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山城少掾の義太夫を聴かねばなるまい…という気にいやでもさせられる本。というか、一度も聴いたことが無いのに読んでよかったのかとも思うが、聴いたこと無くても面白かった。
こういう風に鑑賞してる人がいるんだなあ…。今後の鑑賞の際に参考になりそう。昭和の文楽の歩みについても知ることができたし。
最後、もう文楽は終わった…的な書き方をされていて、今文楽観てる人には身も蓋もない感じですが、それだけ山城少掾の時代は緊張感があった、というのはなんとなく伝わってくるところです。
伝記ではない、といいつつ少し触れられている山城少掾の私生活が凄まじくてびっくりだが、そういうところから生まれてきた芸、というものの凄味があるのだろうなあ。
時代の流れ。文楽の存続。いま私たちが楽しんでいる文楽の、ここまでに連綿と受け継がれてきたもの、受け継がれなかったもの。その過程にいた人々。うーん、ものすごく、面白い。
→7/23追記:CDで古靫太夫と三世清六の「葛葉子別」を聞いた。聞き惚れた…。義太夫と三味線の絶妙な掛け合い、聞きやすくて表情豊かな声。「誠の人間には……アラズ」のところが印象的でした。
→さらに追記:清六さんは四世のほうみたい。CDの解説がおかしい。