その沼には、少年が沈んでいる。
2002/02/09 15:47
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投稿者:TAIRA - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏に紅於と頬白鳥が訪れたのは、大きな沼があるひっそりとした町だった。そこに祖母と二人きりで住んでいる従兄の草一は、並外れて美しい少年だが、いつも曖昧な微笑みを浮かべるばかりで何も言わない彼を、紅於はあまり好きではなかった。
ルリルリルリと啼く沼には、きっと少年が沈んでいる。沼を怖れる草一と、沼に沈みたい頬白鳥。そして、沼を怖れない紅於。少年たちが、辿り着く最後の場所。
長野まゆみの美しい文章と幻想的な世界が、詰まっている1冊。白い水蓮の花を、少年の手と表現するあたりが作者らしいと思う。
水の感触、少年の死
2002/07/28 04:32
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投稿者:boogie - この投稿者のレビュー一覧を見る
沼には子供が沈んでいる。
くらむほど眩しく暑い夏のむこうで行われる少年たちの儀式。夜更けにルリルリと響く水笛の響きは、やわらかい泥濘へと彼らを誘っている。水辺。水の感触。水蓮の花はひらき、少年たちは沼へ沈む。質感のない死の空気。
うだる夏の夜更けに読みたい一冊。
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投稿者:ゆうり - この投稿者のレビュー一覧を見る
物語自体は意味がわからない(というか思想的背景はあるのあろうが、それだけで書いている感がある)が、描写は美しい。書中に沼が登場するのだが、それの状態やあり方が、目に浮かぶように細かく描かれている。それだけに、物語自体がきちんとしていればもっと面白かったのではと思うと残念。
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装画:長瀬典子
装丁:泉沢光雄
“沼の底へと誘う青い鳥を追って消えた少年たちの愛を描く水紅色の物語。”(裏表紙解説より)
長野さんの「沼文学」。
裏表紙の解説では「少年たちの愛を描く」と云っていますが、この物語のテーマは寧ろ、生温い温度を感じる生と死ではないかと思います。
(文庫版)
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もう10年くらい前に読んだ本!
でもたまに読み返すのです。。。
「沈みたいんだ。僕、この沼の中に沈みたいんだよ。もうずっと、そう思ってた。」
「沈めてくれるでしょう。そうしてほしいんだ。この手がいいんだよ。」このセリフが、、、、
忘れらないのです。。。
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登場人物が少なくて、混乱せずに読めました。笑
表現がすごい綺麗で、うっとりしました。
世界がキラキラしてる感じ。
頬白鳥がすごい可愛いんだけど、幼さが恐い。
この作品も私のなかでホラーです。
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挿絵モリモリ。長野的重要な一冊だそうですが、こういうオチはちょっと苦手です。読んでいると無性に水笛が吹きたくなります。
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プチホラー。元々は絵本チックな装丁だったけれど、文庫に成ったときはホントに文庫って感じでした。各章の題名をつなげると詩に成るのねと気が付いたのは実は3回目を読み直してる途中でした。
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これも夏シリーズ。夏に読みたい。睡蓮が沼に咲いている様子が浮かんで綺麗。あと漢字の使い方が好き。水蜜たべたい。でも、ぬるい沼は嫌だなぁ、夏ならひんやりした泥がよい。
水の描写が上手い。
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子供たちが沈んでいる、と云われる
美しい沼のほとりに建つ一軒の家。
そこで祖母と2人きりで暮らしている
従兄の草一を、紅於と頬白鳥の兄弟が訪れる。
沼の底へと誘う青い鳥を追って消えた
少年たちの愛を描く水紅色の物語
沼に魅せられ沈みたいと願う頬白鳥と
沼を恐れる従兄弟の草一。
そんな二人に苛立つ紅於。
白く眩しい真夏に涼しげに誘う蓮が群生する美しい沼。
水盤から溢れる湧水と、甘い匂いを放つ水密。
沼の泥の柔らかさとニオイ。
五感全てを刺激されます。
幻想的で不思議で美しい。
夏の夜に読むことをお勧めします。
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夏の輪郭、水の恐ろしさ、少年特有の儚さが折り重なって恐ろしいまでの美しさを醸し出している。
怖い話としても十分通じるかもしれない。
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ほわんと始まり、ほわんと終わった。
ファンタジーでした。(夏かな、やっぱり読むのは
草一が好きです。一番お兄さんな気がする
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毎日に疲れた時に読むと、沼に沈みたくなります。
でも、沈んだらどこに行けるのか怖いのでやっぱり今のままがいいです。
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確か、私が読んだ初長野作品だったはず。
不思議な情景が広がる。
何だかわからないけど引き込まれる。
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紅於の弟、頬白鳥は、初めて訪れる祖母の家の近くの沼と、祖母の家に住む従兄弟の草一に惹かれる。
紅於はそんな弟を心配しながら、草一と仲良くやれずにいる。
そんな草一は、壊れているはずの水笛を持ち、夜な夜な沼へ出かけていくが、ある夜、頬白鳥は草一の水笛を沼に落としてしまう。