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紙の本
人がいなくなるという、悲しさ
2008/04/29 00:25
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人が死んでいなくなるというのは、
どうしてこんなに辛いのだろう。
そして、どうしてそのことを、
普段考えずにいられるのだろう。
写真の中の陽子さんは、
とてもいい表情をしていて、
アラーキー自身も、
シアワセそのものである。
だが、荒木陽子の死によって、
アラーキーの一番のシアワセも、
絶対的に失われたのだなあと思う。
どんなに写真をとったとしても、
どんなにいいことがあったとしても、
どんなにおいしいものを食べていても、
陽子さんを失ったという事実は、
もうかえってこないというかなしさは、
決して埋められるものではない。
アラーキーの心は、陽子さんが亡くなってから、
廃墟となったバルコニーそのもののままなのかもしれない。
生きている者は、それでもその死を乗り越えて
生きなければならないのが正論かもしれないが、
それは、
人が死んでいなくなったという事実を、
悲しんではいけないとか、
まして忘れるとか、
そういうことではないと思う。
大事な人が死んだら悲しいにきまってるじゃないか。
そう簡単に乗り越えられるわけないじゃないか。
そういうことを、涙目で考えてしまった。
紙の本
東京日和
2001/05/10 21:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:甘露 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この「東京日和」は思想の科学という雑誌に連載されたエッセイである。東京を天気の良い日に散歩して、そのときに起こった出来事や、心に感じたことを文章にしている。夫である荒木さんと一緒の道行きの記録にもなっており、楽しそうな夫婦の雰囲気が直接伝わってくる。陽子さんの病気のために3回で終わってしまったのだが、読んでみると東京を撮らせたら日本一の荒木さん撮影の写真とマッチして面白く、どうしてもこの続きが読んでみたい、という気持ちになる。
陽子さんが亡くなってからの荒木さんの日記が、活字に直されずそのまま載っている。バルコニーで陽子さんを感じるものをブツ撮りしていく荒木さんの様子がわかる。書いていてすぐ陽子さんを思い出すのか、陽子さんの記述と、楽しかった頃の写真が半分以上を占めている。「湯上りビール 牛肉とピーマンのあまから煮 なす古漬け 冷凍ごはん 遺影のヨーコとふたりっきりで<食事> 鼻のあたま黒くしてチロすっとんで帰ってくる」 日記のさいごには新盆の記述がある。「7/13迎え火」をし、「7/14新盆」を営むも「7/15送り火しない。帰さない。」で終わっている。竹中直人氏は、この本を書店で立ち読みしているうちにはまってしまい、感動で涙が出、本屋を後にする頃には「是非映画にしたい」と決意を固めていたという。その話は現実になり、竹中直人が荒木さん役、中山美穂が陽子さん役の「東京日和」という映画になった。
巻末にはライカで根岸、根津、谷中の“昔ながら”を撮影した「東京日和」がある。亡き陽子さんに捧げられている。これがきっかけで、荒木さんの写真の、モノクロからカラー、カメラはライカを使う、というスタイルが始まる。人生のパートナーにして、写真家人生をともに過ごしてきた陽子さんの死は、荒木経惟という写真家の何かを確実に変えた。
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