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嵐寛寿郎といえば「鞍馬天狗」なのだろうが、本書でよく語られている同作や「むっつり右門」は一作も見たことがない。
好きなのでよく見る任侠映画で何作か見たのと、『神々の深き欲望』、それに『男はつらいよ』の殿様役くらいだが、その存在感には前々から感心していた(『網走番外地』シリーズは肌に合わないので見てない)。
やはり大スターの貫禄というかオーラなのだろうが、本書の飄々した京都弁で語られる「自身の映画史」を知るにつけ、間違いなく日本映画史に欠かせぬ人物だということがわかった。
これは著者の圧倒的な情報収集力とアラカンへの熱意の賜物だろう。
できればマキノ雅弘監督の『映画渡世』(天の巻&地の巻)もおすすめしたい。
ちなみに読了後に『鞍馬天狗 角兵衛獅子の巻』をアマゾンで観た(便利な時代だ)が、私にはアラカンのすごさはよくわからなかった(バンツマはすごいと思ったのだが)。
ちなみにアラカン自身は、「一は萬屋錦之介、二は若山富三郎と勝新太郎(「この三人はワテの生徒」だそうな)、三船敏郎はんはこれはちょっと別物」だそう。
三船がどう別物なのか知りたいが、若山&勝の殺陣のうまさは私も同意。