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浮世絵が大好き!
特に歌川国芳と、この月岡芳年が好きなんです。
国芳はおもしろ絵や猫や妖怪画が好き。
芳年は歴史や歌舞伎の人物と幽霊画が好き。
画集も集めたいんだけど、浮世絵の画集って結構お値段がはるんですよね…。
日本国内より、海外で買った方が安くつくと言う不思議現象><
本書もつくりの割には、お値段がアレなので★は4つです。
芳年の作品は文句なしの★5つなんですけどねー。
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復刊ドットコムで購入。日本画を習い始めてこういう人がいることを発見しましたが、なかなか本格的な画集がありませんでしたが、これは凄いです。日本ではあまり知られていないのが残念ですね。
とにかく、絵が、構図が、配色がすばらしい。
個人的には、ゲームの『大神伝』はこれを参考にしているに違いない・・・と思います。
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無残絵で有名な芳年の作品集。
血みどろで嫌悪感をもよおす人もいると思うので、万人にはおすすめできないが、構図の迫力、線の力強さが抜群で、そんじょそこらの浮世絵師とは力量が桁外れだ。相当のデッサン力と観察眼がなければ描けない絵だ。
江戸川乱歩や三島由紀夫もその魅力の虜になった一人だが、さもありなんと肯ける。
芳年は『最後の浮世絵師』と言われている。
時代的に最後ということもあるが、芳年を超える浮世絵師は過去にいなかったし、その後もおそらく出なかったと思う。
この本はもう手に入らない。もう何年も古本屋で探してるが、全く出てこない。
最近、太田記念美術館で芳年展をやったり、横浜美術館では国芳展をやったり(弟子筋だから芳年作品も多数展示されている)で、芳年人気に拍車がかかってきている。
芸術新潮で芳年を特集したバックナンバーをこの間、古本屋で見かけたら5000円もした。自分は10年くらい前に500円で買ったから、暴騰している。
とは言っても、最近は新刊で比較的安いのが出ているので、これから興味を持った人は、そんな高いものは買わなくてもいいと思うが…
一番おすすめは今年の夏くらいに出た別冊太陽の月岡芳年。
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31cmと大判で絵を鑑賞できる。
冒頭の吉田漱氏の「世紀末美術の旗手」で芳年の輪郭が分かる。また直接芳年を知る、鏑木清方らの逸話が5点あり、写生を重んじる芳年は磔の場面を弟子にさせていたが、何も知らない訪問客が実際かと驚くと、周囲の者が笑いを堪えている中、訪問客の勘違いをそのまま合わせたなど、人となりが浮かび出る。
収録の絵では、下絵を何点か載せているのもめずらしい。完成図と下絵を左右に載せているのも何点か。これを見ると、まるで油絵のデッサンかと思うような雰囲気。
最初は「血と情念の美」で残酷絵の中の美、という見出し。でも印刷が押えた発色のせいかあまり血という感じがしない。「魁題百撰相」明治元年 では彰義隊の見立て絵で、弟子の年景を連れ上野の山を走り回ったと言われる。上半身、1人1枚で、顔の表情が生々しい。「英名二十八衆句」慶応3年 全28作品のうち14図を兄弟子芳幾が、残りを芳年が。こちらの方が構図がおどろおどろしい。
またへびの絵に出くわし、なにか惹かれた。「袴垂保輔鬼童丸術競図」明治18年で、10-11世紀の伝説上の大盗賊・袴垂保輔と平安末期の盗賊鬼童丸の対決。人物に蛇と鷲がまとわっている。
ページをめくるとへびの絵は他にもあり、「一魁漫画」慶応3年 で佐藤正清が松にいる蛇と相対。「豪傑奇術競」明治2年 では大蛇丸と赤い腹に黒い縞のオオヘビ。
また「曽我時至乗裸馬駆大磯」では墨絵のような躍動感ある馬だ。(蘇我兄弟の絵)
「変わり摺り」として、絵の一部の色を変えたものがのっている。「教導立志編」明治18年 では着物が赤のと黒のとある。
「松竹梅湯嶋掛額」明治18年 八百屋お七が火の中、はしごに登る図。お七が美しい。
メモ
吉田漱「世紀末美術の旗手」
月岡芳年は天保10年から明治25年(1839~1892)の生涯で、ほぼ西欧の世紀末に対応する画家であった、としている。師の歌川国芳は明治を見ることなく亡くなったが、師の前時代の暗さと、それとは正反対の庶民の反逆的な明るさ、ユーモアも弟子の芳年には伝えられた。師の国芳は武者絵で勇敢な男性も描く一方で、エロティックな女性も描き、それはそのまま芳年にも伝えられ拡大されている。
芳年は領域が広い画家で、当代の好みも先取りし明治18年の浮世絵師人気番付では1位になっている。
その作品は横浜絵や文明開化、西南戦争など時事的な作品もあるが、やがて時代を逆行し、説話、伝説、史実に材料を求めてゆくようになる。今でいえば強度のノイローゼになった時期もあったが、晩年でさえ筆力に落ち込みや衰えはなく、むしろ生得的な幻想性や機智、ユーモアもあったようで、旺盛な制作を示している。
「幽霊の画家」とも言われる。「魁題百撰相」晩年の「新形三十六怪撰」
逸話1:国芳への入門のいきさつ。作家・饗庭篂村(錦絵22号:大正8年1月号)が芳年を訪れた時、「国芳についていたのは長い間じゃない。はじめは松月という四條風の絵師についていたが、これじゃあ売れないと見切って国芳の門下になったのです」
逸話2:芳年の気性 養女小林きん 「父は百物語を語ってくれた。私は恐いので布団をかぶっていた。また賑やかなことが大好きで祭りには弟子を連れ逃さず出かけた。弟子たちを大変かわいがったが、一方気に食わぬことがあると六尺棒をふりかざしどやしつけていた」
逸話3:涙もろい人情家 鏑木清方は「やまと新聞」の創始者の息子。その中で芳年の絵と落語家の円朝の話を組ませることになった。円朝の話は清方の家で行われ、まだ幼かった清方も一緒に聞いた。悲しいところになると芳年は涙をながしていた。
監修者:吉田漱(よしだすすぐ) 浮世絵研究家
編著者:悳俊彦(いさおとしひこ)1935年生。洋画家。
1992.1.27第1版第1刷 図書館