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テンペスト 新装版 みんなのレビュー
- シェイクスピア (作), エドマンド・デュラック (絵), 伊東 杏里 (訳)
- 税込価格:2,563円(23pt)
- 出版社:新書館
- 発行年月:1994.9
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紙の本
蔵書する悦び。デュラックの挿絵が描いた「夢の風景」がベストと解説の荒俣宏さんも絶賛。魔法使いはハリポタだけじゃないよ。
2001/05/01 12:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
初演が1611年かと言われる『テンペスト』は、シェイクスピア最後の作品らしい。筆を置いたシェイクスピアは、今は観光地として有名な緑美しいストラットフォード・オン・エヴォンに落ち着き、静かな余生を過ごした。
『アーサー王物語』のマーリンとともに、世界の文学史上で有名な魔法使いのプロスペローは、多くの芸術家やクリエイターたちに大きな刺激を与えてきた。
日本未公開のものを入れると映画化は4〜5回されていたと思う。わりと新しいところで有名なのは、原話に忠実なデレク・ジャーマン監督のものと、鬼才ピーター・グリーナウェイの「プロスペローの本」で、どちらも豪華で凝った映像だった。
たぶんそういった人たちは皆、20世紀の初頭にアーサー・ラッカムとともに大活躍した、このエドマンド・デュラックのなまめかしく陰翳に富んだ挿絵に触れていることと思う。
本書は、デュラックのカラー挿絵が39枚綴じられている実に贅沢な本である。
シェイクスピアの作品をいくつか読もうとすれば、新書サイズから立派なハードカバーにいたるまでいくつか全集が出ていることと思うが、プロスペローの魔法の幻影と、妖精物語の不思議を堪能するには、迷わずこの贅沢な(そのわりにはお値打ちな)1冊をお薦めしたい。
などと偉そうに言っているが、実は私も『テンペスト』を手にするに当たり、「挿絵入りがあるのか。それならそれにしよう」と、偶然にめぐり逢えた本なのである。ラッカムの絵は知っていたけれど、デュラックは名前と絵が一致していなかった。
シェイクスピアもうひとつの妖精物語『真夏の夜の夢』の方は、ラッカムの挿絵がベストと荒俣宏さんが書いているので、今度はそれを蔵書に加えるつもりでいる。
さて、物語。
ミラノ公プロスペローは秘術にかまけるあまり実弟に国を奪われ、小さな娘ミランダとともに孤島に流れ着いて暮らしていた。
魔術で島の妖精たちを手下にしたプロスペローは、理想郷を実現していた。
が、かつて謀略で自分を陥れた実弟やナポリ公の一行が船で通りかかると、復讐のために嵐を起こす。欲望に満ちた実弟たちが島に上陸し、その家令たちが島に住む醜い奴隷のキャリバンたちと結託して不穏なものがただようが、プロスペローは妖精を使って幻影を見せ、彼らをこらしめる。
一方、美しい乙女に成長していたプロスペローの娘ミランダと、ナポリ公国の王子は恋に落ち、その純愛の美しさに希望を託すプロスペローは魔術を捨てる決意をする。
復讐心を愛の心、慈悲の心に変えていくというテーマがプロスペローの言葉としてエピローグに現われている。あらゆる人間の性格を芝居の脚本に描き出したシェイクスピアの「理想の境地」がそこにある。
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