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池澤夏樹著「静かな大地」を読んでから、もっときちんとアイヌについて知りたいと思った。しかしなかなかその気持ちに応えてくれる本が見つからない。もしかしたら、あの本の最後に記載された本から選ぶべきか、とも思ったが、それは相当に普通じゃない本だ。
これなら普通か、と思ってこの本をまずは読んだ。う〜む、やはりそうか。というのが感想。アイヌに関する歴史についての記述がしっかりした本を探していただけにこの本にもそれはなかったのか、という気持ちが先に立ってしまう。民俗についての知識はだいぶ戴いた。それだけの価値はある。しかし、歴史の中で捉えなくては何の意味も感じない。この著者の視点では、どう考えても未来は見えない。少なくとも池澤夏樹はこれからを考えて本を書いている。だから、その足下とこれからを知りたい、と思ったのが私。
もうひとつアイヌに関する本を探す必要があるようだ。
正直に言えば、出自がアイヌであるという人による年代記が読みたいんだろうな、と自分で思う。そうじゃないと「静かな大地」についても語れそうもない。
著者近辺の話はともかく。アイヌとしての生き方については強く共感してしまう。先方からは拒絶されてしまうかもしれないけれど。そのくらい彼らの生き方については納得し、感動した。こう生きている人が今もいることに深い驚きを感じている。
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まだまだアイヌ研究が少ない現状のなかにあって、本書は、作者自身が長年かけてアイヌの人たちと親交を深め、直接調査を行ってきた研究の集大成。
本書の終わりに添えられている梅原猛氏の解説にも、本書の膨大な調査と年月、作者の人となりについて触れられている。
今後、さらなるアイヌ研究の進展と後身の育成が期待される。
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梅原猛とともに「アイヌ神々の夜明け」の編者として活躍されているので手に取りました。
アイヌ神々の夜明けで展開されている話しの基礎が本書にあるのだろう。
「解説にかえて」を梅原猛が書いている。
本書にも参考文献一覧がない。
参考文献一覧を自分で作るところから,アイヌ研究を始めよう。
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信頼した人にしか口伝を教えない老人達と著者との交流を「梅原猛全対話2」で知り、手に取ってみた。良書。
祖母からこんな話を聞いていたら人生が最初からとっても豊かだったなあと慕わしさと、懐かしさを持って読んだ。
神様・人間・人間以外の三つの世界が歯車のようにかみ合って全体として宇宙を構成している。
神様=人間の手に負えないもの、自然、大型動物、美しい巣を作る能力があるクモも。
人間以外=神以外の生き物や物。
人間には存在目的があるはずだと考えたアイヌの哲学は日本文化にも染み渡っている、慎み深いということの意味再考