紙の本
英語教育に携わる者には必須
2018/12/15 23:01
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Totto - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京外国語大学の若林先生と根岸先生の共著。既存の英語テストの問題点が指摘されている。中高の教員など、テストを作成する立場の者には必須文献であると思う。
特に、テスティングのポイントを明確にすること、文脈を意識することなどが参考になる。文脈を無視した書き換え問題、英訳/和訳問題、何をテストしているのかわからない「総合問題」等、考えさせられる内容が多い。
特筆すべきは、本書が記されたのは1993年だが、いまだにそのようなテストが世の中には溢れていることである。「英語は教わったように教えるな」が若林先生の口癖であったが、テストに関しても、教師が自ら受けたものを模倣して作るだけでは、英語教育は発展してゆかないであろう。
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おれが中高6年間ずっと解いてきた英語のテストのすべての形式が網羅的に紹介されていて、そうそうこんなテストもそんなテストもあったなーと思ってシミジミしていたら、それがとんでもない「悪問」で問題点に満ち溢れていることを突きつけられるという、おれにとってあまり穏やかではない書。残念ながらあまりに「悪問」が跋扈している現在では、この本はやたら急進的なものに思えてしまう。あまりに受験英語に慣れすぎたせいなのか、「悪問」に対する批判がピンと来ないものもあった。そういえば教師になった人がテスト論を勉強したら自分の作っている問題は何から何まで全て「悪問」だったということが分かりうつ状態になった人もいるという話を聞いた。要するにテストを「良問」にするためには根本的には英語教育や大学入試を変えなければいけないということなので、つまりそういったものが変わらない限り、テストの良し悪しを議論しても始まらないという感じはする。
ただこの本を読めば、選択肢の並べ方や質問の仕方など、「美しい」(=統一感のある、悪意のない、明瞭な)テストを作るためにはどんなことを避けるべきなのかが分かる。また部分的に、特におれは単語テストや聞き取りテストの面でこんなテストだったら確かにいいな、というのがあった。また巻末にテスト論での用語集や参考文献の案内などもあって良心的。
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『英語教育』1990年4月号から1991年9月号までの連載をまとめたもので、1993年刊行。しかし決して古くありません。
いわゆるこれがいい、というような「答え」はありません。ただただ、テスト作りの考え方とダメなテストの目白押し…私は本書をもとに、一から勉強し、自分のテストを見直していかなくてはなりません…世の中そんなに甘くないです。
テスト問題作成に必要な観点はいくつかありますが、
・テスティング・ポイントをはっきりさせること
・結果に信頼性のもてるもの
・現実性がある課題もしくは文章内容であること
・いい方に波及効果が期待できること
・受ける生徒に負担がないこと、納得いくものであること、生徒の立場になって考えられていること
があげられます。
私個人としては、センター試験くらいしか受験英語に触れていないので、いろんな問題を読めておもしろかったです。身に覚えのあるものも含めて…20年以上たっても日本の英語教育はあまり変わってないということです。
言語分野のテスティングの研究は未だに少ないようです。そういう状況も理解した上で、これからどうあるべきか勉強していかなくては、と思ったのでした。
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無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る―正しい問題作成への英語授業学的アプローチ。若林俊輔先生の著書。無責任なテストを作る無責任な教員が落ちこぼれを作ってしまう、無責任なテストの具体例が満載のとてもわかりやすい一冊です。1993年発売のとても古い本ですが、内容は決して古くなく、普遍的な内容。教育に携わるすべての人間にとって一読の価値ありです。