっくり読めました。
読み終わって納得。
学生に是非読んでほしい作品です。
いじめられていた子がどんどん変化していく様がありありと描かれていて、面白かったです★
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このクラスで行われている行動原理や心理原理は、社会でも正しく行われてる。個人と集団。(精神に於ける)大人と子供。客観と主観。理性と感情。様々な軸が交錯し、物語を引き立てる。いつか子供に読ませたい本の一冊です。
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受け入れられ、はじかれ、達観する。山田詠美の描く小学生・杏は、どこか小学生らしさがない。でも、それが、かえって小学生という子供でいながら、大人のコミュニティを模倣する残酷さを表していて、引き込まれる。
一貫して子供らしさを排除した杏の語り口。それが、余計に生々しく感じる。
田舎に入り込む都会の風。初めは珍しさとあこがれを持って、受け入れられるかのように見えて、はじくきっかけを見出すのは教師の些細な一言であったり、態度であったりするわけで、「子どもで困る」と表す杏の独白は当を得ている。
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ずいぶん久しぶりに読み返した。
高校生以来だから、15年以上も前のことか・・・
当時は新鮮に読んだ気がする。
杏の大人っぽい空気に、憧れた気がする。
今読むと、杏も子どもで、すごく融通が利かないと感じる。
魅力的だけれど、幼い。
小学5年生にしてはヤル方だけれど。
この、大人に近い、ませた女の子の描き方、上手だなぁ、と思った。
馬鹿みたいなことは、本当、大人になってもあるよねぇ
くだらないねぇ。
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20年近くで読みかえし。さっと読めちゃう。
大人ぶった杏が学校でいじめられて もう耐えきれないってとこで…この “風葬”って発想が学生のときはとっぴに思えたけど、今読むと新鮮。こういう子はそりゃあいじめられるかもねって表現がうまい。
ここでは子どもの残酷さで書かれているけど 大人世界でも けっこうあるんだよね。ってところで “風葬”生きてくる気がする。
ちなみに あとに入ってる「こぎつねこん」のほうが 初めて読んだときは印象的だった。家族や男の安心感が 自分の孤独を際立たせてせつない。男は足元から目を覚ます。そんな窒息しそうな幸せな朝が私にも来るかしらと思ったもんでしたー。
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高校の時、現代文の先生が好きだと言っていた作品。
水のように平穏な日々を奪ったお友達を風葬に付す少女。単にいじめから立ち直って成長していくお話では収まらず、ひとという存在の大きさを感じずにはいられない。
もう一つ収録されている短編では、孤独と恐怖の真実が語りだされていて、短いながらも中身の深い作品であった。
どちらの作品もリズム良く作られていて、大事なことでもさらりと流れるように語られ、不思議な雰囲気を作り出している。