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紙の本
学校で学ばなかった方のための「いろはかるた」授業。
2009/11/28 12:09
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:和田浦海岸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はやいものですね。すぐに12月。その次はお正月。
ということで、私の興味は「いろはかるた」へ 。
まず思い浮かぶのは、森田誠吾著「いろはかるた噺」(ちくま学芸文庫)
ちなみに求龍堂の森田誠吾著「いろはかるた噺」には、「付 江戸いろはかるた復刻一組」というのがカラーで入っておりました。その付録。ちょっと絵だけからでは、どういう言葉とつながるのか見当もつかなかい(笑)。すこし壁にかけてながめていたくなる一組。ちなみに付録のかるたはつながって折畳んであるだけなので、絵入り全体を一枚としてながめられます。絵篇と言葉篇と、言葉の方もくずし字で、なんとも、そのそっけない書きぶりが勉強になります。
この前テレビで灘高校の名物先生・橋本武氏の紹介番組を見たのでした。
そういえば、「橋本武のいろはかるた読本」(日栄社)というのがあり、
いろはかるたを読むには、こりゃ一番に読みやすい。
小松英雄著「いろはうた」(中公新書)は副題に「日本語史へのいざない」とある。 学術的な新書で、お気楽な「いろはうた」を期待している私などには、歯が立たない一冊。池田弥三郎・檜谷昭彦著「いろはかるた物語」(角川書店)も口絵がカラーで滴翠美術館蔵の江戸「赤犬棒かるた」・上方「いやいやかるた」が掲載されており興味をそそられます。 幸田露伴にも「いろはかるた」の簡単な紹介・解釈の文があり、それは全集40巻に載っているのでした。こちらはあっさりしながら、ピリッと含蓄。
私の確認した「いろは」は以上。
そうそう。「橋本武のいろはかるた読本」でした。
そのはしがきの前には遠藤周作氏の短文。それを引用。
「『橋本武のいろはかるた読本』を読みながら、私は60年前の灘中の教室を思いだした。あかるい陽のさしこむ教室で、まだお若かった橋本先生の授業を受けていた時である。先生は東京高師(現、筑波大)をお出になって灘中に着任された頃で、講義はわかりやすく、面白かった。ちょうどこの本の内容のようだった。」
ちなみに、橋本武氏は1912年生れ。
授業といえば、思い浮かぶのですが、外山滋比古著「ことわざの論理」に1923年生まれの外山氏が語っておりました。
「このごろはすこし事情が変わってきたようだが、われわれのように戦前、戦中に教育を受けた世代は学校でことわざのことを一度も習わなかった。国語の教科書にも故事は出てきたが、ことわざはない。先生の口からもきいた覚えがない。学校教育とことわざは別々の世界にあった。
それで学校を出てから、ことわざの価値を発見しておどろくことになる。学校で学んだことはほんのすこししか役に立たないのに、だれも教えてくれなかったことわざが、一々身にしみるではないか。それまで見向きもしなかっただけに、その気になってみると、新鮮ですらある。」(p147~148)
今はどうでしょう。ということで、学校で学ばなかった方のための「橋本武のいろはかるた読本」。体裁こそ、高校生向けに漫画の挿絵入りで軽薄調。なのですが、高校生に読ませるのはもったいない。いろはの解説をしながら、徒然草・方丈記・論語・醒睡笑・本田作左衛門・銀の匙・日本永代蔵・易経・無量寿経・東海道中膝栗毛・常山紀談・更級日記・好色五人女・宿屋飯盛の狂歌・芭蕉の門人・淮南子・宇治拾遺物語・御伽草子・無名抄・枕草子・立川文庫・老子・万能川柳・宝塚歌劇・・・と、さまざまをチラリと、何の気なしに連想した形で、とりあげてゆく奥深さ。ありがたさ。
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