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『キル』『透明人間の蒸気』2作の戯曲。
夢の遊眠社時代から数十年来のファンでありながら、戯曲を読んだのはじつは初めて。エッセイは何冊か読んでいたのだけれど、戯曲となると敷居が高い気がして手を出せずにいた。
でも、少し前に新作の舞台『逆鱗』を観て、野田熱が再燃。取りあえず、近所の図書館に1冊だけあった本作を読んでみた。
両方とも、ずいぶん前に舞台で見ている。
『キル』は初演で堤真一と羽野晶紀、『透明人間~』は段田安則で。
当時は、次から次へと繰り出される言葉遊びを追いかけ、どこまで暗喩や主題を理解できているのかもわからないような状態で、ただひたすらに脳をシャッフルされる感覚が刺激的だった。あふれ出る野田秀樹の、ぴっちぴちの才能に触れるたびに、自分のなかの何かが目覚めるような興奮を覚えたものだった。
今回この戯曲を読んでみて、改めて面白さを再確認。やはり、鴻上尚史や三谷幸喜とは一線を画している。独特な言葉の置き替えも、なるほど活字を通してだとよくわかる。「キル」「着る」「kill」「生きる」等々。
もちろん、理解しきれずに通りすぎてしまうものも含めて、生の舞台の素晴らしさがあるわけで、「お勉強」など不要なのかもしれない。それでも今は、舞台を観て、戯曲を読んで、もう一度舞台をじっくり観てみたい。
叶わない望みだけど、せめて映像で見てみようっと。
追記 本の表紙が表示されないのはなぜ? 象徴的なミシンの絵、気に入っているのに。
追記その2 早速舞台の映像を見た。
透明人間~阿部サダヲ、宮沢りえ版。ラストは戯曲と違っていたが、このほうが余韻があっていいかも。阿部サダヲは、やはりテレビより舞台のほうが生き生きしている。宮沢りえも透明感があって、この上なく魅力的。