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異世界
2011/04/02 21:15
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
あなたにほめられたくて 高倉健 集英社文庫
わたしが作者について知っていることは、やくざ映画の俳優だった。わたしと同じ福岡県の出身で家出した。(わたしも就職という手段で、合法的に家出した。)日本映画「幸せの黄色いハンカチ」を見た旧ソビエト連邦に住むおばちゃんが号泣した。作者は歌手と結婚して離婚した。かたくなで無口に見えるけれど実はよくしゃべる。(そんなふうには見えない。)わたしの母親と同い年くらい。もうずいぶん前に作者がどこかで死んだという噂が流れて、世界の株価が下がった。日本にいることは少なくて、外国を放浪するように旅している。
「あなたにほめられたくて」のあなたは、お母さんです。すぎもとまさとさんという人の歌で「吾亦紅(われもこう)」という歌があります。歌の中で何度も「あなたにあやまりたくて」という文節が登場します。そのあなたもお母さんです。親不孝を詫びるせつなくてつらい歌です。男子はいつもお母さんにほめられたいし、あやまりたいのです。
この本の内容は、思い出のふりかえりです。読みながら書き手は作家ではないと、あたりまえのことですが、再確認しました。体験の数々が尋常ではありません。凡人には経験できないことばかりです。映画のロケというのは長い海外生活です。体験の質が違います。すごすぎる。モンゴルでの「映画」の地位の高さには驚きました。同国は文化を大切にする国です。
なりたくてなった役者ではないそうです。たとえば、女優さんというのは、なりたくてなるのではなく、なりたくなくても周囲がならせてくれるものなのでしょう。
読みながら自分は書き手とは違うという強い印象が生まれます。書き手と同じような生活はできないと首を横に振りながら、また映画の世界でも働けないと思い知ります。先日、千利休の本を読んだのですが、高倉健氏と千利休氏は性格において共通するものがあると感じます。頑固、追求、極めるというところです。
書中に「催眠術」の記述があります。書き手や読み手を始めとして、世界中のすべてのひとたちが催眠術で動いているのではないかと、読み終えて感じたのです。
成る程、スターはやっぱ違うわ
2002/01/04 23:00
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:茶羅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高倉健です。銀幕のスターの本です。ゴーストライターが書いた本ではありません。そこには高倉健が流れています。
高倉健がどうとて人気があるのか、どうしてブラウン管・スクリーンからでもオーラを感じることができるのか、これを読めばわかります。考えていることが真面目なのです。一々頭が下がる思いがします。と、いって難しい事を言っているわけではないのです。読んでいて楽しいエッセイなのです。久々に読み進め、ページ数が減っていくのを惜しいと感じるエッセイに会いました。
この本の題名『あなたに褒められたくて』の「あなた」は実は母親なのです。男は誰でも母親をうっとうしく思い、そして母親を何者にも代え難い存在の人と感じる時が来ます。高倉健もそうなんです。普通の男なのです。
この本は裸の高倉健が出ています。それが健さんの魅力だったのです。それにしても、こんなに楽しくてお茶目な人だとは思わなかったっす。
生き様
2016/01/04 22:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画の世界に入ってからの体験をまとめたエッセイ集。自分に厳しく、周りに優しい。逆のタイプばかりがのさばる世の中だから、氏の生き方が共感を呼ぶ。かつて妻だった江利チエミさんが亡くなった時のエピソードを始め、生き様という一見、安易な言葉も、この人に当てはめると重く感じられる。
やっぱりカッコイイ健さん。
2007/06/17 23:25
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝光 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高倉健さんの初めてのエッセイ集。
全体を通して、彼のロマンティシズムが貫かれて
います。実は、健さんはもっと大人っぽい(=クール
な)人かと思っていましたが、この本では彼の中の
少年の様な気持ちが輝いています。
初めの方では、「です。ます。」調と言い切り調が
混じっていたりして、いかにもシロウトの文とい
う感じでしたが、最後の方はすっかり書き慣れた
文になっています。健さんの物書きとしての移ろ
いも感じられます。
いずれにせよ、やっぱり健さんはカッコイイゾと
思わせる一冊です。