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紙の本
おたく論の結晶か
2001/12/11 01:17
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投稿者:戸波 周 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は『澁澤龍彦の時代』題されているが、読者は前もって澁澤に関する詳細な知識を要求されはしないし、また澁澤を広く紹介しファン層を開拓しようといういわゆる「入門書」などでもまったくない。著者は澁澤龍彦という「おたく」の先駆者の軌跡を通して、各時代の相を鮮やかに提示してみせる。そしてその作業は、まず何よりも「おたく」的な感性が無視できないほど広がり一般化し、病理さえ呈し始めているこの「現代」という時代への問題意識から始まっていることは見逃せない。さらにいえばそれは、著者自身が「おたく」であるゆえに感じ取ることができたものなのである。おたくによるおたくのための、単なるマニア的情報蓄積を超えた、生き方の模索。その点で、著者の問題意識は他の著作とも通底している。
紙の本
ただの澁澤龍彦研究とは異なり、その消費のされ方に焦点を当てている
2001/05/07 10:46
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投稿者:谷池真太 - この投稿者のレビュー一覧を見る
普通の澁澤龍彦研究とは異なり、その消費のされ方に焦点を当てているのが本書である。著者のねらいはそこから戦後から昭和の終焉までの日本の精神史をたどるところにある。澁澤龍彦の著作のなかでは一段低く見られることの多い「快楽主義の哲学」をダイナミックに読み解くあたりは圧巻。
また、常に周囲から「浮いた」存在であった澁澤龍彦がどうやってまわりの人間とつきあい、自己を確立していたのかを探り、「コミュニケーション不全症候群」(中島梓)の人間についての処方箋を与えている。著者はこの後、その処方箋を「教養」という語で表し「野望としての教養」「教養論ノート」など意慾的な活動を続けている。
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