紙の本
日本文化の源流へ
2019/07/13 10:25
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投稿者:Otto - この投稿者のレビュー一覧を見る
講談社学術文庫の中で日本文化の源流を探るシリーズの一冊です。表題作の他に「三味線唄の発想を辿る」と「翁の発生」も併録されていて、こちらも興味深いです。
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[ 内容 ]
人の住む近くにはものやたま(スピリットやデーモン)がひそむ。
家や土地につくそれら悪いものを鎮めるために主は客神(まれびと)の力を借りる。客神至れば宴が設えられ、主が謡えば神が舞う。
藝能の始まり。著者は、時を遡って日本藝能発生の直の場面に立ち合おうとするかのようだ。
表題作「六講」に加えて名編「翁の発生」を収録。
著者の提示する「発生学風」の方法こそ近代学問の限界を突破する豊穰なエクリチュール。
[ 目次 ]
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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「反ばい(もんがまえに下)」という発想を大切にしたい。跳躍とはそれ自体が目的なのではない。踏み鎮めるために必要な動作なのだ。現代は、上半身だけで動くことが多い。舞台もそうなりがちだ。下半身と踏みしめる大地、これを意識したい。
1日は、逗子に行き、その後年賀状を書いて終わる。今日はぼんやり芸能やお笑いのYouTubeを見て暮れた。昔集めた論文を読んでいるが、なかなか刺激的だ。こうしてゆるゆる論文を読むのも、今しか出来ないのだろう。
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折口信夫の本を、ここんとこ読んでるのだけど、これは青空文庫にもなくて、iBooksやKindleなどの電子書籍にも、少なくとも無料ではないので、買うかなと思っていたら、妻が持ってました。似た者夫婦にも保土ヶ谷バイパスです。(©パラダイス山元)
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折口信夫 日本藝能史六講 日本藝能の発生論にはじまり、民俗伝承の中で藝能の変化を論じた本
日本の藝能の発生を「祭り」( 広い意味での「饗宴」)として、鎮魂と反閇(へんばい)に 目付けすることで、儀式としての藝能が、その目的を転々とさせながら、色々なものを取り込み、興行化していく様子が よくわかる
*鎮魂=外からよい魂を迎えて人間の身体中に鎮定させる、遊離した魂を招び戻す、あそびは鎮魂の動作
*反閇=悪い魂を踏みつけてでてこれないようにする、精霊を抑えつける〜踊という藝の中に伝承されている
日本の藝能を中国の六藝と比較した論評は興味深い「日本の藝能は学問ではない〜六藝のように美しいものではない〜もっと雑然とした、内容の豊富なものであったと思う」
「書いていないということは事実がないということではない〜かえってありすぎる平凡の事実だから書かれなかったという場合もある」という言葉に納得
日本の藝能を中国の六藝と比較した論評は興味深い
*日本の藝能は学問ではない〜六藝のように美しいものではない〜もっと雑然とした、内容の豊富なものであったと思う
*文字を解剖して、藝能を考えることはよくない
ことばに関する著者の認識
*ことばというものは〜使っている間は、定義によって動いているものではない
*使っている間に、ことばが分化して、そこで始めて定義づけてみようという試みが行われる
何事も発生学風に研究することの意味
*藝能にしても、最初から何か目的を持って出てきたと考えることは間違っている
*目的は次々に展開している
*儀式は次第に藝能に変わってくる〜儀式を行うために訓練することが増えて、さらに藝能になると演出する人の監督によって行われる
*何か一貫した歴史的必然性で藝能が組織されているのではなく〜何でもかんでも世間で行われているものを雑然と取り込んで発達していく
*日本の藝能は、もとは藝能としての形をもっていなかったものが、繰り返し行われるうちに藝能化してきた
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「日本芸能史六講」折口信夫著、講談社学術文庫、1991.11.10
181p ¥735 C0170 (2022.12.09読了)(2008.10.09購入)(2004.09.29/13刷)
Eテレの「100分で名著」で「折口信夫『古代研究』」が取り上げられたので、この機会に手元の「日本藝能史六講」を読んでしまうことにしました。
講義の記録なので、読みやすいのではないでしょうか。内容としては、類書をいくつか読まないと理解に到達できそうもないのですが。
【目次】
第一講 藝能の意義・他
第二講 饗宴・他
第三講 鎮魂・他
第四講 田遊び・他
第五講 日本の音楽・他
第六講 採り物・他
三味線唄の発想を辿る
あとがき 折口信夫
翁の発生
解説 岡野弘彦
☆関連書籍(既読)
「「日本人」とは何者か?」松岡正剛・赤坂真理・斎藤環・中沢新一著、NHK出版、2015.04.25
「折口信夫『古代研究』」上野誠著、NHK出版、2022.10.01
(アマゾンより)
人の住む近くにはものやたま(スピリットやデーモン)がひそむ。家や土地につくそれら悪いものを鎮めるために主は客神(まれびと)の力を借りる。客神至れば宴が設えられ、主が謡えば神が舞う。藝能の始まり。著者は、時を遡って日本藝能発生の直の場面に立ち合おうとするかのようだ。表題作「六講」に加えて名編「翁の発生」を収録。著者の提示する「発生学風」の方法こそ近代学問の限界を突破する豊穰なエクリチュール。