紙の本
私にも、こぎつねはこんとなく
2002/05/09 14:12
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投稿者:麒麟 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本には表題作ともう一編、「こぎつねこん」という短編が載っています。
私は、個人的にこちらの作品に思い入れがあるので、これについて書きたいと思います。
こぎつね こんとなく
なぜ こんとなく
主人公の「私」は小さい頃、母親が歌うこの子守歌をきくたび、怯えて泣いてしまった。
そして、大きくなってからも、ふとした瞬間に、恐怖に突然叫び出したくなることがある。
その発作に襲われる時、「私」はいつも耳鳴りを覚える。
耳鳴りには旋律があり、歌詞がある。
歌詞の始まりは、あの子守歌……。
私は、この作品を読んだ時、ひどい衝撃と、そして安堵を、同時に感じました。
私もこの主人公と同じように、子供の頃から似たような発作に襲われる瞬間が、何度となくあったからです。
私の場合、耳鳴りはするけれど、それには旋律も歌詞もありません。ただの、キーンという耳鳴り。
でも、作中の「私」ときっと同じような原因で、その発作は起きるのではないかと、この物語を読み終えた私は思いました。
私は、この発作について、何人か周りの人に尋ねたことがありますが、同じような症状のある人はおらず、よけいに不安になったりしました。
だから、この作品を読んだ時には驚きました。
こんなところにいた、と。
私と同じようにこの作品を読んで、安堵感をおぼえる人が、他にもいるのでしょうか。
ふとした瞬間に、突然耳鳴りに襲われて、気が狂いそうな、不安や恐怖に押しつぶされそうな、恐ろしい感覚に見舞われたことがある人は、ぜひ読んでみてください。
もちろん、そんな体験がなくても、作品自体もすばらしいので、ぜひ読んでほしいですけど。
個人的な思い入れは別とすると、表題作の方が面白いかもしれません。
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お姉ちゃんが、スゴイ気がする。
『そんな発想が出来るのかっ!!』
って。
最後の方、なんとも表現し難い気持ちになりましたけれども。
ヒロイン?はまぁ、きっと勝者なのでしょうね。
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愛情というのは、私とは別のところで動いているのです。
アッコのような男の子が好き。
杏自身とその家族が大好きだ。
ママのシュークリーム、食べたいな。
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ああまさにイジメは宗教だ、恐ろしい。
杏の心情が解りすぎて、泣きそうになる。
やっぱり詠美さんの作品は好きだ!
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純粋だから自分と違う物を簡単に選別できる子供社会の恐ろしさ。正さなければいけない大人がなぜ傍観するの?女の嫉妬って怖いなあと実感しました。
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小学5年生にもなれば女は女、自分の売りどころと価値を見極めて、男や人生と(あるいは男という女の人生と)渡り合うのは必然。でもこれって内緒のことじゃない?赤裸々すぎてまずい。
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彼女の本は恋愛系が多いけどこれはその中では変わった作品。人間の中には常に差別の心があり、ちょっとした事でそれは勃発する。今の世の中とかぶるところがある内容。1時間ぐらいで読める割には内容が重い。
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人間の本質。誰もが経験した小学校。此処に照準を合わせることで、共感を誘う。短編の割には重い内容。この方の洞察力には脱帽。
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友人からのいじめを受ける転校生の女の子を描いた作品。「死」まで思いつめた少女が、そのいじめの中でも何かを感じ、生きていく姿が描かれています。
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初めて山田詠美さんの本を読んだ。大人びた小学生の主人公視点で物語が展開していく。純粋なこどもの恐ろしさということより、その巧みな心理描写が印象に残った。
ざっくばらんな歴史物を読むことが多いが、たまにはこういう緻密な本を読んでぐるぐる考え事をするのもいいなあ、と思う。
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親の都合で引越しを繰り返している小学5年生の女の子が学校内で人気のある先生に気に入られてしまったがゆえに、クラスでのいじめの対象となってしまう様子を描いた小説。主人公である女の子の目線で物語が進んでいき、心情の変化が読み手にダイレクトに伝わってきます。(2007.9.9)
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この人の言葉ってきれいに流れいて、
なんか楽譜読んでるみたいでした。
曲は淡々とした覚めた曲でしょうが。
『蝶々の纏足』よりもストーリーは好き。
でも、終わり方は蝶々〜が良かった。
遺体を焼きもしないで、土もかぶせずに、風に任せたままにするのを風葬と言うらしいです
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「風葬の教室」、懐かしく思い、古本屋で購入。初めて読んだときよりもなんだかいやなぞくぞく感があったのは、私が大人になったからでしょうか。実習で小学生をみてきたけど、思えば私も結構いろいろ考えてたし、「大人・子どもは年齢ではない」というのがなんだか改めてずっしりきた。いじめを「女性」として打ち破るラストは圧巻。軽蔑を高尚な手段にしてしまう小学生女子…おそろしや。
同時収録の「こぎつねこん」は、乙一みたいだと思った。
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女の嫉妬から生まれたいじめに苦しむ、小学女子。
…子どもって、怖いものですよね。この年頃は、特に。
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「ブス」
「どっちが?」
心の表現などが繊細で、とても絶妙。
だからなんだと思うけど、すごく切なくなってしまう。
自殺することをさらっと考えて、そして自分自身のことよりも自分がいなくなった後の家族のことを思って泣く小学5年生…
何度読んでもいろいろ考えがグルグル巡ってしまう本です。