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投稿者:もそ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰もが知っているグリム童話。
そのひとつひとつを読みながら、
そこに潜んでいる心(あるいはたましい)にかかわるテーマを、
河合先生が読み解いていってくださる。
子ども、思春期、父、母、男性、女性、
どれもこれも誰しもが関わる人生のテーマごとに、
お話が紹介されているから、
いつまでも手元に置きたい1冊です。
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投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃、絵本で読んだり、TVのアニメなどで日本昔話を見たりしたことは誰にもあることだろう。たくさんの短いお話の中には、大人から見れば非現実的なものも多いが、何らかの戒めだたり、示唆を与えるようなものもあったと感じる。それらの物語は、筋も結末も様々である。しかしそれらが遠い昔から語り継がれ愛されてきた理由を深く考えたことはなかった。本書は著者がスイスのユング研究所へ留学中に研究した昔話における心理学的な側面を解説したものである。「まえがき」に書かれているように、この研究はユングの愛弟子フォン・フランツ女史の説による部分が多いことから、受け売りを記すことに「気がひける思いもあった」と言うが、日本の昔話との対比という試みもあり、著者なりのアレンジが加わっている。本書で取り上げられている昔話は西洋のもの、グリム童話からの引用であり、巻末には翻訳したものが全文引用されている。「ヘンゼルとグレーテル」のような馴染みのある童話集である。本書は昔話の深層を理解し、大人であっても「昔話を通じて人間の生き方を考えるように」という意図をもって書かれている。
昔話や童話は単純な話が多いだけに一体何を伝えたかったのか、表面だけでは実はよく分からないことも多い。ユング派は昔話を「人間の内的な成熟過程のある段階を描きだしたものとして見てゆこう」といったユニークな研究をしてきたようで、著者もその影響を受けている。いずれの章も興味深い解説で面白かったが、最後の章ではユングの言う「自己実現」のためには結局、個々人が自ら「葛藤のなかに身をおいて正面からとり組んでゆく」ことで、その人なりの人生が拓けて来るものとまとめている。
自己と自我の関係、人間と自然との関係、意識と無意識、西洋と日本との関係などと同様、人生には二者択一式にどちらかに白黒はっきりとは決められない問題がたくさんある。それらの相互作用の中で葛藤し、もまれることでその人なりの個性が出来上がっていく。それを「第三の道」と呼び、これを発見するよう努力するのが自己実現の過程である、と言う。
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超有名どころの心理学の本。
なぜ、童話の継母は意地悪なのか。なぜ、三番目の一番愚かな息子が成功をおさめるのか……など、グリム童話を事例としてユング心理学に則り、人間心理をわかりやすく説明してくれる一冊。
用例としてとりあげられているグリム童話の全文がきちんと掲載されているのも地味に助かります。
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おとぎ話が示す暗喩を、わかり易い表現で説明してくれます。ユングに代表される臨床心理学入門としても読めます。これを読むと、おとぎ話がいかに社会的、性的暗喩に満ちているかがわかります。
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ユング心理学でグリム童話を読み解いているがそれが単なる分析ではなく人間の本質を抉り出すものになっている。
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「ファンタジーを読む」と似た内容だけど、グリム童話に焦点を当てている分、分かりやすい。元々知っている話もあるし、知らない話も巻末に全文が掲載されているから本文と併せて読める。
グリム童話とからめて、日本の昔話も引合いにして考えていく視点が興味深かった。
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グリム童話をユングの原型論を用いて読み解いている。類似する他の童話・神話・日本の昔話との対比等もあり、わかりやすい。
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御伽噺や、それらの共通点をユング心理学で読み解いてます。
おもしろいとこもあったけど、全体としては難しかった;
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再読。単にユング心理学にあてはめてきれいに解剖してみせるだけでなく、それが臨床現場の実感とどのようにむすびついてくるかも語られるので、すとんと腑に落ちるような気持ちのよさがある。……といっても、読み終えるとまたすぐ、何が書かれていたか忘れてしまうんだけど。
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一時期ユングはまりしていた時に、この著者の本をずいぶん読んだんですが、これがやっぱり一番お手軽で再読しやすいかな。
民話論やら象徴論やら、こういうの大好きです。
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ユング派の心理療法家であった河合隼雄氏が、その心理学的な考察に基づいて主にグリム童話と日本の昔話をいくつか挙げて読み解いている。
今まで読んだことのあった河合氏の他の著書同様、なかなか興味深い内容。ではあるが、以前心理学にも興味を持っていた時期ではなく、なぜか今…
ふと書店で目にして読んでみようと思ったのは、ほかならぬこの本の結びとなるくだりにあった“第三の道”という言葉であった。
「あれかこれかという断定は既存の何らかの価値判断に従うかぎり決められるものである。しかし第三の道はその人個人の個性を必要とし、既存のものにたよらない創造的行為となる。…」
つまり、ユングはこのような意味で“自己実現の道を個性化の過程”としてとらえていたという。
しかも、昔話は結末を持つが、実際それは自己実現の成就ではなく、あくまで一コマとして意味をもつもので、「ひとつの段階の成就の次にはまた次の段階が待っているのである」というわけである。
常に成長過程である人生には…というか、なるほど第三の道、か…やはり示唆に富むくだりでした。
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今一度読みたい本。
印象は、まだら。
すっと入ってくること、
すっと入ってこないこと、
まだらさを感じる。
今はそれでいいのかもしれない。
視点を持てることで「こころ」への器の補助線を引けるのかもしれないと感じる。
広く深いのだろう、
そんな「こころ」について
平らにみることができる
静けさをくれる一冊。
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河合隼雄先生が、ユング心理学の観点から、グリム童話の中に隠されている「人の心の奥底につながる意味」をわかりやすく説明されています。巻末には、本書で取り上げられている童話の物語が掲載されているので、知らない童話についてもきちんと理解することができます。
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結構参考になった。
インナーチャイルドカードにも登場する『ヘンゼルとグレーテル』のくだりは特に。
それにしても、昔話は残酷な話が多い。。。
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河合隼雄さんの本ということで購入。ユング心理学とグリム童話を関連付けたというか、解釈してみたもの。