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紙の本
洒脱なお手本
2004/02/11 22:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雪化粧 - この投稿者のレビュー一覧を見る
実は、ナニを隠そう、僕の愛読書であり、また文章のお手本でもある。 こんな洒脱な、楽しい文章が書けたらなあ…と思いつつ、書けたためしがない。
「いまの世の中、ネクラはうけない」 と、CMキャラクターとしての王と長島を比較したり(この勝負、重厚長大型の王の負け。長島が軽薄短小というワケじゃないけど)、時代がどうだなんて全く無頓着な人にみえる菅原文太が、冷蔵庫のCMで 「時代はパーシャル!」 と怒鳴るおかし味等、随分楽しませて貰った。
なかでも一連の 「パンツ・ショック」 は身につまされる大問題で、大笑いしながらも深い溜息をつくのである。 発端は90年5月18日附けのコラムで、対象のCM商品は日立の 「分け洗い洗濯機・静御前」。 可愛い娘さんが 「パパのソックスは右、私のは左、パパのパンツはゼ〜ッタイ右……」 と、洗い物を二つの洗濯槽に分けるCMシーンに、「ナンだこれは?」 と首を傾げたところから騒ぎが始まる。 まわりの女性にその意味するところを聞いてみると、亭主のパンツを差別虐待する衝撃的な話がゴロゴロでてきたのである。 「娘さんならまだ可愛いけど、世間の奥さんのなかには、亭主のパンツをハシでつまんで洗濯機に入れてる人もいる」 となると話はガゼン、凄みをおびてくる。
早速、「そんなの序の口よ」 という投書が殺到し、そのいくつかが紹介されていて、曰く 「亭主の下着は、洗濯機に入れる前に、その辺をゴシゴシ、雑巾代わりに使う。」、「自分と子供の下着を洗った後の汚れた水に、旦那の下着を放り込む。」、「夫のパンツは‘雑巾と一緒に洗う’というのが普通だと思います。」、「ハシは使わないわ。あとで、手をよく洗えばいいんだもん。」 結局、「自分の下着くらい自分で洗え!」というのが世の奥様方の大方の声なのだろう。
このパンツ騒動はよほど反響が大きかったらしく、一ヶ月以上経ってからも 「パンツをハシでつまむ」 という言葉がコラムに出てくる。 きりがないので、このコラムの担当記者の言葉で終わろう。 「独身の私は、‘結婚なんぞは軽率にするものではない’とひとりしみじみ感じ入っております。」
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