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筑波大学の授業科目「材料学Ⅰ」(第1~15章)、「材料学Ⅱ」(第16章)の教科書。
金属材料を文章と豊富な図表で読む。
何より材料を比較する測定データ図表が豊富なのが非常に良い。あらゆる観点で比較され、材料の特徴や現象がよくわかる。ボリューム充分。金属を扱う仕事をするようになってからも大変有用である。
さらに加えて良い点は、文章が正統派で破綻が無いところである。数式や理論はほとんど登場せず、まず現象を把握するのに最適である。高学年で輸送の理論を学ぶ前後に読むと理解が進む。章立てが良く工夫されており、ひとつの章は10~20ページ前後にまとめられている。
ただ書名は不適当である。材料学の全般がわかるようなタイトルだが、実態は古典的な鉄鋼材料学にいくらか新材料を付け加えた程度である。
高校レベルの化学の知識が必要。周期表を付録に付けて欲しかった。
目次
1.金属および合金の結晶構造
2.平衡状態図
○金属材料
3.機械的性質とその試験法
4.疲れと疲れ強さ
5.機械的性質と温度
6.製造法
○鉄鋼
7.分類およびFe-C系平衡状態図
8.熱処理
9.構造用鋼
10.鋳鉄
○非鉄金属およびその合金
11.銅
12.アルミニウムなど
○特殊鋼・特殊合金
13.軸受・ばね・工具材料
14.耐食材料
15.耐熱材料
○新材料
16.アモルファス合金,金属間化合物,形状記憶材料,セラミックス,エンジニアリングプラスチック,複合材料