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鳥の写真で結ばれた恋
2001/08/24 17:04
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投稿者:広瀬恒子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
14才の「ぼく」の一人称で恋と自立への内面の葛藤が切なく、しかしあと味はさわやかに語られる青春物語です。
この物語は、主人公たち、少年、少女のそれぞれの家庭が、いろいろ“わけあり”の設定になっているところが、特徴的です。
少年タイラーの父親は金持ちで、息子をハーバード大へいかせるつもり、母親はアルコール依存症で、両親は不仲、タイラーにとって愛する兄さんは、同性愛者で、愛人の男性と同居しているといった具合。
一方15才の少女ミッツイの母親は「ティッシュペーパー」を使うみたいに、どんどん男の人をとりかえ、経済的にも不安定です。
家庭に自分の居場所を見つけられず孤独なタイラーにとって唯一のたのしみは野鳥の写真を撮ることで、ハクチョウを写しに行った池で同じようにシャッターを切っていたミッツィと出会い、ふたりは、心を通い合わせるようになっていきます。
生活を支えるため、アルバイトをしながら、将来東アフリカに行き野生動物を撮る夢をもって着実に生きているミッツィが、生活にうしろ向きで“逃げ”の姿勢だったタイラーを意欲的に変えていく描写にはなかなかリアリティがあります。
「クレイジーバニラ」という表現は、タイラーがズームレンズ付きカメラを買うお金が欲しくて、アイスクリーム・コンテストに応募した時つけた名前ですが、ミッツィの目からタイラーの写真について語ることばは印象的です。ミッツィのは「写真にあまりセンチメンタルな感情をもちこんじゃだめ」といいます。鳥は、きれいなものじゃなくておそろしくて凶暴でもあるのが本当の鳥の姿なのだと。
あっけなく、ミッツィは母親の都合で、ニューメキシコに去っていき、ふたりの恋は成就することなく終わります。ひとりになってもきっとタイラーは自分の夢を実現するため、しっかり歩み出す力づよさが信じられる結末になっています。
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